インターネットの求人サイトに掲載された待遇よりも実際の月給が10万円以上少なかったとして、人気洋菓子店「マダムシンコ」の従業員だった男性(46)が、運営会社に未払い賃金約200万円の支給を求めた労働審判で、大阪地裁が約90万円の支払いを命じた。命令は25日付。男性が毎日新聞の取材に明らかにした。
【画像】求人サイトにはこう書かれていた―― 運営会社を巡っては、淀川労働基準監督署が4月、男性を採用した際に労働条件を明確に示さなかったとして、労働基準法違反で是正勧告していたことも判明した。

運営会社は「カウカウフードシステム」(大阪市福島区)。同社のホームページによると、マダムシンコはバウムクーヘンの「マダムブリュレ」が看板商品で、関西を中心に展開する店舗や主要駅での販売で人気を集めている。 大阪府豊中市の菓子製造工場で働いていた男性は今春に退職し、8月に労働審判を申し立てていた。 申立書によると、男性は2021年3月、人気求人サイト「インディード」を閲覧し、マダムシンコの菓子製造の仕事に応募した。サイトには「月給35万~50万円(残業代を含む)」「週休2日制」と待遇情報が掲載され、人事担当者からも面談で同様の説明を受けた。 男性は勤務を始めてから1カ月後、会社側から雇用契約書を示された。「基本給16万~25万円」となっていた。明確な残業代の記載がなく、工場長とのやり取りで「月給は35万円」と口頭で確認もできたため、男性は署名したという。 しかし、3カ月間の試用期間中は25万円だった月給が、期間終了以降は約17万円に減ったという。減額理由の説明がなく、退職することを決めた。 職業安定法は、企業側が労働条件を変更する場合、労働者に内容を明示することを義務付けている。男性側は「会社から説明はなく、求人サイトの内容で雇用契約した」と訴えた。 一方、運営会社側は答弁書で、求人サイトの広告が実態と異なっていたことを認めたうえで、「インディードの広告は閲覧者を増やすためで、給与額を高く表示しただけに過ぎない」と反論。「雇用契約の労働条件にあたらない」として争う姿勢を示していた。 男性は「求人サイトと異なる給料を示されても、泣き寝入りしている人はいるはずだ。この司法判断をきっかけに会社も考え方を改めてほしい」と語った。 運営会社側の代理人弁護士によると、労働審判で雇用契約上の賃金が月額25万円だったことを相互に確認する内容も含まれたという。会社は「審判の内容を精査して今後の対応を考えたい」とコメントした。【山本康介、安元久美子】
運営会社を巡っては、淀川労働基準監督署が4月、男性を採用した際に労働条件を明確に示さなかったとして、労働基準法違反で是正勧告していたことも判明した。
運営会社は「カウカウフードシステム」(大阪市福島区)。同社のホームページによると、マダムシンコはバウムクーヘンの「マダムブリュレ」が看板商品で、関西を中心に展開する店舗や主要駅での販売で人気を集めている。
大阪府豊中市の菓子製造工場で働いていた男性は今春に退職し、8月に労働審判を申し立てていた。
申立書によると、男性は2021年3月、人気求人サイト「インディード」を閲覧し、マダムシンコの菓子製造の仕事に応募した。サイトには「月給35万~50万円(残業代を含む)」「週休2日制」と待遇情報が掲載され、人事担当者からも面談で同様の説明を受けた。
男性は勤務を始めてから1カ月後、会社側から雇用契約書を示された。「基本給16万~25万円」となっていた。明確な残業代の記載がなく、工場長とのやり取りで「月給は35万円」と口頭で確認もできたため、男性は署名したという。
しかし、3カ月間の試用期間中は25万円だった月給が、期間終了以降は約17万円に減ったという。減額理由の説明がなく、退職することを決めた。
職業安定法は、企業側が労働条件を変更する場合、労働者に内容を明示することを義務付けている。男性側は「会社から説明はなく、求人サイトの内容で雇用契約した」と訴えた。
一方、運営会社側は答弁書で、求人サイトの広告が実態と異なっていたことを認めたうえで、「インディードの広告は閲覧者を増やすためで、給与額を高く表示しただけに過ぎない」と反論。「雇用契約の労働条件にあたらない」として争う姿勢を示していた。
男性は「求人サイトと異なる給料を示されても、泣き寝入りしている人はいるはずだ。この司法判断をきっかけに会社も考え方を改めてほしい」と語った。
運営会社側の代理人弁護士によると、労働審判で雇用契約上の賃金が月額25万円だったことを相互に確認する内容も含まれたという。会社は「審判の内容を精査して今後の対応を考えたい」とコメントした。【山本康介、安元久美子】