こんにちは。コラムニストのおおしまりえです。
旅行は好きだけど子どもと一緒はハードルが高いーー。そんな気持ちから、旅を後回しにしている家庭も、多いかもしれません。筆者もその一人。でも、「いつか行きたい旅」は、だいたいタイミングが先延ばしになりがちです。
今回は「やっぱり海外に行きたい!」という自分の気持ちに気づき、3人の子どもを連れて200日・14か国の世界一周を果たしたおかんトラベラーさん(37歳・@okan.momtraveller・以下おかんさん)に話を聞きました。
おかんさんは当時、5歳、3歳、1歳のお子さんを連れて、家族5人で世界一周旅を実行しました。こう聞くと、もともと旅好きで海外経験も豊富だったのかと思いきや、おかんさんにはバックパッカーの経験はなく、英語もほとんど話せなかったそう。また、初めての子連れ海外旅がこの世界一周でした。
最終的に、旅は1か国目のタイをスタートに、そこからヨーロッパの国々を満喫。北アメリカ大陸へ移動し、キャンピングカー移動もしながら南アメリカ大陸へと突入。エクアドル・ペルー・ボリビアと大自然を満喫し、合計14か国の旅を終えています。
おかんさんは旅の最中、「旅育」といった子どもへの影響はそこまで考えていなかったそうですが、実際の影響はどうなのでしょう。3本目となる今回は、世界一周旅の最中の、子育て事情や子どもへの影響について聞きました。
◆「大変だけど楽しい」は、子どもも一緒
3人の子どもを連れて200日間旅をする。想像するだけで大変さで目が回りそうですが、まず、旅に対する子どもたちの反応はどうだったのでしょう。
「子どもたちは、行くって決めた際も『行きたいー』ってポジティブでした。保育園休める、ラッキー! くらいの感覚ですね。道中もトラブルなどありましたが、『もう帰りたい!』みたいなSOSは意外とありませんでした。でも、海外の食事は口に合わないことも多く『ご飯またこれ~?』とか、『この場所くさいっ!』みたいな文句はありました」
例えば、現地の香辛料が強い料理や、ローカルマーケットのにおいには、子どもたちもギブアップ気味だったそうです。そんなときには「頑張ったらラーメン食べに行こう!」と、マクドナルドやラーメン店に連れて行くなど、子どもがリフレッシュできるよう工夫していたといいます。意外と日本でのご褒美と手段が変わらないのには、驚きます。
「子どもたちが旅の最中に帰りたがることはありませんでしたが、あくまで無理強いはさせないようにしていました。具体的には、行きたくない場所は二手に分かれて対応するなどです。モロッコではサハラ砂漠をラクダに乗って移動するツアーに参加しましたが、大嵐に見舞われ、砂が舞い続ける状況でした。
そうしたら、当時5歳の長男だけが絶対行きたくないとなったので、相談した結果、二手に分かれました。ツアー場所までは、長男と次男はガイドさんと日本人の知人と一緒に車で移動し、娘と私たちは嵐の中ラクダに乗ることにしました。『本当に嫌な時は自分で選択できるんだ』ってことは、子ども自身が感じられるよう意識していましたね」
◆1歳児との旅は、授乳とバナナで乗り切る
ところで、この子連れ旅で気になるのが、1歳児(次男)の存在です。出国時は1歳直前の旅だったそうで、そうなると、離乳食やおむつの問題がついて回るはずです。正直かなりハードルが高い印象ですが、どうやって乗り切ったのでしょう。
「確かに、1番下の子のオムツは取れてないし、離乳食もまだ途中段階です。旅に出る前には、旅仲間にもいろいろと相談もしました。そうしたら、中華料理店に行けば子どもが食べられそうなものがあるから、だいたいなんとかなる、と教えてもらいました。あと当時は、母乳育児をしっかり続けていたので、『おっぱいとバナナがあれば大丈夫』という信念のもと、何かあれば授乳できると思っていました。実際旅の最中も、場所関係なく授乳をした記憶があります」
母の底力と判断力。そして“完璧じゃなくていい”という柔軟さがあったからこそ、1歳との旅も成立したのかもしれません。