農作物加工事業などへの投資で高配当が受けられると勧誘し出資を募ったとして、福岡県警生活経済課は11日、一般社団法人「アジアオセアニア平和基金」(東京・港)の代表理事、岩田和彦容疑者(62)=同県宗像市田島=ら3人を出資法違反(預かり金の禁止)の疑いで逮捕した。捜査関係者によると、同法人は全国で計5億円超を集めたとみられる。

 ほかに逮捕したのは、副理事長を務める会社員、花田智之容疑者(39)=福岡市南区鶴田3=と、理事の山本公隆容疑者(60)=横浜市中区山下町。県警は3人の認否を明らかにしていない。

 逮捕容疑は元本保証と年率30%の配当金を約束し、2014年11月~15年8月ごろ、福岡市内の男性会社員ら3人から計1900万円を預かった疑い。このほか、山本、花田両容疑者は年率20%の配当金をうたった古美術品の購入・販売事業への出資をよびかけ、14年12月~16年3月ごろ、同市内の看護師の女性ら5人から計1550万円を預かった疑いがある。

 同法人は12年6月から「福岡県や熊本県などで生産されたみかんやたけのこを買い付けて加工し売った利益を還元する」などと説明、全国で出資者を募っていた。捜査関係者によると、他の事業も含め16年4月までで福岡や東京などの43人から計5億2280万円を集めていたとみられる。

 福岡県内の出資者5人が16年4月以降、配当金が支払われなくなったとして、今年2月に県警に告訴相談をしていた。関係者によると、同法人による実際の投資額は4000万円で、預かった金の半分は出資者に返還しているという。

 県警は同基金の実態や、他の出資案件などの全容解明を進める。