今や日本人の国民食「ラーメン」。そのラーメンにピンチが訪れている。
「背脂チャッチャ系」と呼ばれる、こってりとしたラーメンに欠かせない背脂が、かつてないほど不足している。
東京・五反田の背脂をふんだんに使うことで人気のラーメン店「らーめん平太周 味庵」。
しょうゆベースのタレを入れた器に、柄が見えなくなるほどの背脂をかけ、モチモチの麺と勢いよく絡める。
そこにチャーシューや味玉といった具材をのせ、ひと晩じっくり煮込んだアツアツのとんこつスープを加えると、仕上げに2回目の「背脂チャッチャ」。
店自慢のこってり濃厚なとんこつしょうゆスープのラーメンが完成。
客「濃いめでしっかり脂が入っているところが食べたくなります」、「背脂系のラーメンが好きで、ここ食べたくなって(同僚を)誘って来た」、「なんか(背脂がないと)物足りないかなって感じちゃう」
こちらの店では、1杯のラーメンに使う背脂は100グラム以上。その背脂が高騰しているという。
背脂がいかに重要か、店主は次のように語った。
らーめん平太周 味庵 五反田本店・多畑志朗代表「それ(背脂)に合わせたスープなどの配合になっていますから、背脂が最後入っておいしく食べられる。ないともう食べられないくらいの違い。10年、20年前は1kgで言うと100円前後だったものが、コロナ前に約200円になりまして、いま約400円。まさに4倍です」
背脂以外の材料も軒並み値上がりしている。
2022年の同じ月に比べ、中華麺は10.5%アップ。ラーメンの花形、チャーシューに使われている豚肉は10.3%、トッピングには欠かせない卵にいたっては何と35.6%もの値上がり。
味の決め手となる背脂価格上昇の理由を精肉店に聞いた。
お肉のマルイチ・関口雅文さん「ロシアとウクライナの戦争もあるのではないか。(輸入物から)国内物にシフトしちゃって、入荷がすごく少なくなってきている」
ラーメン業界にも押し寄せる値上げの波。もはやギリギリの状況といえそう。