一見、空き巣による「マーキング」はデマに思えるかもしれませんが、専門家や警備会社も注意喚起をしているようです。例えば、表札やポストに記号やシール、数字・英字が書かれていると、空き巣グループの下見情報の可能性があります。たとえば警備会社が公開している防犯記事には、それらの「マーキング」が「空き巣が家族構成や在宅時間を記録する手段」であると記されています。都市伝説ではなく、実際に確認されている「前兆」と考えた方がいいでしょう。
警察庁が公表した「令和5年の刑法犯に関する統計資料」によると、進入窃盗の認知件数4万4228件のうち「空き巣」は1万1842件であり、およそ26.8%に上ります。以下では、ALSOK株式会社が公開している代表的なマーキングをご紹介します。
・英数字:マーキングに最もよく使われており、男性が住んでいる場合は「M」、女性が住んでいる場合は「W」、一人暮らしは「S」というように、性別や家族構成を示す記号として使われているようです。「WS」と複数の記号を組み合わせて使われることもあるようです。
・記号:「〇=侵入しやすい」「△=可能性あり」「×=侵入不可」といった意味を持つことが多いようです。
・シール:文具店で販売されるような色付きのシールが用いられるケースもあり、金色であれば「裕福」、赤色であれば「普通」といったように、家の経済状況によって分別されることもあるようです。
・置き石や異物:玄関前に小さな石や不自然なオブジェがあると、それを翌日まで置いておき、住人の在宅を確認する手口もあるようです。
種類と解釈はグループによって異なるため、疑われる場合は慎重に対応しましょう。
・写真に残す:消す前に証拠として撮影しておくといいでしょう。後で警察に相談する際に役立つかもしれません。・速やかに消す:マークが消えれば「気づかれた可能性がある」と泥棒が警戒するため、犯行を諦めることもあるようです。・警察へ相談:不審なマークの写真を持参し、近くの交番・警察署で相談・巡回強化の依頼をした方がいいでしょう。・近隣と共有:地域住民にも注意を促し、情報を共有することで連帯感を強め、狙われにくくできるかもしれません。
お金をかけずにできる防犯の工夫は、意外と身近なところにあるかもしれません。まず取り入れたいのが、玄関まわりの整理整頓です。落ち葉や小石、古いチラシなどを放置しておくと、空き巣が下見の際にマーキングを仕込みやすくなります。日頃からこまめに掃き掃除をしておくことで、そうした機会を減らせるでしょう。また、照明の使い方も効果的です。特に夜間は、センサーライトやタイマー付きの照明を活用し、玄関や庭先を明るく保つことで、留守中でも「人の気配がある家」に見えるでしょう。これらの照明器具は必ずしも高価なものでなくても十分に効果があり、既存の室内照明をタイマーコンセントで制御するだけでも防犯効果は高まるでしょう。日常の人付き合いも防犯の一環です。顔見知りが多い環境では、見慣れない人物が目立ちやすく、空き巣も敬遠する傾向があります。日頃からの何気ないコミュニケーションが、思わぬ防犯力を発揮します。さらに、電話応対の仕方にも注意しましょう。非通知や無言電話が続く場合、在宅状況を探る目的の可能性があります。「ただいま留守にしております」といった留守番電話のメッセージは、相手に留守を知らせてしまうため、「現在電話に出られません」など、居留守かどうか分からない表現に変えると安心です。こうした工夫はすべて、大きな費用をかけずに始められるものばかりです。日常生活の中に少しずつ取り入れていけば、「狙いやすい家」から「狙いにくい家」へと変えていくことができるでしょう。
表札や郵便受けに小さな記号や不自然なものを見つけたら、ただの「落書き」と軽視せず、まずは証拠を撮影し、すぐに消して、警察に相談することをおすすめします。地域の絆や照明の工夫、玄関まわりの整理、あいさつなど、今すぐにでもできる対策を積み重ねることで、空き巣に「狙いにくい家」と思わせることが可能です。押し入れの鍵ではなく、身近な注意と行動こそが、防犯の鍵となるでしょう。
警察庁 令和5年の刑法犯に関する統計資料(8ページ)ALSOK株式会社 空き巣が残すマーキングの種類は? 記号の意味や見つけたときの対処法執筆者:FINANCIAL FIELD編集部ファイナンシャルプランナー