台風15号の影響で記録的な大雨が降った静岡県内では、23日深夜から24日未明にかけ、各地で土砂崩れで住宅が押しつぶされるなどして5人が死傷するなどの被害が生じた。
静岡市を中心に24日午前10時現在、約11万6000戸で停電が起きたほか、JR東海道新幹線が一部区間で運転を見合わせるなど公共交通機関にも混乱が生じている。
静岡県西部の掛川市遊家では同日午前0時50分頃、土砂崩れが発生。倒壊した民家から住人の山崎悟司さん(45)が救助されたが、搬送先で死亡が確認された。県によると、死因は土砂による圧迫死だという。
現場では、裏山の土砂に押されて1階部分が潰され、斜めに傾いた木造2階建ての家屋が無残な姿をさらしていた。同じ敷地にある別棟に住む山崎さんの父親(74)によると、20分ほど前に山崎さんが寝ている家屋の方向から「バキン」という鉄骨が折れるような音が聞こえ、窓を開けて確認すると、家が傾斜していたという。
父親は「土砂に一気に流されたのではなく、少しずつ押されたのだと思う。逃げようと思って間に合わなかったのだろう」と肩を落とした。
浜松市天竜区緑恵台でも同日午前0時15分頃、土砂崩れが民家3棟を襲い、うち1棟に住んでいる男性(63)と妻(41)、息子(9)の家族3人が軽傷を負った。ほか2棟の住民計3人は無事だった。
県中部の川根本町下泉では同日午前2時50分頃、大雨で道路が陥没し、軽トラックが転落。乗っていた70歳代男性2人のうち、運転していた1人が行方不明となっている。もう1人は自力で脱出した。
中部電力パワーグリッドなどによると、同日午前10時現在、県内10市町の約11万6000戸で停電が続いている。静岡市では同日午前、飲食店やコンビニ店の店頭で、従業員が臨時休業のチラシを貼っていた。市街地の信号機も一部で停止し、車や歩行者が慎重に行き交っていた。