「メルカリ女王」としてテレビや雑誌に出演している宇田川まなみさん。現在はメルカリ利用を続けながら、全国の「稼ぎたい」人々にノウハウを教える活動を行っている。
【写真】この記事の写真を見る(2枚) ここでは、宇田川さんにコロナ禍以降のメルカリのリアルな状況について聞いてみた。意外な売れ線事情と「メルカリマッチング」の出現とは――。(全2回の1回目/後編を読む)宇田川まなみさん(本人ブログより)自宅の不用品販売だけで月15万円――8年前の宇田川さんは、パートタイムで働きながら生活している「ふつうの主婦」だったんですよね。どうやって「メルカリ女王」になったのでしょうか。
宇田川まなみ(以下、宇田川) 最初は、家にたくさんある不用品処分のために何気なくメルカリを始めたんです。当時出品していたのは、サイズアウトしたベビー服とか、買っても着なかった洋服などですね。それが面白いように売れたので、メルカリにハマっていきました。 雇われてパートをやってた時の私は、本当に自分に自信がなかったんです。だから、起業したりSNSで情報発信したりしている女性に憧れて、そういう人たちが集まるランチ会に参加していました。そこで「メルカリで月15万円くらい売り上げてる」って言ってみたら、みんなにびっくりされたんですよ。「すごい。自分もやってるけどそんなに稼げない」って。――月15万円? 不用品販売だけでですか?宇田川 そうです。引っ越しで出た不用品をまとめて売った時は、月に38万円売り上げたこともあります。その時は1回の取引で25万円を稼いだこともありましたね。パートでは7万~8万円くらいしか稼いだことがなかったので、「メルカリすごい」って思ったんですよ。その後、「教えてほしい」って声をいただいたのが、今に繋がっていますね。使用済みのタオルや水没したDSが売れるワケ――不用品販売だけで月15万円は、ものすごい数字に思えます。そんな「達人」の宇田川さんが思う「メルカリで売れる意外なもの」ってなんでしょうか。宇田川 使用済みのタオルやハンカチは意外に売れますよ。新品じゃなくても、雑巾として使えるから大掃除前なんかはよく売れますね。メルカリは最低販売価格が300円なので、3枚セットにして出品します。子どもの保育園に置いておくだけの予備のタオルとか、「別に新品じゃなくていい」ものって、実は結構あるんですよ。 あとは、使えない電化製品などのジャンク品も結構売れますね。水没しちゃったDSとか、電源が入らないドライヤーとか。その物自体が故障していても、中の部品が生きていれば修理用のパーツとして使えます。画面が粉々に割れているスマホが、1万円くらいの高値で売れることもありますよ。サポートが終了した型落ち製品ならなおさら需要がありますね。――たとえば、50年前の家電でも需要が?宇田川 そこまで古いものは逆に希少価値があるので、アンティークとして売れると思います。古い型のテレビとか、黒電話とかですね。ブランド品はボロボロでも売れる――最近、メルカリでよく売れているものってなんでしょうか。宇田川 コロナ禍になってから、自宅で過ごす時間が長くなった人が多いですよね。だから、子供が使うおもちゃや家電製品、インテリア系がよく売れます。座椅子や家に飾る置物なんかですね。自分で料理をする人も増えたので、ホットプレートやたこ焼き器といった、調理器具も売りやすくなりました。 逆に、アパレル系はあまり売れなくなってます。今まではアパレルが一番売れたんですけど、やっぱりお出かけをしないと洋服の新調もしないし、そこにお金を使わなくなってるんでしょうね。マスクをするようになったからリップもしないし、コスメも売れませんね。 ただ、ブランド品に関しては変わらず売れますよ。洋服やコスメにお金を使わなくなった分、浮いたお金でちょっと良いものを買おうって考える人が多いんだと思います。結構ボロボロなものでも売れます。生地が破れてたり、ボタンが取れちゃってたり、状態が悪くても売れる。私もボロボロのヴィトンの財布を売ったことがあります。ブランド品はブランド力だけでいけちゃうんですね。――なるほど。そのボロボロのブランド品を購入するのは、どんな人たちなんでしょうか。宇田川 見栄のためにとりあえずブランド品を持っておきたいって人たちもいるんですよ。あまり状態を気にせずに、ヴィトンだったらいいかなとか、グッチだったらいいかな、みたいな感じで買う人が多いです。 あと、メルカリで不用品を売って得た売上を現金化せずに、メルカリ内で別の商品を買うのに使う人が結構いるんです。特に、10代のユーザーは現金化するのに必要な銀行口座を用意するのが難しいから、メルカリ内で売ったり買ったりするのがメインになる。そういう層にボロボロだけど安いブランド品が刺さるのかもしれませんね。落ち葉を拾って売って…高齢層のメルカリ利用――やっぱりメルカリを利用するのは10代~20代の若年層が多い?宇田川 そうですね。これまでは10代~20代のユーザーが一番多かったんですけど、コロナ禍になって、60代~70代のユーザーがすごく増えました。今の60代~70代の人たちって、もうスマホは結構使いこなせますよね。メルカリは写真を撮って文字を入力するだけで出品できるので、高齢層でもハードルは高くないと思います。 生前整理や終活的な目的で利用される人がやっぱり多いですね。私も、そういう方のご自宅に伺って、売る作業を手伝ったことがあるんですけど、良いものを大切に保管されていて、高く売れることもよくあります。――『開運!なんでも鑑定団』みたいですね。宇田川 そうなんですよ。ただ、お金目的というよりは「捨てちゃうのはもったいないから、大切に使ってくれる人に譲りたい」と考えてる人が多いですね。 趣味が高じてメルカリを使っている60代~70代のユーザーもよく見かけます。植物の苗を売ってたり、自宅で増やした種を売ってたりとか。山の方に住んでる方が、木の実や綺麗な落ち葉を拾って売ってるのも見ました。リピーターがついていて、売れてるんですよ。――落ち葉が売れるんですか?宇田川 料理人が買うんです。綺麗な紅葉とか、盛り付けに使いますよね。 それから、若いユーザーは取引相手とのメッセージのやりとりを面倒くさがって「最低限でいい」って人が多いんですけど、60代~70代のユーザーにとっては、やりとりも楽しみの一つなんですよ。メルカリの取引画面でプライベートなことを話し合ったり、仲良くなって会うことになったりっていう話も聞きました。――メルカリマッチングですか……!宇田川 1人で家にいて、話し相手のいない人が、メルカリを使って顔の見えない取引相手とのコミュニケーションを楽しむ。実は、メルカリにはそういう需要もあるんですね。値引きを断ったら…1週間後に「まだ売れてませんね」メルカリヘビーユーザーも問題視する“けしからん利用者”とは へ続く(「文春オンライン」編集部)
ここでは、宇田川さんにコロナ禍以降のメルカリのリアルな状況について聞いてみた。意外な売れ線事情と「メルカリマッチング」の出現とは――。(全2回の1回目/後編を読む)
宇田川まなみさん(本人ブログより)
――8年前の宇田川さんは、パートタイムで働きながら生活している「ふつうの主婦」だったんですよね。どうやって「メルカリ女王」になったのでしょうか。
宇田川まなみ(以下、宇田川) 最初は、家にたくさんある不用品処分のために何気なくメルカリを始めたんです。当時出品していたのは、サイズアウトしたベビー服とか、買っても着なかった洋服などですね。それが面白いように売れたので、メルカリにハマっていきました。
雇われてパートをやってた時の私は、本当に自分に自信がなかったんです。だから、起業したりSNSで情報発信したりしている女性に憧れて、そういう人たちが集まるランチ会に参加していました。そこで「メルカリで月15万円くらい売り上げてる」って言ってみたら、みんなにびっくりされたんですよ。「すごい。自分もやってるけどそんなに稼げない」って。
――月15万円? 不用品販売だけでですか?
宇田川 そうです。引っ越しで出た不用品をまとめて売った時は、月に38万円売り上げたこともあります。その時は1回の取引で25万円を稼いだこともありましたね。パートでは7万~8万円くらいしか稼いだことがなかったので、「メルカリすごい」って思ったんですよ。その後、「教えてほしい」って声をいただいたのが、今に繋がっていますね。
――不用品販売だけで月15万円は、ものすごい数字に思えます。そんな「達人」の宇田川さんが思う「メルカリで売れる意外なもの」ってなんでしょうか。
宇田川 使用済みのタオルやハンカチは意外に売れますよ。新品じゃなくても、雑巾として使えるから大掃除前なんかはよく売れますね。メルカリは最低販売価格が300円なので、3枚セットにして出品します。子どもの保育園に置いておくだけの予備のタオルとか、「別に新品じゃなくていい」ものって、実は結構あるんですよ。
あとは、使えない電化製品などのジャンク品も結構売れますね。水没しちゃったDSとか、電源が入らないドライヤーとか。その物自体が故障していても、中の部品が生きていれば修理用のパーツとして使えます。画面が粉々に割れているスマホが、1万円くらいの高値で売れることもありますよ。サポートが終了した型落ち製品ならなおさら需要がありますね。
――たとえば、50年前の家電でも需要が?
宇田川 そこまで古いものは逆に希少価値があるので、アンティークとして売れると思います。古い型のテレビとか、黒電話とかですね。
――最近、メルカリでよく売れているものってなんでしょうか。
宇田川 コロナ禍になってから、自宅で過ごす時間が長くなった人が多いですよね。だから、子供が使うおもちゃや家電製品、インテリア系がよく売れます。座椅子や家に飾る置物なんかですね。自分で料理をする人も増えたので、ホットプレートやたこ焼き器といった、調理器具も売りやすくなりました。
逆に、アパレル系はあまり売れなくなってます。今まではアパレルが一番売れたんですけど、やっぱりお出かけをしないと洋服の新調もしないし、そこにお金を使わなくなってるんでしょうね。マスクをするようになったからリップもしないし、コスメも売れませんね。
ただ、ブランド品に関しては変わらず売れますよ。洋服やコスメにお金を使わなくなった分、浮いたお金でちょっと良いものを買おうって考える人が多いんだと思います。結構ボロボロなものでも売れます。生地が破れてたり、ボタンが取れちゃってたり、状態が悪くても売れる。私もボロボロのヴィトンの財布を売ったことがあります。ブランド品はブランド力だけでいけちゃうんですね。
――なるほど。そのボロボロのブランド品を購入するのは、どんな人たちなんでしょうか。
宇田川 見栄のためにとりあえずブランド品を持っておきたいって人たちもいるんですよ。あまり状態を気にせずに、ヴィトンだったらいいかなとか、グッチだったらいいかな、みたいな感じで買う人が多いです。
あと、メルカリで不用品を売って得た売上を現金化せずに、メルカリ内で別の商品を買うのに使う人が結構いるんです。特に、10代のユーザーは現金化するのに必要な銀行口座を用意するのが難しいから、メルカリ内で売ったり買ったりするのがメインになる。そういう層にボロボロだけど安いブランド品が刺さるのかもしれませんね。
――やっぱりメルカリを利用するのは10代~20代の若年層が多い?
宇田川 そうですね。これまでは10代~20代のユーザーが一番多かったんですけど、コロナ禍になって、60代~70代のユーザーがすごく増えました。今の60代~70代の人たちって、もうスマホは結構使いこなせますよね。メルカリは写真を撮って文字を入力するだけで出品できるので、高齢層でもハードルは高くないと思います。
生前整理や終活的な目的で利用される人がやっぱり多いですね。私も、そういう方のご自宅に伺って、売る作業を手伝ったことがあるんですけど、良いものを大切に保管されていて、高く売れることもよくあります。――『開運!なんでも鑑定団』みたいですね。宇田川 そうなんですよ。ただ、お金目的というよりは「捨てちゃうのはもったいないから、大切に使ってくれる人に譲りたい」と考えてる人が多いですね。 趣味が高じてメルカリを使っている60代~70代のユーザーもよく見かけます。植物の苗を売ってたり、自宅で増やした種を売ってたりとか。山の方に住んでる方が、木の実や綺麗な落ち葉を拾って売ってるのも見ました。リピーターがついていて、売れてるんですよ。――落ち葉が売れるんですか?宇田川 料理人が買うんです。綺麗な紅葉とか、盛り付けに使いますよね。 それから、若いユーザーは取引相手とのメッセージのやりとりを面倒くさがって「最低限でいい」って人が多いんですけど、60代~70代のユーザーにとっては、やりとりも楽しみの一つなんですよ。メルカリの取引画面でプライベートなことを話し合ったり、仲良くなって会うことになったりっていう話も聞きました。――メルカリマッチングですか……!宇田川 1人で家にいて、話し相手のいない人が、メルカリを使って顔の見えない取引相手とのコミュニケーションを楽しむ。実は、メルカリにはそういう需要もあるんですね。値引きを断ったら…1週間後に「まだ売れてませんね」メルカリヘビーユーザーも問題視する“けしからん利用者”とは へ続く(「文春オンライン」編集部)
生前整理や終活的な目的で利用される人がやっぱり多いですね。私も、そういう方のご自宅に伺って、売る作業を手伝ったことがあるんですけど、良いものを大切に保管されていて、高く売れることもよくあります。
――『開運!なんでも鑑定団』みたいですね。
宇田川 そうなんですよ。ただ、お金目的というよりは「捨てちゃうのはもったいないから、大切に使ってくれる人に譲りたい」と考えてる人が多いですね。
趣味が高じてメルカリを使っている60代~70代のユーザーもよく見かけます。植物の苗を売ってたり、自宅で増やした種を売ってたりとか。山の方に住んでる方が、木の実や綺麗な落ち葉を拾って売ってるのも見ました。リピーターがついていて、売れてるんですよ。
――落ち葉が売れるんですか?
宇田川 料理人が買うんです。綺麗な紅葉とか、盛り付けに使いますよね。
それから、若いユーザーは取引相手とのメッセージのやりとりを面倒くさがって「最低限でいい」って人が多いんですけど、60代~70代のユーザーにとっては、やりとりも楽しみの一つなんですよ。メルカリの取引画面でプライベートなことを話し合ったり、仲良くなって会うことになったりっていう話も聞きました。
――メルカリマッチングですか……!
宇田川 1人で家にいて、話し相手のいない人が、メルカリを使って顔の見えない取引相手とのコミュニケーションを楽しむ。実は、メルカリにはそういう需要もあるんですね。
値引きを断ったら…1週間後に「まだ売れてませんね」メルカリヘビーユーザーも問題視する“けしからん利用者”とは へ続く
(「文春オンライン」編集部)