再び幼い命が、安全であるべき園の車両内で失われた悲劇。同じ苦しみの底を経験した福岡県内の親たちが6日、心境を伝えた。
「こんなにも早く、痛ましい事件が起きたことに大変ショックを受けています。亡くなった子の苦しみや遺族の悲しみを思うと、言葉もありません」
昨年7月、福岡県中間市の保育園の送迎バスに取り残され、熱中症で亡くなった倉掛冬生(とうま)ちゃん=当時(5)=の母親(38)は、代理人弁護士を通じてコメントした。その中で、母親は「冬生が帰ってくることはかなわないにしても、せめて悲惨な出来事は冬生で最後にしてほしい、と願ってきました。残念でなりません」と胸の内をつづり、「どうか幼い子どもの命を、笑顔を守ってあげてほしい」と訴えた。
今回、静岡県牧之原市で死亡した女児は3歳だった。厚生労働省が通園バスの安全対策の見直しを徹底するよう、自治体に通知を出している中で繰り返された。
北九州市小倉北区で2007年、保育園の送迎車に置き去りにされ、熱射病で亡くなった浜崎暖人(はると)ちゃん=当時(2)=の父健太郎さん(45)も、西日本新聞の取材に応じ「どうして、また…。(命を落とした女児は)どんなに暑かっただろうか」と声を落とした。
健太郎さんは、現状に疑問しか湧いてこないとし、「『うちは大丈夫』という過信が、園にあるのでしょう。行政や園には頼れず、親が守るしかないのかと思ってしまいます」と続けた。 (上田泰成、笠原和香子)