“令和のコメ騒動” 異聞、とでもいえるだろうか――。
「三田の米はまずい」。そう名指しされた兵庫県三田市の市長が、発言者である新潟県上越市の中川幹太市長に抗議状を送る騒ぎとなっている。
「事の発端は、7月1日。上越市が『ふるさと納税専門官』を委嘱した際の中川市長の発言でした。中川市長はもともと兵庫県出身で、かつて住んでいた三田市が酒米『山田錦』の産地であると説明したうえで、『でも、食べる米はまずい。こんなことを言ったら怒られますけど』などと発言したのです。さらに3日には、市内の専門学校生への特別授業で、三田市産の米について『まあ、あんまり言ってはいけないんですけど、おいしくない』と発言しています。
中川市長は地元紙の取材に『上越の米がおいしいということを言いたかっただけだ』『わたしが(三田産米を)食べていたのは30年以上前なので、いまの米がどうなっているかはわからない』などと釈明しましたが、三田市の田村克也市長は怒り心頭の様子。
7月7日、中川市長に対して『三田を侮辱する倫理観に欠けるものであり、強い憤りを禁じ得ない』などとする抗議状を送ったのです」(地元紙記者)
当初は、「発言を訂正するつもりはない」と強気だった中川市長も、抗議を受けて「三田市ならびに三田市民のみなさまに多大なるご迷惑をおかけし、また、ご不快な思いを抱かせてしまったことにつきまして、心から深くお詫び申し上げます」とのコメントを発表した。
だが、火消しはそう簡単ではなさそうだ。というのも、中川市長の問題発言は今回が初めてではないからだ。
「2024年6月の市議会での答弁で、企業誘致による人材獲得に言及した際、市内に工場がある信越化学工業を例にあげて、『工場では高校卒業程度のレベルの人が働いている。企業誘致で頭のいい人だけが来るわけではない』と発言。高卒者への差別ととられかねない発言が問題視され、市長は発言を撤回し、謝罪しています。このときは、辞職勧告決議案が提出され、賛成多数で可決されましたが、法的拘束力はなく、辞任には至りませんでした」(同)
これ以外にも、中川市長の不適切発言は枚挙にいとまがない。2022年6月には、市民との対話集会で「人を傷つけたら、げんこつをくれるぐらいでいい」と体罰を肯定するような発言をし、2023年7月には、市内の私立高校について「レベルが下のほうにある」などと話している。この失言癖は市民にはどのように映っているのか。
「2024年9月の市議会定例会で、過去の不適切発言は10件以上に及ぶと、自ら具体例をあげて説明しているほどです。そのたびに謝罪に追い込まれ、また不適切発言を繰り返して来ました。今回の米をめぐる発言については、『またか』というのが市民の大方の反応です。もはや “失言” というより市長としての “資質” を問う声もあがっています」(同)
上越市では10月、任期満了にともなう市長選がおこなわれる。6月18日、中川市長は2期目を目指して早々に立候補を表明した。はたして上越市民はどんな審判を下すのだろうか。