地下鉄の電車内で女子高校生にわいせつな行為をしたとして不同意性交などの罪に問われている細矢武志被告(39)の初公判が10月15日、東京地裁で開かれた。
起訴状などによると細矢被告は今年6月、東京メトロ東西線の電車内で、通学中の女子生徒(当時15歳)の体を触るなどわいせつな行為を行った。痴漢行為を約10ヵ月にわたり継続的に行っており、女子生徒が親族とともに「昨年8月ごろから同じ男性から痴漢に遭っている」と警察署に相談。後日、署員が女子生徒と電車に同乗し、わいせつな行為に及んだ細矢被告を現行犯逮捕した。
黒色のスーツ姿で出廷した細矢被告は伸びた坊主頭に丸眼鏡をかけ、いかにも真面目そうな佇まい。緊張のためか終始、眉間に皺を寄せ神経質な表情を浮かべていた。起訴内容については、
「すべて認めます」
とはっきりと答えた。法廷では、まるで“ジキルとハイド”のような細矢被告の真面目な会社員としての表の顔と卑劣な痴漢魔という二面性が明らかになっている。
検察が読み上げた冒頭陳述から、細矢被告の女子生徒への異常な執着ぶりが露わになった。
細矢被告は女子生徒を駅のホームで待ち伏せし、その存在を確認すると同じ電車に乗り込んだ。そして、女子生徒の背後に立ち、身体を密着させ痴漢行為に及んでいる。
恐怖で抵抗できなかった女子生徒は乗り換えのため降車し、別の電車に乗り込んだ。着席後、ふと前を見ると、目の前に細矢被告が立っていた。女子生徒の右隣に座っていた乗客が降りると、その場所に細矢被告が座り、リュックサックで手元を隠しながら再び痴漢行為に及んだ。その執着ぶりは恐怖でしかない。
女子生徒の父の陳述書も読み上げられ、
〈気づいてあげられなかったことに胸が痛い。こんなにも長い間我慢していたと思うと私も辛い気持ちになります。娘の傷はすぐに癒えるものではなく厳罰を望みます。示談には一切応じるつもりはありません〉
と強い処罰感情を訴えている。
この日は、証人質問のため細矢被告の交際相手Aさんが出廷。2人は5年前から交際を始め、事件前まで同居、内縁関係にあった。弁護人から細矢被告の人柄について問われると、
「周りから真面目で誠実そうという評価を受けていた。周囲は誠実であることを彼に強いていた。それに応えるために仕事で抱えきれない業務を引き受け、(実家の)重病の母の介護、趣味の演劇でも雑務もこなしていた」
など、重度のストレスを抱えていたと訴えた。
ただ、細矢被告には同種の前科が2犯あり、今回の逮捕をきっかけにそのことを知ったAさんは「非常に驚いています」とショックを受けたことも口にした。一方で、出所後は1人で電車に乗らせないようにすると約束し「今後も同居し、彼の生活を支えたいと思います」などと話した。
次に細矢被告本人の証人尋問が行われた。弁護人から犯行動機を問われると、
「ちょっとしたすれ違いから彼女(Aさん)とセックスレスとなり欲求不満になっていた」
と説明。女子生徒をつけ回した理由については、
「被害女性が彼女(Aさん)に雰囲気が似ていた」
と驚きの証言をしたのだ。あまりの身勝手な犯行動機に弁護人は「被害者の気持ちを考えなかったのか」と質問。細矢被告は、
「被害者がどれぐらい怖かったかイメージできてなかった」
と発言。しかし、逮捕され拘留中に他の容疑者と接することで心境に変化が生まれたと語った。
「留置場が怖かったし、実際に(同室の容疑者から)脅された。しかし考えてみれば、自分も怖い人間の1人なんだと思った。つけ狙われて本当に怖かったと思う。これからは新しい被害者を出さないと誓います」
と反省の言葉を口にした。
この間にAさんの勧めでカウンセリングを受け、
「自分の性格に歪みがあることに気づきました。早く治療を受けたいです。気が付けたのは彼女(Aさん)のおかげです。もうこれ以上、悲しませたくありません」
と涙ながらに訴えた。犯行動機にストレスを挙げているが、これに対し、検察は前科があることを指摘。
それでも、細矢被告は、
「自分にはそういう性癖があって、カウンセリングを受け、性格の歪みに気づくことができた。ストレスを発散すれば解消できる」
と述べた。女子生徒の痴漢を続けたことについて「抵抗しなかったからではないか?」と問われると、
「そういう考えもあった」
と素直に認めた。
裁判官も再犯の恐れを指摘。前回逮捕された時は罰金刑だったことについて問われた細矢被告は、
「知っているのは父親だけで誰にも話すことはなかった。会社も辞めることなく、隠し通すことができてしまった」
と振り返った。
長期にわたり女子生徒に恐怖を与えたことに同情の余地は一片もない。