トランプ関税対応で自公内に大型給付求める動き…一律3万円案浮上、減税求める声も

トランプ米政権の一方的な関税措置による日本経済への影響を見越し、自民、公明両党内で大型の給付措置を求める動きが強まっている。
夏の参院選を控え、批判の矛先が政府・与党に向かうことを警戒しているためだ。減税を行うべきだとの意見も根強く、財政出動に向けた政府への圧力が高まっている。(鷹尾洋樹、薦田大和)
「高関税から国民生活を守り抜くため、前例にとらわれない大胆な政策が必要だ」。自民の松山政司参院幹事長は8日の記者会見でそう強調した。
具体的には給付措置や減税を挙げ、「あらゆる選択肢を排除せず対応していくことが重要だ。必要であれば補正予算も考えなければならない」と述べた。
与党内では国民向けに一律3万円以上の給付を行う案が浮上している。ある自民幹部は、物価高の影響も考慮して「一律、数万円の給付を考えるべきだ」と語った。公明内には最大10万円の給付を求める声もあり、西田幹事長は8日の記者会見で「国内需要の安定化を図る必要がある」と対策の必要性を訴えた。
東京株式市場は8日、大幅反発して上昇したものの、関税措置による影響は長期に及ぶ可能性がある。政府が大型の給付措置に踏み切る場合、財源は数兆円規模に上るとされ、今年度補正予算案の編成が必要となる見込みだ。
石破首相(自民総裁)は今回の関税措置を「国難」と表現しており、野党からも大規模な経済対策を求める声が出ている。国民民主党の玉木代表は同日の記者会見で「日本経済への影響は避けられない」として、補正予算編成や消費減税などを求めた。
もっとも、政府は補正予算編成に慎重で、自民内には消費減税に対する否定的な声が強い。自民の森山幹事長は消費減税を求める声に対して「社会保障の安定的な財源の重要性について理解を求めていく必要がある」とクギを刺している。
一方、野党は日米間の担当閣僚協議の進展を懐疑的に見ている。日本維新の会の前原誠司共同代表は8日の党会合で、「担当者(の閣僚)を決めれば本当に(追加)関税をやめられるのか」と述べ、交渉の行方は厳しいとの見方を示した。
立民の野田代表も東京都内の街頭演説で、7日夜の日米首脳電話会談が短時間だったことに触れ、「日本の基本的な立場を相手に伝えることができたのか極めて疑問だ。やったふり会談、だ」と批判した。