【多田文明 悪徳ビジネスの仮面を剥ぐ】#8
わずか2分で大金をだまし取る! ニセ「メルカリ」サイトの巧妙な手口 ネット検索をして、健康食品などを少しでも安く買いたがる人たち。悪徳業者は彼らを狙って罠を仕掛けている。 50代女性は自分に合う化粧品をスマホで探しているとき、定価1万円の商品が2000円という広告を見つけた。「購入回数の縛りがない」「解約はできる」という文言がある。値段部分をタップすると申し込み画面が出た。「〇〇コース」とあり、複数回の定期購入だったが、広告の解約可能を信じて大丈夫だと思い、注文することにした。

そこには「利用規約について承諾。定期コースの条件に同意する」という一文が書いてあり、これに確認のチェックを入れて注文した。実はここにこそ業者の罠があったのだが、彼女はそれに気づかなかった。■何度電話しても応答なし 約3週間後に商品が到着。だが使ってみると肌に合わないので、次の商品が送られてくる前に、解約しようと思い電話をかけた。ところが「現在、電話が大変混み合っています」のガイダンスが流れる。何度かけてもつながらない。一度だけつながったが、20秒ごとに10円かかるナビダイヤルな上にオペレーターは出てこない。電話代が400円を超えたのでいったん切った。 その後も電話を40回以上かけ続けたが通じなかった。ここで諦める人も多いかもしれないが、女性は翌日、メールで解約を伝えた。しかし相手の業者は無視。再度メールを送ると、ようやく連絡メールがきたが、衝撃的な内容が書かれていた。「あなたは4回分の商品を受け取るコース契約なので、2回目以降の返品、解約は受け付けられない」 金額は4万円以上だ。■チェック項目の罠 業者はなぜこのように強気に出るのか。実は先のチェックを入れた項目に、こっそりと「利用規約」の文字を忍び込ませていたのだ。「利用規約」の文字をタップすると、10項目以上の規約が出てきて、その中に「4回未満の解約は受けていない」と記載されていた。重要事項を別なところに密かに書き、解約できないようにする悪質な業者だったのだ。 女性は解約通知の内容証明を送るが、2回目の商品が届けられてきた。そこで受け取りを拒否した。すると自宅に請求書が届き「支払わない場合は法的措置を取る」とのメールも届く。女性は弁護士などに相談して、お金を払わなくても大丈夫というアドバイスを受け、何とか支払わずに済んだ。 こうしたトラブルが多発しているため、今年6月から改正特定商取引法が施行され、定期購入の期間などは、注文前にわかりやすい形で表示するよう義務付けられている。 この女性のように「期間」や「総額」などの重要事項が書かれておらず、誤認させるような表示の場合、契約を取り消せる可能性が高いので、トラブルに遭った時は泣き寝入りせず「188」(消費者ホットライン)に相談することが重要だ。(多田文明/詐欺・悪徳商法ジャーナリスト)
ネット検索をして、健康食品などを少しでも安く買いたがる人たち。悪徳業者は彼らを狙って罠を仕掛けている。
50代女性は自分に合う化粧品をスマホで探しているとき、定価1万円の商品が2000円という広告を見つけた。「購入回数の縛りがない」「解約はできる」という文言がある。値段部分をタップすると申し込み画面が出た。「〇〇コース」とあり、複数回の定期購入だったが、広告の解約可能を信じて大丈夫だと思い、注文することにした。
そこには「利用規約について承諾。定期コースの条件に同意する」という一文が書いてあり、これに確認のチェックを入れて注文した。実はここにこそ業者の罠があったのだが、彼女はそれに気づかなかった。
■何度電話しても応答なし
約3週間後に商品が到着。だが使ってみると肌に合わないので、次の商品が送られてくる前に、解約しようと思い電話をかけた。ところが「現在、電話が大変混み合っています」のガイダンスが流れる。何度かけてもつながらない。一度だけつながったが、20秒ごとに10円かかるナビダイヤルな上にオペレーターは出てこない。電話代が400円を超えたのでいったん切った。
その後も電話を40回以上かけ続けたが通じなかった。ここで諦める人も多いかもしれないが、女性は翌日、メールで解約を伝えた。しかし相手の業者は無視。再度メールを送ると、ようやく連絡メールがきたが、衝撃的な内容が書かれていた。
「あなたは4回分の商品を受け取るコース契約なので、2回目以降の返品、解約は受け付けられない」
金額は4万円以上だ。
■チェック項目の罠
業者はなぜこのように強気に出るのか。実は先のチェックを入れた項目に、こっそりと「利用規約」の文字を忍び込ませていたのだ。「利用規約」の文字をタップすると、10項目以上の規約が出てきて、その中に「4回未満の解約は受けていない」と記載されていた。重要事項を別なところに密かに書き、解約できないようにする悪質な業者だったのだ。
女性は解約通知の内容証明を送るが、2回目の商品が届けられてきた。そこで受け取りを拒否した。すると自宅に請求書が届き「支払わない場合は法的措置を取る」とのメールも届く。女性は弁護士などに相談して、お金を払わなくても大丈夫というアドバイスを受け、何とか支払わずに済んだ。
こうしたトラブルが多発しているため、今年6月から改正特定商取引法が施行され、定期購入の期間などは、注文前にわかりやすい形で表示するよう義務付けられている。
この女性のように「期間」や「総額」などの重要事項が書かれておらず、誤認させるような表示の場合、契約を取り消せる可能性が高いので、トラブルに遭った時は泣き寝入りせず「188」(消費者ホットライン)に相談することが重要だ。
(多田文明/詐欺・悪徳商法ジャーナリスト)