9月1日、百貨店の売り上げ3位の西武池袋本店が米投資会社に売却された。また4月には中堅スーパーマーケットのいなげやがイオングループ傘下に入ることを発表するなど、流通業界は大きな変化に直面している。そしていま、全国で地方スーパーマーケット(食品スーパー)の倒産が相次いでいる。
青森県4位スーパー「さとちょう」破綻の背景…暴力団関係者との関わり浮上し融資ストップ 帝国データバンクによると、2022年の食品スーパーの倒産は22件。沖縄県のナカハラストアー、広島県の因島スーパー、京都府ではツジトミなど全国に及び、前年の件数(13件)を大幅に上回り、3年ぶりの増加となった。同社情報統括部の飯島大介氏が言う。

「今年に入っても地方の食品スーパーの倒産は増え、2月にはJA鳥取系列の閉鎖(13店舗)が発表されています。青森県では上位のスーパー佐藤長など1~9月ですでに15件が倒産。今後の動向を考えると今年は昨年をさらに上回る倒産件数が考えられます」 そして倒産が急増する原因についてこう語る。「食品スーパーはコロナ禍での緊急事態宣言などによる巣ごもり需要で売り上げを伸ばし、勝ち組といわれてきました。しかし、地方では人口減、高齢化で顧客が減少、さらに大手スーパーとの安売り競争による収益の悪化が倒産につながる大きな要因になっています」 地方の住民の買い物環境を支えてきた食品スーパーの倒産は、日常の買い物が困難な状態に置かれる人々、いわゆる買い物難民を急増させることになっている。■買い物難民は5年前から約100万人増加 農林水産省の「食品アクセス問題ポータルサイト」では買い物難民の増加についてこう指摘している。「高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、既存商店街の衰退等により、過疎地域のみならず都市部においても、高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる方(『買い物難民』『買い物弱者』)が増えてきており、『食品アクセス問題』として社会的な課題になっています」 そして農林水産政策研究所の調査では買い物難民となっている、アクセス困難人口(店舗まで500メートル以上かつ自動車利用困難な65歳以上の高齢者)は2015年で824万6000人に上る。5年前の調査の732万7000人から約100万人も買い物難民が増えているのだ。■施設の老朽化や経営者の高齢化も 地域経済を専門とする神戸国際大学の中村智彦教授が語る。「勝ち組だった食品スーパーの倒産の増加には複合的な問題がある。団塊世代がマーケットから本格的にフェードアウトし、高齢化で動けなくなり、購買量が少なくなってきたことや、人口減少の加速で市場が縮小してきたことが地方スーパーの経営を直撃しています」 そしてこう続ける。「JA鳥取系のスーパーが典型的ですが、施設の老朽化と経営者の高齢化が指摘されます。街の中心部に老朽化した店舗を構えていても道路沿いにできた大手スーパーとの勝負は見えている。仮に施設を建て替えても低価格志向が定着した消費者に安売り競争では大手スーパーに勝ち目はなく、投資しても回収のメリットがない。今後も地方の食品スーパーの閉店は増えるでしょうが、買い物難民が増えることも間違いないでしょう」 買い物難民の増加は地方だけの問題ではない。 (ジャーナリスト・木野活明)
帝国データバンクによると、2022年の食品スーパーの倒産は22件。沖縄県のナカハラストアー、広島県の因島スーパー、京都府ではツジトミなど全国に及び、前年の件数(13件)を大幅に上回り、3年ぶりの増加となった。同社情報統括部の飯島大介氏が言う。
「今年に入っても地方の食品スーパーの倒産は増え、2月にはJA鳥取系列の閉鎖(13店舗)が発表されています。青森県では上位のスーパー佐藤長など1~9月ですでに15件が倒産。今後の動向を考えると今年は昨年をさらに上回る倒産件数が考えられます」
そして倒産が急増する原因についてこう語る。
「食品スーパーはコロナ禍での緊急事態宣言などによる巣ごもり需要で売り上げを伸ばし、勝ち組といわれてきました。しかし、地方では人口減、高齢化で顧客が減少、さらに大手スーパーとの安売り競争による収益の悪化が倒産につながる大きな要因になっています」
地方の住民の買い物環境を支えてきた食品スーパーの倒産は、日常の買い物が困難な状態に置かれる人々、いわゆる買い物難民を急増させることになっている。
■買い物難民は5年前から約100万人増加
農林水産省の「食品アクセス問題ポータルサイト」では買い物難民の増加についてこう指摘している。
「高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、既存商店街の衰退等により、過疎地域のみならず都市部においても、高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる方(『買い物難民』『買い物弱者』)が増えてきており、『食品アクセス問題』として社会的な課題になっています」
そして農林水産政策研究所の調査では買い物難民となっている、アクセス困難人口(店舗まで500メートル以上かつ自動車利用困難な65歳以上の高齢者)は2015年で824万6000人に上る。5年前の調査の732万7000人から約100万人も買い物難民が増えているのだ。
■施設の老朽化や経営者の高齢化も
地域経済を専門とする神戸国際大学の中村智彦教授が語る。
「勝ち組だった食品スーパーの倒産の増加には複合的な問題がある。団塊世代がマーケットから本格的にフェードアウトし、高齢化で動けなくなり、購買量が少なくなってきたことや、人口減少の加速で市場が縮小してきたことが地方スーパーの経営を直撃しています」
そしてこう続ける。
「JA鳥取系のスーパーが典型的ですが、施設の老朽化と経営者の高齢化が指摘されます。街の中心部に老朽化した店舗を構えていても道路沿いにできた大手スーパーとの勝負は見えている。仮に施設を建て替えても低価格志向が定着した消費者に安売り競争では大手スーパーに勝ち目はなく、投資しても回収のメリットがない。今後も地方の食品スーパーの閉店は増えるでしょうが、買い物難民が増えることも間違いないでしょう」
買い物難民の増加は地方だけの問題ではない。
(ジャーナリスト・木野活明)