性感染症の梅毒の2022年感染者数(4日まで)が全国で8155人に達し、集計が始まって以来、過去最多を更新した。最多だった21年の7875人(速報値)を上回った。年間を通じてでは1万人を超えるペースで感染者数の報告が続いており、専門家は「まん延が続けば、感染に気づかないまま重大な合併症につながるケースも増える恐れがある」と警鐘を鳴らす。
【ゴムのような腫瘍も…梅毒の症状】 梅毒は11年ごろから増え始め、20年にいったん減少したが、昨年再び増加し、過去最多を更新したばかりだった。全国の報告数(速報値)は、東京都感染症情報センターが8日公開した国の集計結果から判明した。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、性行為などによって性器や口などの粘膜から侵入して感染する。感染後2~3週間で性器などに赤みやしこりができる。2~3カ月後には手のひらや腹部など全身に発疹が出るが、痛みやかゆみがないことがほとんどだ。症状の出方は多様で、こうした症状は数週間から数カ月で自然に消えることがあるが、治ったわけではなく感染は続いている。 抗菌薬を4週間飲み続けるか、1回注射することで治療可能だが、治っても何度も感染することがある。発疹をアレルギーや風疹などと間違えることがあり、梅毒感染に気づかず放置すると、数年から十数年をかけて、脳や心臓、神経などを侵し、重大な合併症を引き起こして命を落とすこともある。コンドームの使用で感染のリスクを下げられる。 国立感染症研究所によると、今年の報告数(8月28日までの速報値)は都道府県別で東京都の2268人が最も多く、大阪府1020人、愛知県447人、福岡県323人と続いた。急増の背景にはネット交流サービス(SNS)やマッチングアプリを介した不特定多数との性行為が指摘されている。 日本性感染症学会理事の重村克巳・神戸大准教授は「梅毒は発疹など典型的な症状ばかりでなく、人によってまちまちな『非典型例』が多い病気だ」と指摘する。診断する側も見落としかねず、患者側も症状から自己判断すると検査につながらない可能性がある。感染症のまん延を食い止めるには適切な診断と治療が欠かせず、重村氏は「陰部に赤みがあるなど心配な場合は医療機関を受診してほしい。また、治療中の人は薬の服用を途中でやめたりせず、医療機関で治ったことを確認することも大切だ」と語った。【金秀蓮】
梅毒は11年ごろから増え始め、20年にいったん減少したが、昨年再び増加し、過去最多を更新したばかりだった。全国の報告数(速報値)は、東京都感染症情報センターが8日公開した国の集計結果から判明した。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、性行為などによって性器や口などの粘膜から侵入して感染する。感染後2~3週間で性器などに赤みやしこりができる。2~3カ月後には手のひらや腹部など全身に発疹が出るが、痛みやかゆみがないことがほとんどだ。症状の出方は多様で、こうした症状は数週間から数カ月で自然に消えることがあるが、治ったわけではなく感染は続いている。
抗菌薬を4週間飲み続けるか、1回注射することで治療可能だが、治っても何度も感染することがある。発疹をアレルギーや風疹などと間違えることがあり、梅毒感染に気づかず放置すると、数年から十数年をかけて、脳や心臓、神経などを侵し、重大な合併症を引き起こして命を落とすこともある。コンドームの使用で感染のリスクを下げられる。
国立感染症研究所によると、今年の報告数(8月28日までの速報値)は都道府県別で東京都の2268人が最も多く、大阪府1020人、愛知県447人、福岡県323人と続いた。急増の背景にはネット交流サービス(SNS)やマッチングアプリを介した不特定多数との性行為が指摘されている。
日本性感染症学会理事の重村克巳・神戸大准教授は「梅毒は発疹など典型的な症状ばかりでなく、人によってまちまちな『非典型例』が多い病気だ」と指摘する。診断する側も見落としかねず、患者側も症状から自己判断すると検査につながらない可能性がある。感染症のまん延を食い止めるには適切な診断と治療が欠かせず、重村氏は「陰部に赤みがあるなど心配な場合は医療機関を受診してほしい。また、治療中の人は薬の服用を途中でやめたりせず、医療機関で治ったことを確認することも大切だ」と語った。【金秀蓮】