静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」に通う河本千奈ちゃん(3)が通園バスの車内に取り残されて死亡した事件で、同園では事件前から、バスが登園予定の園児を乗せ損ねるなどのミスが相次いでいた。
ずさんな運営が続いていた可能性もあるとみて、県は9日、認定こども園法に基づく特別監査を実施し、実態を詳しく調べる。
園では保護者から専用アプリで連絡を受けて、欠席する児童の情報を把握する仕組みを取り入れている。しかし、園側の説明では、登園予定の園児を「欠席」と勘違いしてバスに乗せないケースや、保護者などによる帰りの迎えが来るのにバスに乗せてしまうケースなどが繰り返されていた。
杉本智子副園長(58)は7日の記者会見で、「休みだと思い、乗せるはずの子を乗せないことが度々あった」と認めている。一方で、息子が通園する女性(34)は「休みを連絡しても、迎えのバスが家の前に止まっていることが何度もあった」と話す。
常葉大教育学部の木宮敬信教授(安全教育学)は「アプリ利用は補助的なものとし、最終的に人が実際に顔を見て確認することが必要だ」と指摘している。
千奈ちゃんの死因は、熱中症のうち症状が重篤な熱射病だった。バスの乗降口付近に、千奈ちゃんが自ら脱いだとみられる服があったことも関係者への取材でわかった。持っていた水筒も空になっており、県警は脱水症状で動けなくなったとみて、業務上過失致死容疑で調べている。