結婚後の夫婦間のトラブルは後をたたない。トラブルを解消すべく、選択する一つの方法として「離婚」がある。これはトラブルの多さを表す指標としても確認できる。
厚生労働省の「令和4年度 離婚に関する統計の概況」によると、令和2年度には約19 万3000組が離婚している。平成15年以降は少しずつ減少しているものの、絶対数は多い。
結婚後のトラブルはさまざまにある。浮気から不倫、離婚、金銭問題、家族間の争い、相続トラブル……。それは人の数だけ、異なった形で存在する。「何かしらの不和を抱えて生きる、既婚女性たちのリアル」を、ここでは追っていく。
強い恐怖心を感じて今回は、夫から過度のモラハラ(モラルハラスメント)を受け、強い恐怖心から、実家からシェルターに避難、生活保護を受給していた斉藤ジェリーさん(33歳/仮名)を取材した。モラルハラスメントとは、「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることをいいます。パワハラと同様に、うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります」(引用:厚生労働省 こころの耳)とのこと。Photo by iStock妊娠してから夫のモラハラが始まり、だんだんエスカレート。追突事故に遭ったにもかかわらず放置された妻の、心のうちを聞いた。「夫婦の夢」のため頑張ったのに…夫とは20歳ほど年齢が離れており、妊娠前までは普通の夫婦だった。「結婚したら二人で飲食店をもとう」と目標をもち、実際に結婚1ヵ月で居酒屋をスタートした。斉藤さんは、家計を助けるため、昼間は週5ほど施設の調理関係のパートで働き、夜は夫の経営する居酒屋を、夕方から深夜2時まで、毎日手伝うことになる。休みは平日1日だったが、夢の実現のためにがんばるのは、さほど辛さは感じなかった。しかし、子どもを妊娠し、体調に変化があらわれると、夫の態度も変わっていった。 「妊娠してから出産まで、ずっとつわりが続きました。匂いに敏感になり、少しでも匂うとすぐに吐きそうになってしまう。食べることができず、水を飲むこともままならないため、常にフラフラした状態になりました」つわりのため、妊娠して2ヵ月で8キロ痩せた。一向につわりは収まる気配がない。しかし、居酒屋は、人件費がかけられないため、毎日深夜まで手伝いを継続しなければならなかった。具合が悪くて休んでいると、夫に「『だらけすぎだ』『休んでないで働けよ』と言われて。少し休むと、『さぼっている』と責めたてられる毎日になっていきました」汚いものを見るような目で店で夕飯が出されても、気持ち悪くてなかなか食べられない。しかし体力をつけるためと頑張って、少し飲んだり、物を口にしたりすると、今度は激しい吐き気に襲われた。つわりで吐いている斉藤さんの姿を見るにつけ、夫はため息まじりに「せっかく作った物なのに、もったいない」「じゃあ食わなきゃいいのに」と言った。嘔吐が原因なのか、排水溝がつまってしまったときは「本当に迷惑だ」「勘弁してくれよ」と怒鳴りつけられた。妊娠後はいつしか、夫は恐怖の対象でしかなくなっていった。 「体調が辛い状況でも寝ていてはダメ。何かやらなきゃダメ。休んでいてはダメ。夫の存在にビクビクしながら、追いつめられたような精神状態に陥ってしまったんです」さらに夫は結婚前では考えられないような、冷たい、見下すような目で、斉藤さんを見るようになった。「夫の、私を罵るときの目が忘れられません。本当に、汚物を見ているような目……。汚らわしい物を見るかのように蔑んだ目で見られて、悲しかったです。これがこの人の本性だったのか、ああ自分は見る目がなかったな、と。でも、私も初めての結婚だし、こういう夫でも尽くしていくしかないのかと思っていました」「病院なんか行くなよ」しかし妊娠5ヵ月のとき、斉藤さんが「もう無理だ」と決断した出来事が起こった。買い物後、つわりで具合が悪くて、スーパーの駐車場の車を止め、車のなかでうずくまって休んでいた時のこと。いきなり、軽トラックが、斉藤さんの車にバックで突っ込んできたのだ。「ドーン、と大きな衝撃とともに、腰に激痛が走りました。血の気が引き、痛みと同時に『お腹に子どもがいるのに……』とパニックになって。急いで旦那に連絡して、来てもらったんです」ここまではまだ良かった。しかし夫から、想定外の言葉がかえってきたのだ。 「夫には『こんなところで休んでいるお前が悪いんだろ』と言われました。『軽トラで突っ込んだのは、うちのお客さんの友達かもしれないから、警察は呼ぶな』とも言われたんです。そして最後に、『大ごとにしたくないから、病院になんか行くなよ』と」頭が真っ白になって一瞬、斉藤さんは耳を疑った。「自分やお腹の子より、お客さんの友達を優先するの?」と。「私やお腹の子への配慮は一切なくて……。結局、体調などを気遣うような『心配』という言葉は、夫からは一度たりとも聞きませんでした。腰に激痛があることを伝えても、病院に行くな、と。どうしてそんなことが言えるんだろう、と思って……」取材中、斉藤さんは話しながら、泣いていた。本当に辛かったのだ。事故の後はそのまま家に帰ったが、腰に激痛が走り、一日中寝られなかった。「お腹の子どもに何かあったらどうしよう」と考えると、頭が真っ白になり、涙が出た。 翌朝、自分の判断で、近所の整形外科に駆け込んだ。しかし妊婦のため、レントゲンが撮れず、通常の診療はできなかった。事情は説明したが、看護師から「妊婦だと腰が痛くなりやすいのよ。様子をみてください」という言葉をかけられ、帰されることとなる。このままでは、崩壊する…斉藤さんの激しい腰痛は続き、数日寝たきりとなった。さらに、つわりでモノが食べられない、水分を飲んでも戻してしまう状況も続く。心身ともにかなり疲弊し、体力もなくなった。しかし、ぐったりと横になっていると、それを見た夫は「だらけすぎだから。いいかげんにしろよ」と責めてくる。1週間休んだあと、斉藤さんは居酒屋の手伝いを再開。しかし当然働ける状況にはなかった。「お客さんから『ビール』と言われても、言われていることが理解できないんです。ビールって何、どうすればいいの、という感じ。レジも打てなくなっていて……。店に立ったものの、何も分からなくなり、パニックになりました」 そして「このままでは自分が崩壊する」と思い、お姉さんに連絡して、その足で実家に帰ったのだ。だが、実家でつかの間の安心を得た斉藤さんを、夫からのさらなるモラハラが襲う。その顛末を後編『あの人が子どもをさらいにくる…「モラ夫」と決別したはずの33歳妻が、恐怖のどん底に落ちた「ヤバすぎる脅迫」』で詳しくお伝えしよう。
今回は、夫から過度のモラハラ(モラルハラスメント)を受け、強い恐怖心から、実家からシェルターに避難、生活保護を受給していた斉藤ジェリーさん(33歳/仮名)を取材した。
モラルハラスメントとは、「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることをいいます。パワハラと同様に、うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります」(引用:厚生労働省 こころの耳)とのこと。
Photo by iStock
妊娠してから夫のモラハラが始まり、だんだんエスカレート。追突事故に遭ったにもかかわらず放置された妻の、心のうちを聞いた。
夫とは20歳ほど年齢が離れており、妊娠前までは普通の夫婦だった。「結婚したら二人で飲食店をもとう」と目標をもち、実際に結婚1ヵ月で居酒屋をスタートした。
斉藤さんは、家計を助けるため、昼間は週5ほど施設の調理関係のパートで働き、夜は夫の経営する居酒屋を、夕方から深夜2時まで、毎日手伝うことになる。休みは平日1日だったが、夢の実現のためにがんばるのは、さほど辛さは感じなかった。
しかし、子どもを妊娠し、体調に変化があらわれると、夫の態度も変わっていった。
「妊娠してから出産まで、ずっとつわりが続きました。匂いに敏感になり、少しでも匂うとすぐに吐きそうになってしまう。食べることができず、水を飲むこともままならないため、常にフラフラした状態になりました」つわりのため、妊娠して2ヵ月で8キロ痩せた。一向につわりは収まる気配がない。しかし、居酒屋は、人件費がかけられないため、毎日深夜まで手伝いを継続しなければならなかった。具合が悪くて休んでいると、夫に「『だらけすぎだ』『休んでないで働けよ』と言われて。少し休むと、『さぼっている』と責めたてられる毎日になっていきました」汚いものを見るような目で店で夕飯が出されても、気持ち悪くてなかなか食べられない。しかし体力をつけるためと頑張って、少し飲んだり、物を口にしたりすると、今度は激しい吐き気に襲われた。つわりで吐いている斉藤さんの姿を見るにつけ、夫はため息まじりに「せっかく作った物なのに、もったいない」「じゃあ食わなきゃいいのに」と言った。嘔吐が原因なのか、排水溝がつまってしまったときは「本当に迷惑だ」「勘弁してくれよ」と怒鳴りつけられた。妊娠後はいつしか、夫は恐怖の対象でしかなくなっていった。 「体調が辛い状況でも寝ていてはダメ。何かやらなきゃダメ。休んでいてはダメ。夫の存在にビクビクしながら、追いつめられたような精神状態に陥ってしまったんです」さらに夫は結婚前では考えられないような、冷たい、見下すような目で、斉藤さんを見るようになった。「夫の、私を罵るときの目が忘れられません。本当に、汚物を見ているような目……。汚らわしい物を見るかのように蔑んだ目で見られて、悲しかったです。これがこの人の本性だったのか、ああ自分は見る目がなかったな、と。でも、私も初めての結婚だし、こういう夫でも尽くしていくしかないのかと思っていました」「病院なんか行くなよ」しかし妊娠5ヵ月のとき、斉藤さんが「もう無理だ」と決断した出来事が起こった。買い物後、つわりで具合が悪くて、スーパーの駐車場の車を止め、車のなかでうずくまって休んでいた時のこと。いきなり、軽トラックが、斉藤さんの車にバックで突っ込んできたのだ。「ドーン、と大きな衝撃とともに、腰に激痛が走りました。血の気が引き、痛みと同時に『お腹に子どもがいるのに……』とパニックになって。急いで旦那に連絡して、来てもらったんです」ここまではまだ良かった。しかし夫から、想定外の言葉がかえってきたのだ。 「夫には『こんなところで休んでいるお前が悪いんだろ』と言われました。『軽トラで突っ込んだのは、うちのお客さんの友達かもしれないから、警察は呼ぶな』とも言われたんです。そして最後に、『大ごとにしたくないから、病院になんか行くなよ』と」頭が真っ白になって一瞬、斉藤さんは耳を疑った。「自分やお腹の子より、お客さんの友達を優先するの?」と。「私やお腹の子への配慮は一切なくて……。結局、体調などを気遣うような『心配』という言葉は、夫からは一度たりとも聞きませんでした。腰に激痛があることを伝えても、病院に行くな、と。どうしてそんなことが言えるんだろう、と思って……」取材中、斉藤さんは話しながら、泣いていた。本当に辛かったのだ。事故の後はそのまま家に帰ったが、腰に激痛が走り、一日中寝られなかった。「お腹の子どもに何かあったらどうしよう」と考えると、頭が真っ白になり、涙が出た。 翌朝、自分の判断で、近所の整形外科に駆け込んだ。しかし妊婦のため、レントゲンが撮れず、通常の診療はできなかった。事情は説明したが、看護師から「妊婦だと腰が痛くなりやすいのよ。様子をみてください」という言葉をかけられ、帰されることとなる。このままでは、崩壊する…斉藤さんの激しい腰痛は続き、数日寝たきりとなった。さらに、つわりでモノが食べられない、水分を飲んでも戻してしまう状況も続く。心身ともにかなり疲弊し、体力もなくなった。しかし、ぐったりと横になっていると、それを見た夫は「だらけすぎだから。いいかげんにしろよ」と責めてくる。1週間休んだあと、斉藤さんは居酒屋の手伝いを再開。しかし当然働ける状況にはなかった。「お客さんから『ビール』と言われても、言われていることが理解できないんです。ビールって何、どうすればいいの、という感じ。レジも打てなくなっていて……。店に立ったものの、何も分からなくなり、パニックになりました」 そして「このままでは自分が崩壊する」と思い、お姉さんに連絡して、その足で実家に帰ったのだ。だが、実家でつかの間の安心を得た斉藤さんを、夫からのさらなるモラハラが襲う。その顛末を後編『あの人が子どもをさらいにくる…「モラ夫」と決別したはずの33歳妻が、恐怖のどん底に落ちた「ヤバすぎる脅迫」』で詳しくお伝えしよう。
「妊娠してから出産まで、ずっとつわりが続きました。匂いに敏感になり、少しでも匂うとすぐに吐きそうになってしまう。食べることができず、水を飲むこともままならないため、常にフラフラした状態になりました」
つわりのため、妊娠して2ヵ月で8キロ痩せた。一向につわりは収まる気配がない。しかし、居酒屋は、人件費がかけられないため、毎日深夜まで手伝いを継続しなければならなかった。具合が悪くて休んでいると、夫に「『だらけすぎだ』『休んでないで働けよ』と言われて。少し休むと、『さぼっている』と責めたてられる毎日になっていきました」
店で夕飯が出されても、気持ち悪くてなかなか食べられない。しかし体力をつけるためと頑張って、少し飲んだり、物を口にしたりすると、今度は激しい吐き気に襲われた。
つわりで吐いている斉藤さんの姿を見るにつけ、夫はため息まじりに「せっかく作った物なのに、もったいない」「じゃあ食わなきゃいいのに」と言った。
嘔吐が原因なのか、排水溝がつまってしまったときは「本当に迷惑だ」「勘弁してくれよ」と怒鳴りつけられた。
妊娠後はいつしか、夫は恐怖の対象でしかなくなっていった。
「体調が辛い状況でも寝ていてはダメ。何かやらなきゃダメ。休んでいてはダメ。夫の存在にビクビクしながら、追いつめられたような精神状態に陥ってしまったんです」さらに夫は結婚前では考えられないような、冷たい、見下すような目で、斉藤さんを見るようになった。「夫の、私を罵るときの目が忘れられません。本当に、汚物を見ているような目……。汚らわしい物を見るかのように蔑んだ目で見られて、悲しかったです。これがこの人の本性だったのか、ああ自分は見る目がなかったな、と。でも、私も初めての結婚だし、こういう夫でも尽くしていくしかないのかと思っていました」「病院なんか行くなよ」しかし妊娠5ヵ月のとき、斉藤さんが「もう無理だ」と決断した出来事が起こった。買い物後、つわりで具合が悪くて、スーパーの駐車場の車を止め、車のなかでうずくまって休んでいた時のこと。いきなり、軽トラックが、斉藤さんの車にバックで突っ込んできたのだ。「ドーン、と大きな衝撃とともに、腰に激痛が走りました。血の気が引き、痛みと同時に『お腹に子どもがいるのに……』とパニックになって。急いで旦那に連絡して、来てもらったんです」ここまではまだ良かった。しかし夫から、想定外の言葉がかえってきたのだ。 「夫には『こんなところで休んでいるお前が悪いんだろ』と言われました。『軽トラで突っ込んだのは、うちのお客さんの友達かもしれないから、警察は呼ぶな』とも言われたんです。そして最後に、『大ごとにしたくないから、病院になんか行くなよ』と」頭が真っ白になって一瞬、斉藤さんは耳を疑った。「自分やお腹の子より、お客さんの友達を優先するの?」と。「私やお腹の子への配慮は一切なくて……。結局、体調などを気遣うような『心配』という言葉は、夫からは一度たりとも聞きませんでした。腰に激痛があることを伝えても、病院に行くな、と。どうしてそんなことが言えるんだろう、と思って……」取材中、斉藤さんは話しながら、泣いていた。本当に辛かったのだ。事故の後はそのまま家に帰ったが、腰に激痛が走り、一日中寝られなかった。「お腹の子どもに何かあったらどうしよう」と考えると、頭が真っ白になり、涙が出た。 翌朝、自分の判断で、近所の整形外科に駆け込んだ。しかし妊婦のため、レントゲンが撮れず、通常の診療はできなかった。事情は説明したが、看護師から「妊婦だと腰が痛くなりやすいのよ。様子をみてください」という言葉をかけられ、帰されることとなる。このままでは、崩壊する…斉藤さんの激しい腰痛は続き、数日寝たきりとなった。さらに、つわりでモノが食べられない、水分を飲んでも戻してしまう状況も続く。心身ともにかなり疲弊し、体力もなくなった。しかし、ぐったりと横になっていると、それを見た夫は「だらけすぎだから。いいかげんにしろよ」と責めてくる。1週間休んだあと、斉藤さんは居酒屋の手伝いを再開。しかし当然働ける状況にはなかった。「お客さんから『ビール』と言われても、言われていることが理解できないんです。ビールって何、どうすればいいの、という感じ。レジも打てなくなっていて……。店に立ったものの、何も分からなくなり、パニックになりました」 そして「このままでは自分が崩壊する」と思い、お姉さんに連絡して、その足で実家に帰ったのだ。だが、実家でつかの間の安心を得た斉藤さんを、夫からのさらなるモラハラが襲う。その顛末を後編『あの人が子どもをさらいにくる…「モラ夫」と決別したはずの33歳妻が、恐怖のどん底に落ちた「ヤバすぎる脅迫」』で詳しくお伝えしよう。
「体調が辛い状況でも寝ていてはダメ。何かやらなきゃダメ。休んでいてはダメ。夫の存在にビクビクしながら、追いつめられたような精神状態に陥ってしまったんです」
さらに夫は結婚前では考えられないような、冷たい、見下すような目で、斉藤さんを見るようになった。
「夫の、私を罵るときの目が忘れられません。本当に、汚物を見ているような目……。汚らわしい物を見るかのように蔑んだ目で見られて、悲しかったです。これがこの人の本性だったのか、ああ自分は見る目がなかったな、と。でも、私も初めての結婚だし、こういう夫でも尽くしていくしかないのかと思っていました」
しかし妊娠5ヵ月のとき、斉藤さんが「もう無理だ」と決断した出来事が起こった。
買い物後、つわりで具合が悪くて、スーパーの駐車場の車を止め、車のなかでうずくまって休んでいた時のこと。いきなり、軽トラックが、斉藤さんの車にバックで突っ込んできたのだ。
「ドーン、と大きな衝撃とともに、腰に激痛が走りました。血の気が引き、痛みと同時に『お腹に子どもがいるのに……』とパニックになって。急いで旦那に連絡して、来てもらったんです」
ここまではまだ良かった。しかし夫から、想定外の言葉がかえってきたのだ。
「夫には『こんなところで休んでいるお前が悪いんだろ』と言われました。『軽トラで突っ込んだのは、うちのお客さんの友達かもしれないから、警察は呼ぶな』とも言われたんです。そして最後に、『大ごとにしたくないから、病院になんか行くなよ』と」頭が真っ白になって一瞬、斉藤さんは耳を疑った。「自分やお腹の子より、お客さんの友達を優先するの?」と。「私やお腹の子への配慮は一切なくて……。結局、体調などを気遣うような『心配』という言葉は、夫からは一度たりとも聞きませんでした。腰に激痛があることを伝えても、病院に行くな、と。どうしてそんなことが言えるんだろう、と思って……」取材中、斉藤さんは話しながら、泣いていた。本当に辛かったのだ。事故の後はそのまま家に帰ったが、腰に激痛が走り、一日中寝られなかった。「お腹の子どもに何かあったらどうしよう」と考えると、頭が真っ白になり、涙が出た。 翌朝、自分の判断で、近所の整形外科に駆け込んだ。しかし妊婦のため、レントゲンが撮れず、通常の診療はできなかった。事情は説明したが、看護師から「妊婦だと腰が痛くなりやすいのよ。様子をみてください」という言葉をかけられ、帰されることとなる。このままでは、崩壊する…斉藤さんの激しい腰痛は続き、数日寝たきりとなった。さらに、つわりでモノが食べられない、水分を飲んでも戻してしまう状況も続く。心身ともにかなり疲弊し、体力もなくなった。しかし、ぐったりと横になっていると、それを見た夫は「だらけすぎだから。いいかげんにしろよ」と責めてくる。1週間休んだあと、斉藤さんは居酒屋の手伝いを再開。しかし当然働ける状況にはなかった。「お客さんから『ビール』と言われても、言われていることが理解できないんです。ビールって何、どうすればいいの、という感じ。レジも打てなくなっていて……。店に立ったものの、何も分からなくなり、パニックになりました」 そして「このままでは自分が崩壊する」と思い、お姉さんに連絡して、その足で実家に帰ったのだ。だが、実家でつかの間の安心を得た斉藤さんを、夫からのさらなるモラハラが襲う。その顛末を後編『あの人が子どもをさらいにくる…「モラ夫」と決別したはずの33歳妻が、恐怖のどん底に落ちた「ヤバすぎる脅迫」』で詳しくお伝えしよう。
「夫には『こんなところで休んでいるお前が悪いんだろ』と言われました。『軽トラで突っ込んだのは、うちのお客さんの友達かもしれないから、警察は呼ぶな』とも言われたんです。そして最後に、『大ごとにしたくないから、病院になんか行くなよ』と」
一瞬、斉藤さんは耳を疑った。「自分やお腹の子より、お客さんの友達を優先するの?」と。
「私やお腹の子への配慮は一切なくて……。結局、体調などを気遣うような『心配』という言葉は、夫からは一度たりとも聞きませんでした。腰に激痛があることを伝えても、病院に行くな、と。どうしてそんなことが言えるんだろう、と思って……」
取材中、斉藤さんは話しながら、泣いていた。本当に辛かったのだ。
事故の後はそのまま家に帰ったが、腰に激痛が走り、一日中寝られなかった。「お腹の子どもに何かあったらどうしよう」と考えると、頭が真っ白になり、涙が出た。
翌朝、自分の判断で、近所の整形外科に駆け込んだ。しかし妊婦のため、レントゲンが撮れず、通常の診療はできなかった。事情は説明したが、看護師から「妊婦だと腰が痛くなりやすいのよ。様子をみてください」という言葉をかけられ、帰されることとなる。このままでは、崩壊する…斉藤さんの激しい腰痛は続き、数日寝たきりとなった。さらに、つわりでモノが食べられない、水分を飲んでも戻してしまう状況も続く。心身ともにかなり疲弊し、体力もなくなった。しかし、ぐったりと横になっていると、それを見た夫は「だらけすぎだから。いいかげんにしろよ」と責めてくる。1週間休んだあと、斉藤さんは居酒屋の手伝いを再開。しかし当然働ける状況にはなかった。「お客さんから『ビール』と言われても、言われていることが理解できないんです。ビールって何、どうすればいいの、という感じ。レジも打てなくなっていて……。店に立ったものの、何も分からなくなり、パニックになりました」 そして「このままでは自分が崩壊する」と思い、お姉さんに連絡して、その足で実家に帰ったのだ。だが、実家でつかの間の安心を得た斉藤さんを、夫からのさらなるモラハラが襲う。その顛末を後編『あの人が子どもをさらいにくる…「モラ夫」と決別したはずの33歳妻が、恐怖のどん底に落ちた「ヤバすぎる脅迫」』で詳しくお伝えしよう。
翌朝、自分の判断で、近所の整形外科に駆け込んだ。
しかし妊婦のため、レントゲンが撮れず、通常の診療はできなかった。事情は説明したが、看護師から「妊婦だと腰が痛くなりやすいのよ。様子をみてください」という言葉をかけられ、帰されることとなる。
斉藤さんの激しい腰痛は続き、数日寝たきりとなった。さらに、つわりでモノが食べられない、水分を飲んでも戻してしまう状況も続く。心身ともにかなり疲弊し、体力もなくなった。しかし、ぐったりと横になっていると、それを見た夫は「だらけすぎだから。いいかげんにしろよ」と責めてくる。
1週間休んだあと、斉藤さんは居酒屋の手伝いを再開。しかし当然働ける状況にはなかった。
「お客さんから『ビール』と言われても、言われていることが理解できないんです。ビールって何、どうすればいいの、という感じ。レジも打てなくなっていて……。店に立ったものの、何も分からなくなり、パニックになりました」
そして「このままでは自分が崩壊する」と思い、お姉さんに連絡して、その足で実家に帰ったのだ。だが、実家でつかの間の安心を得た斉藤さんを、夫からのさらなるモラハラが襲う。その顛末を後編『あの人が子どもをさらいにくる…「モラ夫」と決別したはずの33歳妻が、恐怖のどん底に落ちた「ヤバすぎる脅迫」』で詳しくお伝えしよう。
そして「このままでは自分が崩壊する」と思い、お姉さんに連絡して、その足で実家に帰ったのだ。
だが、実家でつかの間の安心を得た斉藤さんを、夫からのさらなるモラハラが襲う。その顛末を後編『あの人が子どもをさらいにくる…「モラ夫」と決別したはずの33歳妻が、恐怖のどん底に落ちた「ヤバすぎる脅迫」』で詳しくお伝えしよう。