静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」に通う河本千奈ちゃん(3)が通園バスの車内に取り残され、熱中症で死亡した事件で、バスの乗降口付近に千奈ちゃんが自ら脱いだとみられる服があったことが関係者への取材で分かった。
持っていた水筒も空になっており、県警は、千奈ちゃんが高温の車内で懸命に暑さをしのごうとしていたとみている。
千奈ちゃんはバスで登園した5日午前9時頃から約5時間、車内に取り残された。乗車時は全6列のうち前から5列目の座席に座っていたが、乗降口近くの3列目付近で、あおむけに倒れているところを発見された。
5日の牧之原市は真夏日で、屋根のない駐車場に止められたバスの車内は短時間で温度が上昇したとみられる。県警は、千奈ちゃんが水筒の中身を飲みながら、暑さをしのごうと着衣を脱ぐなどしたものの脱水症状となり、動けなくなったとみている。司法解剖の結果、死因は熱中症のうち症状が重篤な熱射病だった。
園側の説明では、補助役として乗務していた70歳代の女性派遣社員は、他の園児5人と降車して千奈ちゃんがいないことを見落とし、運転していた増田立義理事長(73)も車内を確認しなかった。担任も千奈ちゃんが欠席だと思い込み、保護者への確認連絡をしていないなど、複数の問題が明らかになっており、県警は業務上過失致死容疑で園の関係者から事情を聞いている。