いま、灘中学校の国語の入試問題が話題となっています。超名門校が読解問題で出題したのは、イスラエル軍からの攻撃が続く、「ガザを題材にした詩」でした。出題には、ある狙いが込められていました。
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停戦後もイスラエルの攻撃が続くパレスチナ自治区ガザ。この地をめぐり国際機関「平和評議会」が発足しました。
「平和評議会」は当初、ガザでの暫定的な統治を監督する目的で提唱されましたが、終身議長を務めるアメリカのトランプ大統領は「他にも多くのことができる」などと述べ、世界の紛争解決などを念頭に役割を拡大したい意向を示しました。
世界が注目するガザ情勢。日本屈指の名門・灘中学校の入試で、そのガザを題材にした詩が国語の読解問題として出題され話題となっています。その一つが「おなまえかいて」です。
【「おなまえかいて」から一部抜粋】あしにおなまえかいて、ママくろいゆせいのマーカーペンでねつでもとけないインクでね(提供:灘中学校/作者:ゼイナ・アッサーム/訳者:原口昇平)ガザでは身元確認のために子どもたちが足に名前を書いていると報じられていました。
あなたはこの問題が解けますか?【「おなまえかいて」から一部抜粋】あしにおなまえかいて、ママすうじはぜったいかかないであたしかずじゃないおなまえがあるの問い:「あたしかずじゃないおなまえがあるの」に込められている思いはどのようなものですか、答えなさい。街で聞いてみると…
男性「いける?」女性「全然わかんない。これ小学生がやる(解く)ということですよね。それはやばい」
男性(18歳)「普段からニュースを見てるかとかも測れると思う。僕はかなりいい問題かなと思います」
灘中学校はなぜ国語の入試問題でガザをめぐる詩を出したのでしょうか。
灘中学校久下正史教頭「(灘中学校では)社会の入試問題はないが、社会の問題や、いま起こっている出来事とか、そういったことに幅広い興味を持った受験生に来ていただきたいと思い出題した」
この他にも、電車に乗った妊婦の話を出題した灘中学校。
灘中学校久下正史教頭「社会のことについても、いろんな立場の人がいることを意識してほしい。普段通りに作った、普段通りの問題ということですが、これをきっかけに、優れた文学作品に触れる人が増えるのはいいことだなと思います」
【「おなまえかいて」から一部抜粋】あしにおなまえかいて、ママばくだんがうちにおちてきてたてものがくずれてからだじゅうほねがくだけてもあたしたちのことあしがしょうげんしてくれるにげばなんてどこにもなかったって
小川彩佳キャスター:斎藤さんは大学で試験の問題を作る側でもいらっしゃると思いますが、こうした問題が出題されるというのはどのように響きますか?
東京大学准教授斎藤幸平さん:中学受験産業なんていうものは、資本主義のもとで子どもの才能や時間を商品化するけしからんものだという前提はありますが、このような問題を私が読んだら動揺して(試験中に)泣いてしまうかもしれません。子どもたちも、自分と同じ世代の子どもたちが置かれた状況に思いを馳せながら、この詩を読んで動揺するでしょう。しかしその動揺から学んだり、教育が始まると思うんです。これから灘中学を目指す子どもたちも、この詩を過去問対策で読むことになるでしょう。それが広がっていくことで少しでも多くの日本人がガザの状況に思いを馳せるきっかけになるという意味では、素晴らしい問題だと思います。
小川キャスター:受験勉強の形が変わるきっかけになるのでしょうか。
東京大学准教授斎藤幸平さん:この詩だけを読んでも、普段ニュースを見ていないとピンとこないと思います。これをきっかけに世界で何が起きているのか、テクニックや暗記で解くのではなく、社会に自分の知恵をどう生かしていくか、創造していくか、私も教育するときに考えていますけど、この試験問題は本当に素晴らしい問題だと思います。
========<プロフィール>斎藤幸平さん東京大学准教授 専門は経済・社会思想著書「人新世の『資本論』」