12月8日午後11時15分ごろ、青森県東方沖を震源とする地震があり、最大震度6強を観測。震源の深さは約50kmで、マグニーチュードは7.5と推定されている。
【写真】波紋を広げた「在日中国大使館」の公式Xのポスト内容。他、地震発生を受けての中国でのリアルな声
気象庁は、北海道太平洋沿岸中部や青森県太平洋沿岸、岩手県に津波警報、北海道太平洋東・西部などに津波注意報を発令。同月9日午前6時20分ごろにはすべて解除された。高市首相は同日午前の会見で、現在までに負傷者30人、住宅火災1件の被害状況が報告されていると明らかにした。また一部地域では道路の陥没などの被害も発生しているとの報道も出ている。なお、今回の地震による死者は報告されていない。
英「ロイター」「ガーディアン」など海外メディアでも報道され、国際的な注目も集めている今回の地震。他方、現在、日本と緊張関係にある中国でも中国中央テレビ(CCTV)系列をはじめとした各メディアが取り上げており、中国SNS「Weibo」にもニュース記事が掲載されているが、設置されたコメント欄にはさまざまな意見が飛び交っている。大手紙国際部記者が語る。
「高市首相の台湾有事に関する答弁を巡って、緊迫した状況が続く日中関係。現地の国営メディアが『Weibo』に投稿した日本の震災を伝えるポストには多くのコメントがついています。〈死者がいなくてよかった〉〈日本の建築物の耐震性を称賛する〉などこれ以上の被害が起きないよう心配する声も一部であがっているが、〈死者がいないということは、自然災害ではない可能性がある〉〈核実験による震動ではないのか?〉という”陰謀論”的な声も多く見受けられる。冷え込む日中関係の一端が、地震への反応に現れているようです」
12月9日午前8時半ごろには、地震を受けて中華人民共和国駐日本国大使館の公式Xが在日中国人に注意喚起を促す中国語の文章を投稿。首都直下地震に関する新たな被害想定の素案概要が12月5日に報じられたことにも触れ、〈自己防衛意識を高め、自身の安全対策を強化してください〉と危機管理を呼びかけた。
しかしそのわずか27分後には、〈中国統一という大業の妨害を企てるいかなる勢力も、蟷螂の斧(編集部注:カマキリが自分の力量をわきまえずに強敵に立ち向かうことを指す故事成語)の如く、必ずや断固たる反撃を受け、完全な失敗に終わるに違いない。〉と日本語で記された画像を投稿した。
「同アカウントは7日にも〈台湾問題で火遊びをする者は、必ずや自らを焼き滅ぼすことになる。〉と、高市首相の発言を牽制もしくは恫喝するような文言をアップし、物議を醸したばかり。以降、3日連続で同様の投稿を続けていますが、地震に対するお見舞いのコメントを発表することもなく、挑発的な投稿をこのタイミングで行ったことには国内外で疑問の声もあがっています。
対照的なのは、台湾の頼清徳総統の反応です。Facebookで〈日本の皆さまのご無事と、一日も早い日常生活の再開をお祈りしています〉とすぐにお見舞いの意を表明しました。日本では被害状況の調査などが行われている最中ですが、海の向こうでは思わぬ議論を呼んでいる状態です」
気象庁は、別の大規模な地震が起きる可能性が普段より高まっているとして「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しており、今後1週間程度は地震や津波に備え防災対応をとるように呼びかけている。これ以上の被害がでないことを祈るばかりだ。