神奈川県真鶴町の松本一彦町長(56)が選挙人名簿抄本を不正にコピーして利用、配布した問題は16日、町が現職トップを告発するという前代未聞の事態に発展した。
選挙人名簿撮影の真鶴町・木村町議 報告会で虚偽説明 県警小田原署に告発状を提出した後、町の上甲新太郎参事と代理人弁護士が町民センターで記者会見した。 告発状は、2021年7月、松本氏が当時町職員だった尾森正氏(58)=懲戒免職=と共謀し、選挙人名簿抄本や住民基本台帳をコピーした上、町議選に立候補予定の3人に渡したなどとして、松本氏は公職選挙法違反や地方公務員法違反、窃盗などの容疑に該当するとしている。

代理人弁護士は今回のように現職トップを告発する事態について「私が知る限り前例がない。調査し、自信のある項目で告発状を作成した」と話した。 松本氏が自身を告発すると利益相反になるため、告発状の作成や提出には松本氏を関与させず、特命職員が対応してきたという。 この問題を調査してきた町設置の第三者委員会が4月の報告書で言及した松本氏への損害賠償請求について、上甲参事は「捜査が進んでからの判断になる」との回答にとどめた。 一方、松本氏は毎日新聞の取材に「公民権停止にならない限り、町長を辞めない」と話しており、職務を継続する姿勢を示している。公民権停止は、公職選挙法違反(選挙の自由妨害)で禁錮刑以上、刑法や地方公務員法で実刑が確定した場合となる。今後の捜査の行方が注目される。急きょ会見を中止 真鶴町から告発を受けた松本一彦町長は16日、予定していた記者会見を急きょ中止した。理由は明らかにしていない。 告発状が提出されたことを受け、町長として報道各社に配布したコメントには「検察、警察の捜査に真摯(しんし)に対応する。早期の刑事告発を望んでおり、問題の解決に向けて前進するものと考えている」と記されていた。 一方、松本氏の代理人弁護士は、この問題を調査してきた町設置の第三者委員会が4月に作成した報告書にほぼ全面的に反論。「選挙人名簿抄本を持ち出したのは元選管書記長」「町議選候補者3人に渡したのは松本氏が保管していたコピーで、真鶴町が保管していたものではない」などと主張している。 2021年12月の出直し町長選に再選した松本氏は「選挙で当選した」「一歩ずつ前に」と繰り返すが、選挙後に発覚した事実も多く、町政も停滞している。この問題に本気で向き合うつもりはあるのか、松本氏の説明責任が問われている。【本橋由紀、園部仁史】
県警小田原署に告発状を提出した後、町の上甲新太郎参事と代理人弁護士が町民センターで記者会見した。
告発状は、2021年7月、松本氏が当時町職員だった尾森正氏(58)=懲戒免職=と共謀し、選挙人名簿抄本や住民基本台帳をコピーした上、町議選に立候補予定の3人に渡したなどとして、松本氏は公職選挙法違反や地方公務員法違反、窃盗などの容疑に該当するとしている。
代理人弁護士は今回のように現職トップを告発する事態について「私が知る限り前例がない。調査し、自信のある項目で告発状を作成した」と話した。
松本氏が自身を告発すると利益相反になるため、告発状の作成や提出には松本氏を関与させず、特命職員が対応してきたという。
この問題を調査してきた町設置の第三者委員会が4月の報告書で言及した松本氏への損害賠償請求について、上甲参事は「捜査が進んでからの判断になる」との回答にとどめた。
一方、松本氏は毎日新聞の取材に「公民権停止にならない限り、町長を辞めない」と話しており、職務を継続する姿勢を示している。公民権停止は、公職選挙法違反(選挙の自由妨害)で禁錮刑以上、刑法や地方公務員法で実刑が確定した場合となる。今後の捜査の行方が注目される。
急きょ会見を中止
真鶴町から告発を受けた松本一彦町長は16日、予定していた記者会見を急きょ中止した。理由は明らかにしていない。
告発状が提出されたことを受け、町長として報道各社に配布したコメントには「検察、警察の捜査に真摯(しんし)に対応する。早期の刑事告発を望んでおり、問題の解決に向けて前進するものと考えている」と記されていた。
一方、松本氏の代理人弁護士は、この問題を調査してきた町設置の第三者委員会が4月に作成した報告書にほぼ全面的に反論。「選挙人名簿抄本を持ち出したのは元選管書記長」「町議選候補者3人に渡したのは松本氏が保管していたコピーで、真鶴町が保管していたものではない」などと主張している。
2021年12月の出直し町長選に再選した松本氏は「選挙で当選した」「一歩ずつ前に」と繰り返すが、選挙後に発覚した事実も多く、町政も停滞している。この問題に本気で向き合うつもりはあるのか、松本氏の説明責任が問われている。【本橋由紀、園部仁史】