福岡市博多区のJR博多駅近くの路上で1月、福岡県那珂川市、会社員川野美樹さん(当時38歳)が刺殺された事件で、殺人罪などで起訴された川野さんの元交際相手の寺内進被告(31)が17日、福岡拘置所(福岡市早良区)で読売新聞の取材に応じた。
寺内被告は「事件当日、(川野さんと)偶然会った。口論になってキレた」と主張。「眠れなくて、ずっと後悔している」と語った。
寺内被告はジャージー上下に、スリッパを履いて面会室に現れた。髪は金色に染めており、白いマスクをしていた。事件当日の1月16日の行動については、「携帯電話の料金を支払うために博多駅へ向かう途中で偶然、(川野さんと)路上で会った」と待ち伏せを否定。その後、川野さんとのやり取りを説明した。
寺内被告はストーカー規制法に基づき、川野さんへのつきまといなどについて福岡県警から禁止命令を受けていた。命令から約2週間後の昨年12月9日、県警に電話で「自分は電話していないが、(川野さんから)携帯電話に絵文字が送られてきた」と連絡していた。
県警は絵文字を送っていないことを川野さんに確認している。寺内被告は取材に対し、事件当日、川野さんに絵文字の件を尋ねると、「知らない」と言われたと説明。そこから口論になり、「警察呼ぶ。うざい」などと言われ、川野さんを持っていた包丁で刺したと主張した。「キレてからは記憶がない。包丁は護身用に持っていた」と話した。また、「事件については後悔しかない」としたうえで、「遺族宛てに手紙を書いていて、申し訳ないとは思っているが、どう誠意を表せばいいのかわからない」と語った。
県警は、禁止命令を受けているにもかかわらず、川野さんにつきまとい行為をしたとして、寺内被告をストーカー規制法違反容疑で追送検する方針。