「こちらの商品はお値下げ可能でしょうか?」
【写真】正直ウザい……フリマアプリの「値下げ依頼」コメント「○○○円で購入させていただけないでしょうか?」「送料込みにしてもらえませんか?」フリマアプリにはびこる“困ったユーザー” 『メルカリ』などのフリマアプリでよく見られる価格の交渉。スマホでも手軽に出品でき、近年は副業としても人気で、“本業”として月に数十万円を稼ぐ主婦もいるなど隆盛を見せるフリマアプリ。上手く使えば稼げる。しかし、それを阻む一部の困ったユーザーがいて……。

「フリマアプリとして『メルカリ』は後発ですが、’21年の“利用したことがあるフリマサービス・アプリ”という調査で1位となりました。メルカリの大きな特徴として“値下げ交渉”が容認されている点があります」(ITジャーナリスト) メルカリで商品を出品すると、「商品ページ閲覧数」「いいね数」が一定数あれば、必ずといっていいほど冒頭のような交渉のメッセージがコメント欄に投稿される。『ヤフオク!』ではコメント欄での値段交渉は禁止されている(以前は『値下げ交渉機能』を導入していたが’21年に終了・後述)。「ヤフオク以降、フリマサービスは多数登場しましたが、値下げ交渉を容認し、それを“文化”にしたのはメルカリといえるでしょう。フリマサービス黎明期でもヤフオクの質問欄で値下げ交渉する人も一部いました。 しかし、出品者が提示した金額を下回る金額で買おうとしているわけです。当然ながらその行為は嫌われるものでした」(前出・ITジャーナリスト、以下同) 先発であるヤフオクとの差別化する意図もあったのか、メルカリは値下げ交渉を禁止していない。それゆえコメント欄に交渉が飛び交う。出品者からの評判は……。値下げを求める利用者への出品者のホンネ「値下げ交渉はめちゃくちゃウザい。出品した直後に値下げ交渉されるのは腹が立ちますね」(出品者、以下の「」はそれぞれ別の出品者の声)「いきなりタメ口だったり、値下げを断ると暴言吐かれたり。今は値下げ交渉のコメントは即削除してます」「値下げを要求されて、“まぁ多少はいいか”と値下げしたら、“○○○円で考えているのですが?”と、さらに低い金額で返ってきて……。なんであんたが値段決めるんだよと。でもこういう人少なくないです」「せっかく値下げしてあげたのに、“高額な商品ですので、もう少し考えさせてください”とか……。ナメてんのかなと思います」「“サイズが不安なんで値下げしてもらえませんか”とコメントされたことがあります。当然無視しました。あと“子どもがずっと欲しがってるもので……”とか情に訴えるような人も。知らんがなという話です」値下げ交渉する人のキモチ 出品者に嫌われているものの、値下げ交渉をする人はメルカリにおいて非常に多い。値下げを交渉する購入者側の意見は……。「フリマアプリで出品も購入もしますが、自分は値下げ交渉しますね。自分は今20代前半ですが、10代、20代といった若い人は、別に悪いことをしているわけじゃないからまったく気にしていないんじゃないですかね。 自分が出品者であっても、“売れないよりも、少し値下げして早く売れるならいいかな”って感じでムカついたりもしないです。同じ出品物を探してそれより500円くらいなら下げてもいいかなって感じで値引きしてます」(購入者側、以下同) ただ、“人”は見るという。「交渉してきた人のアカウントを見て、購入者としての評価が悪かったり、コメントの対応悪ければ相手にしないです。常識がない人は突っぱねる。 値下げ交渉してくる人って、その後のやりとりも面倒になる“悪いユーザー”が多いんですよね……。支払いまで時間がかかったり、結局支払わなかったり。商品を受け取っているのに“受取連絡”が遅かったり、しなかったり。受取連絡してもらえないと出品者への入金が遅くなったり、面倒なのに」“転売”を仕事としている人にしてみれば、値下げは死活問題につながる。「自分は仕事じゃないので値下げしてもいいやと思ってやってます。仕事として商品を仕入れて売っているなら、“仕入れ代”があるわけなので話は別。 自分で使っていた中古の私物を売るなら多少の値下げは気にしないです。服であれば、秋冬物を買う資金を作るために春夏物を売るみたいなサイクルもあるので、基本“売れるならOK”というスタンスです」“値下げ文化”植え付けたメルカリの功罪 メルカリで横行する値下げについて前出のITジャーナリストは、「メルカリが値下げ交渉を容認したことで、フリマサービスにおいて“値下げ交渉は当たり前”という考え方、文化が作られたと考えます。そのため最初から売り値に“値下げ分上乗せ”で出品する人もいます。 フリマサービスにおける値下げは、メルカリより後発のサービスでは“機能”として実装しているものもあります。たとえば『PayPayフリマ』では“価格の相談”という機能があります。購入を検討している人が出品者に値下げを希望でき、“いくらでどうですか”と交渉できる。出品者側も“値下げ歓迎中です!”などのコメントも掲載できます。 フリマサービスにおける値下げ交渉は、かつて嫌われていた行為“悪習”が、メルカリによりやって当然という“文化”になり、それが今では機能として実装されるという“システム”になったのです」(前出・ITジャーナリスト) 前述のとおりヤフオクは一時、値下げ交渉機能を付けていた(定額で出品された商品に限る)。「ヤフオクは値下げ交渉を禁止していますから、やはり出品側のユーザーとしては迷惑な機能だったということでしょう。またヤフオクは購入価格を設定した“定額形式”もありますが、やはり“オークション形式”がメイン。 値下げ機能のあるPayPayフリマは、ヤフオクを運営するヤフー株式会社によるサービスです。値下げ文化と差別化し、ヤフオクはオークション形式に特化したいという考えもあるのでしょう」(同・ITジャーナリスト) 最後に値下げ文化を巧妙に利用する利用者の声を紹介する。「商品ページ閲覧数といいねがある程度の数字で、かつ値下げ交渉がたくさんくるような場合は、逆に少しずつ値上げしています。そうすると値上げに対してコメントがきますが、“需要と相場を考慮して調整しています”と答えます。そして“ご購入いただけるなら値下げ致します”と加え、出品時の元の金額に戻すとわりと売れる。 値引かれてオトクになった気でもするのでしょうか。別に得はしていないのに(笑)。まぁ元の金額で購入しているので損もしていないのでいいでしょ、と思ってます」(出品者側) ネットを通そうが、結局は人対人のコミュニケーション。買う側も売る側も最低限のマナーは守りたい。
「○○○円で購入させていただけないでしょうか?」
「送料込みにしてもらえませんか?」
『メルカリ』などのフリマアプリでよく見られる価格の交渉。スマホでも手軽に出品でき、近年は副業としても人気で、“本業”として月に数十万円を稼ぐ主婦もいるなど隆盛を見せるフリマアプリ。上手く使えば稼げる。しかし、それを阻む一部の困ったユーザーがいて……。
「フリマアプリとして『メルカリ』は後発ですが、’21年の“利用したことがあるフリマサービス・アプリ”という調査で1位となりました。メルカリの大きな特徴として“値下げ交渉”が容認されている点があります」(ITジャーナリスト)
メルカリで商品を出品すると、「商品ページ閲覧数」「いいね数」が一定数あれば、必ずといっていいほど冒頭のような交渉のメッセージがコメント欄に投稿される。
『ヤフオク!』ではコメント欄での値段交渉は禁止されている(以前は『値下げ交渉機能』を導入していたが’21年に終了・後述)。
「ヤフオク以降、フリマサービスは多数登場しましたが、値下げ交渉を容認し、それを“文化”にしたのはメルカリといえるでしょう。フリマサービス黎明期でもヤフオクの質問欄で値下げ交渉する人も一部いました。
しかし、出品者が提示した金額を下回る金額で買おうとしているわけです。当然ながらその行為は嫌われるものでした」(前出・ITジャーナリスト、以下同)
先発であるヤフオクとの差別化する意図もあったのか、メルカリは値下げ交渉を禁止していない。それゆえコメント欄に交渉が飛び交う。出品者からの評判は……。
「値下げ交渉はめちゃくちゃウザい。出品した直後に値下げ交渉されるのは腹が立ちますね」(出品者、以下の「」はそれぞれ別の出品者の声)
「いきなりタメ口だったり、値下げを断ると暴言吐かれたり。今は値下げ交渉のコメントは即削除してます」
「値下げを要求されて、“まぁ多少はいいか”と値下げしたら、“○○○円で考えているのですが?”と、さらに低い金額で返ってきて……。なんであんたが値段決めるんだよと。でもこういう人少なくないです」
「せっかく値下げしてあげたのに、“高額な商品ですので、もう少し考えさせてください”とか……。ナメてんのかなと思います」
「“サイズが不安なんで値下げしてもらえませんか”とコメントされたことがあります。当然無視しました。あと“子どもがずっと欲しがってるもので……”とか情に訴えるような人も。知らんがなという話です」
出品者に嫌われているものの、値下げ交渉をする人はメルカリにおいて非常に多い。値下げを交渉する購入者側の意見は……。
「フリマアプリで出品も購入もしますが、自分は値下げ交渉しますね。自分は今20代前半ですが、10代、20代といった若い人は、別に悪いことをしているわけじゃないからまったく気にしていないんじゃないですかね。
自分が出品者であっても、“売れないよりも、少し値下げして早く売れるならいいかな”って感じでムカついたりもしないです。同じ出品物を探してそれより500円くらいなら下げてもいいかなって感じで値引きしてます」(購入者側、以下同)
ただ、“人”は見るという。
「交渉してきた人のアカウントを見て、購入者としての評価が悪かったり、コメントの対応悪ければ相手にしないです。常識がない人は突っぱねる。
値下げ交渉してくる人って、その後のやりとりも面倒になる“悪いユーザー”が多いんですよね……。支払いまで時間がかかったり、結局支払わなかったり。商品を受け取っているのに“受取連絡”が遅かったり、しなかったり。受取連絡してもらえないと出品者への入金が遅くなったり、面倒なのに」
“転売”を仕事としている人にしてみれば、値下げは死活問題につながる。
「自分は仕事じゃないので値下げしてもいいやと思ってやってます。仕事として商品を仕入れて売っているなら、“仕入れ代”があるわけなので話は別。
自分で使っていた中古の私物を売るなら多少の値下げは気にしないです。服であれば、秋冬物を買う資金を作るために春夏物を売るみたいなサイクルもあるので、基本“売れるならOK”というスタンスです」
メルカリで横行する値下げについて前出のITジャーナリストは、
「メルカリが値下げ交渉を容認したことで、フリマサービスにおいて“値下げ交渉は当たり前”という考え方、文化が作られたと考えます。そのため最初から売り値に“値下げ分上乗せ”で出品する人もいます。
フリマサービスにおける値下げは、メルカリより後発のサービスでは“機能”として実装しているものもあります。たとえば『PayPayフリマ』では“価格の相談”という機能があります。購入を検討している人が出品者に値下げを希望でき、“いくらでどうですか”と交渉できる。出品者側も“値下げ歓迎中です!”などのコメントも掲載できます。
フリマサービスにおける値下げ交渉は、かつて嫌われていた行為“悪習”が、メルカリによりやって当然という“文化”になり、それが今では機能として実装されるという“システム”になったのです」(前出・ITジャーナリスト)
前述のとおりヤフオクは一時、値下げ交渉機能を付けていた(定額で出品された商品に限る)。
「ヤフオクは値下げ交渉を禁止していますから、やはり出品側のユーザーとしては迷惑な機能だったということでしょう。またヤフオクは購入価格を設定した“定額形式”もありますが、やはり“オークション形式”がメイン。
値下げ機能のあるPayPayフリマは、ヤフオクを運営するヤフー株式会社によるサービスです。値下げ文化と差別化し、ヤフオクはオークション形式に特化したいという考えもあるのでしょう」(同・ITジャーナリスト)
最後に値下げ文化を巧妙に利用する利用者の声を紹介する。
「商品ページ閲覧数といいねがある程度の数字で、かつ値下げ交渉がたくさんくるような場合は、逆に少しずつ値上げしています。そうすると値上げに対してコメントがきますが、“需要と相場を考慮して調整しています”と答えます。そして“ご購入いただけるなら値下げ致します”と加え、出品時の元の金額に戻すとわりと売れる。
値引かれてオトクになった気でもするのでしょうか。別に得はしていないのに(笑)。まぁ元の金額で購入しているので損もしていないのでいいでしょ、と思ってます」(出品者側)
ネットを通そうが、結局は人対人のコミュニケーション。買う側も売る側も最低限のマナーは守りたい。