静岡県牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」に通う河本千奈ちゃん(3)が通園バスに取り残されて熱中症で死亡した事件で、千奈ちゃんの乗ったバスはラッピングで車体が覆われていた。
違法性はないものの、窓から内部の様子が見えにくく、疑問の声も上がっている。
千奈ちゃんが乗ったバスは動物のイラストが車体に描かれ、園児が座る後部座席の窓は白いシールのようなもので覆われている。過去に子どもが同園に通っていたという30歳代の会社員女性は「外から手を振った時も中が見えなかった」と話す。
国土交通省の道路運送車両の保安基準によると、フロントガラスなどは運転手の視野を妨げないようにするとの決まりがあるが、後部座席の窓は特にない。県警幹部も「バス自体に問題はない」と話す。
7日に開かれた保護者説明会では、出席者によると、園側がラッピングした理由を「(デザインが)かわいいから」と説明していた。同日の記者会見で内部が見えにくい点を問われた同園の増田立義理事長(73)は「誠に申し訳ない」と謝罪した。
同種のバスを扱う販売会社の担当者によると「車全体に装飾を施す『フルラッピング』はあるが、窓まで全て覆うケースはまれ」という。
バスは、牧之原市役所榛原庁舎から東に約130メートルの駐車場に停車していた。10日に現場で手を合わせた保育関連施設で働く50歳代女性は「(駐車場周辺は)人通りは多かったはず。ラッピングがなければ、千奈ちゃんに気づけた人はいたのでは」と語った。