6割の女性が不調を感じるという、閉経前後の10年を指す更年期。人によって症状が違うのが更年期の辛いところですが、ほかの人の体験を読むことは、理解を深め、不安を和らげることにもつながります。言いづらい悩みも多いなか、56歳のESSE読者りりさんに、40代後半のときに起こった更年期の体験談を語ってもらいました。
専業主婦。5人の子どものうち4人は独立。更年期症状は、疲れやすい、情緒不安定など。つい最近「大丈夫そう」と改善を自覚できるようになったそうです。
もともと頭痛もちだったのですが、40代後半頃から、肩こりがひどくなり、それに伴って頭痛も悪化。市販薬が効かなくなって、芯から痛みを感じるようになりました。動悸や疲れやすさもあり、仕事や子育て、夫との関係、大変なことばかりでよく泣いていました。ネットで更年期のチェックリストを見つけ、やってみるとほとんど当てはまっていたので、婦人科に勤務する妹に相談、受診をすすめられ、そこでホルモン剤とビタミン剤を処方してもらいました。
30~40代は5人の子育てが忙しかったとはいえ、体力もあったので、目まぐるしい生活でもなんとか踏ん張っていました。それが40代後半になった頃からプツッと糸が切れたようにがんばれなくなってしまったんです。「あれ、私どうしたんだろう、もう少しがんばれるはず」って。
同じ頃、夫にも不満を感じるように…。18歳年上の夫は、食事の用意もしてくれて、子煩悩、孫にも優しい「よきパパ、よきじいじ」。でもそれは子どもや孫にだけで、私にはちょっとしたことで舌打ちしたり、2週間無視はザラ。だれかに相談したくても、周囲は外面のいい夫しか知らないので「あんなにいい旦那さんのどこが不満なの」と私が悪者になってしまうばかりで、だれにも言えない悶々とした日々が続きました。
1年前、孫の面倒を見に子どもの家へ行って夕方帰宅すると、キッチンに突き刺さっている包丁が! 事件が起きたのかと思いましたが、犯人は夫…。どうやら熱中症で倒れて早めに帰宅したのに、私が家にいないことで腹を立ててやったようでした。私も更年期が重なり、我慢が利かなくなって「家を出よう」と決心。子どもたちには住んでいるところを教えましたが、夫には教えず、半年間別居しました。
同居していたいちばん下の息子は「自分は大丈夫だから、お母さんの好きなようにして」と言ってくれ、他の子どもたちも見守ってくれていました。それが結果として「家事の負担を減らす=心の負担を減らす」ことになり、ウキウキ晴れ晴れ、更年期の症状が軽くなっていきました。
家出後、私はテンションが上がり、仕事にゴルフに孫の世話にと無理をしすぎてダウン。夫も10キロやせ、うつっぽくなってしまったことから和解、同居の生活に戻りました。あれから半年、夫の態度は180度変化し、「ありがとう」など人間らしい会話ができるようになりました。お互いに思いやりがあるだけで、気持ちはまるで違います。
更年期に悩んでいたときはどしゃぶりでぬかるんでいて、今のような穏やかな晴れ晴れとした日が来るとは思いもしませんでした。荒療治でしたけど、やってよかったと思っています。