「自民党にも若いリーダーが必要だ!」こうして担ぎ出されようとしている進次郎氏。しかし、その裏で老人たちのどす黒い思惑が蠢いている。
前編記事『他の候補者があまりにも弱すぎて自民党総裁選「小泉進次郎総理」が本命視される本当の理由!』より続く
前回総裁選で石破茂総理を支援した遠藤利明元総務会長はこう語る。
「やっぱり次の選挙でしっかり勝ち抜ける人なのも大事だし、政治とカネの問題をはじめ、自民党の体質が古くなっており、国民の皆さんの支援を得られなくなっている。昔ながらの自民党と霞が関、業界団体のトライアングルだけではなくて、消費者視点の政治に変えられるかどうかが重要になっている」
―その意味で小泉進次郎氏が次の総理にふさわしい?
「うん。前回の総裁選時は正直、今すぐだとキツいかなと思ったけど、その後、選対委員長や農水大臣を経験して、たくましくなってきた。昔(第1次政権時代)の安倍さんみたいなもんじゃないかな。
そういう意味では岸田文雄さんとか(実務能力に定評のある)林さんとか、まだまだ現場で働ける先輩がいるから、サポートしてもらえば十分できるという気がしている」
―やはりそれくらい自民党が変わらないといけない?
「そうね。なおさら今、俺はそう思っている」
遠藤氏のみならず、佐藤勉元総務相や古川禎久元法相ら実力派のベテラン議員の会合でも、「推すなら進次郎」という話題が出るなど支援の輪は拡大している。
小泉氏自身も石破総理が辞意を表明する前の9月5日の時点で、後援会関係者に10月の政治資金パーティの中止を伝達するなど、総裁選の準備を着々と進めていた。
また昨年来、自民党は少数与党による国会運営を余儀なくされてきた。野党の協力が不可欠になる中、小泉氏は「政策合意をするなら、連立が筋」が持論。新政権では連立の拡大が進む可能性がある。
「後見人の菅義偉さんは小泉新総理のもとで、自身が太いパイプを持つ日本維新の会との連立に持って行く構想を持っているとされます」(小泉氏に近い重要閣僚経験者)
遡ること1ヵ月弱、小泉氏は大阪・関西万博を視察。維新の吉村洋文代表がつきっきりで案内し、「同じような考えを持つ皆さんとは協力して政治を前に進めたい」と秋波を送った。維新内部では、副首都構想を旗印とした連立入りが取り沙汰され、これに反発した3人の議員が離党した。
一方で、政策的な考え方などで菅氏とウマが合わない麻生太郎自民党最高顧問もまた、「進次郎氏に傾き始めているとの見方が浮上している」(政治解説者・篠原文也氏)という。
40人以上が所属する志公会(麻生派)は、現存する唯一の派閥であり、他派閥が無くなる中で、その影響力をむしろ増している。麻生氏は昨年の総裁選では「石破憎し」の立場から、派閥をあげて高市氏を支援したが敗北。長らく保ってきた主流派の座から転落した。麻生派所属議員によれば、麻生氏は総裁選への対応について、「まだ腹の内を明かしていない」という。
「麻生さんは昨年の総裁選では、『リベラルな石破、進次郎の決選投票なら女系天皇もあり得る』との危機感から消去法で高市さんを支援した。しかし、高市さんがその後、麻生さんに懐いている様子もなく、今回も支援するかどうかは不透明です」(麻生派中堅)
麻生氏は7月に高市氏と面会した時は15分しか時間をとらなかった。ところが、8月上旬に小泉氏と面会した際には、30分ほどかけてコメ問題を議論していた。
前出の篠原氏が続ける。
「麻生氏の狙いは、現在の自民、公明両党による連立政権の枠組みを拡大し、そこに国民民主党を巻き込むことでしょう。国民民主にその気になってもらうためには、高市氏よりも、やはり人気者の小泉氏が望ましいという判断です」
麻生氏は岸田政権時代から、国民民主と接点を持ってきた。支援組織のない維新よりも、背後に民間労組を抱える国民民主のほうが魅力的なのも確かだ。一方の国民民主側としても、維新に先を越され、連立入りされることを懸念している。
仮に「自公維」の枠組みができてしまえば、もはや自民党側が国民民主に譲歩する理由がなくなる。国民民主の掲げる政策の実現が困難になれば、党勢にも影響する。
小泉政権で「自公国」の枠組みによる連立入りを目指す動機は充分にあるのだ。
さらに、麻生氏は8月下旬に、参政党の神谷宗幣代表とも面会していた。
「格下の神谷氏と面会したのは、首班指名などでいざという時に協力してもらうためだとみられます。神谷氏も進次郎総理であれば、協力してその人気にあやかりたい。神谷氏は周囲に『小泉氏が総理になったら、政策ベースで協力できる用意がある』と嘯いています」(前出・自民党関係者)
さらに、もう一人の総理経験者も小泉氏に熱視線を送っている。岸田文雄前総理だ。
「実は『チーム小泉』と呼ばれる小泉氏の側近グループには、旧岸田派のメンバーが目立ちます。元財務官僚で岸田政権の官房副長官を務めた村井英樹衆院議員やNTTドコモ出身の小林史明環境副大臣などです。岸田氏も彼らを通じて、小泉氏と関係を保っている」(自民中堅議員)
与野党問わず、小泉氏を利用して、己の権力拡大を目論む面々。幼少期より「人に利用されること」に敏感な小泉氏は気が抜けない。かつて「気候変動問題への取り組みはセクシーであるべきだ」と言って顰蹙を買ったが、果たして党内の権力闘争をセクシーに乗り切れるか。
【もっと読む】『「参政党」をSNS選挙で圧勝させたのは「れいわ新選組」の元広報戦略担当者だった!本人を電話で直撃した』
かわの・よしのぶ/’91年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、『サンデー毎日』『週刊文春』の記者を経てフリーに。主に政治を取材している。情報提供は【[email protected]】まで
「週刊現代」2025年09月29日号より
【もっと読む】「参政党」をSNS選挙で圧勝させたのは「れいわ新選組」の元広報戦略担当者だった!本人を電話で直撃した