26年にわたる自公連立が大揺れしている。
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公明党は9日中央幹事会を開き、自民党との連立協議の経過を報告。出席者から連立離脱について賛否両論が噴出した。全国県代表協議会で地方議員の意見を聴取した後に再度、中央幹事会を開いた。党内議論を踏まえ、斉藤鉄夫代表は10日午後、自民党の高市早苗総裁と会談。連立の是非を最終判断する見込みだ。
公明党内から「連立離脱」論が出てくるのは異例中の異例。最も問題視しているのは自民の裏金事件だ。連立の条件として裏金事件の真相解明と企業・団体献金の規制強化を掲げている。
「公明の支持母体・創価学会は、党勢低迷の最大要因は裏金と受け止めている。『自民と同じ穴のムジナと見られてしまった』というわけです。自民党には早くケジメをつけて欲しいのに、あろうことか高市さんは裏金2728万円の萩生田元政調会長を党執行部に入れてしまった。これまで、連立解消をチラつかせて交渉することはありましたが、今回は“ガチ”。学会幹部は『連立離脱もやむなしだ』と周囲に話しています」(永田町関係者)
■麻生副総裁の「がん」発言が再炎上
高市総裁と、後ろ盾の麻生副総裁の「公明嫌い」は有名だ。しかも、2人揃って「アイツらは何があってもついてくる」と甘く見ているフシがある。特に麻生氏は2年前、地元・福岡での講演で公明の幹部を名指しして「がん」呼ばわりしていたほどだ。
当時、大炎上した「がん発言」は、ここへきて“再炎上”。X(旧ツイッター)でトレンド入りした。さすがに公明の強硬姿勢に焦ったのか、高市氏は9日、公明と太いパイプを持つ菅義偉元首相と会談。協力を要請したとみられている。
公明の連立離脱は多くの自民議員にとって大打撃だ。「公明に離れられたらオシマイですよ」と言うのは、ある自民関係者だ。
「麻生さんや高市さんが公明に強気でいられるのは選挙が強いから。でも、公明の組織票で支えてもらって何とか当選している議員も大勢いる。多くの自民議員は、『何とか引き留めないと』と大慌てですよ」
公明票は1つの衆院小選挙区に「2万票」あるといわれる。これだけの票を失えば、自民は次の衆院選で落選者続出は必至だ。
そこで日刊ゲンダイは、昨秋の前回衆院選で次点だった候補に約2万票以内の差で辛勝した自民議員と、比例復活した自民議員をピックアップ。公明票を失って落選危機に瀕する議員は93人に上った。現状、自民の衆院議員は計196人だから、約半分である。
大物議員も落選危機だ。裏金事件への“ペナルティー”で非公認だった西村康稔元経産相は公明の推薦を得たが、次点との差が約1万8000票。「コメ買ったことない」発言が大炎上した江藤拓前農相は8期連続当選しているものの、2位との差は1万3000票弱だった。“親の七光”の岸信千世議員に至ってはわずか1700票差。公明票がないと明らかにキツイ。
今頃ビクビクしている議員が大勢いるに違いない。
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