「30万円以上使っても『キモ!』って思われるんですよ」27歳・元ジャニオタが「ホス狂い」に転向した必然

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「ジャニーズJr.は、みんな思春期みたいな時期に活動してるじゃないですか。だからたとえ30万円以上使ってチケットを手に入れて認知されても『キモ!』って思われるんですよ。永遠に無視されたり」
【画像】ホストで大学中退した女、生活費以外すべてを注ぎ込む女…『ホス狂い』のリアル(12P) ホストクラブにハマる前は、ジャニーズ、メンズ地下アイドルファンだったというサヤカさん(27歳)。彼女はなぜ「ホス狂い」に転身したのか? 作家の大泉りか氏の新刊『ホス狂い』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

ホストに狂う女性たちの心理とは?(写真:大泉『ホス狂い』表紙より)◆◆◆「アイドル化」するホストたち「わたし、ホストに通う前はアイドルのオタクをしていたんです。だから仕事は隙間っていうか、追っかけの合間に働いていた感じで。でも、ホストクラブに通い始めて、ちゃんと出勤して、どうやったらより稼げるかを考えるようになったら、収入がぐんとアップして。お金を稼ぐのって自分次第だって知ってからは、収入を下げたくなくなって、仕事をさぼることもなくなりました」 サヤカさんのようにもともとアイドルやV系の追っかけをしていたという経歴を持つホス狂いの女性は、決して珍しくない。ファッションや髪型など、ルックスが近しいのもあるし、そもそも見た目のいい男性に金を払うという共通点がある。 近年、ホストがアイドル化していることも、ジャニオタやバンギャがホス狂いになる要因のひとつだ。実際、YouTubeやSNSなどを駆使して自らに希少価値をつけて、「会いに行けるアイドル」を演出するドル営(アイドル営業)という営業方法もある。 実業家の青汁王子こと三崎優太が3年連続でホスト企画と称してホストクラブに入店したり、スーパーに売られていた精算前の魚の切り身を開封して食べたとして窃盗罪などの罪に問われ、刑事事件となったことが世間を騒がせた迷惑系YouTuberのへずまりゅうがホストに転身するなど、別業界での有名人がホストとなるパターンもある。「会ってみたい」という訴求に働きかけるという意味では、これらもドル営の一種とも言えるのではないだろうか。 ちなみに2021年のホスト企画による青汁王子の売り上げは5日間で1億超え(※単独ではなく「青汁軍団」と呼ばれるメンバーでの総合計)を記録するとともに、エイベックス株式会社代表取締役会長である松浦勝人や、有名YouTuberのヒカルといった著名人が多く客として店を訪れたことが話題を呼んだ。 また、へずまりゅうも3週間で1360万円の売り上げを記録したことが女性週刊誌などで報じられた。話題性をマネタイズするための手法として「ホストになる」ということも、昨今ひとつの事象なのである。「推しホスト」のために高額を支払う女性たち ホストのアイドル化がホスト業界に持ち込んだのは、異業種界での有名人の参入だけではない。女性客らに「ホストを推しとして、応援する」という意識変革をもたらしたのも、ホストのアイドル化が一因にある。それは歌舞伎町を代表とする、多数のホストクラブを擁する繁華街のあちこちにある看板や、街中を走るアドトラックを見れば一目瞭然だ。 それらの媒体にビジュアルが掲載されるのは、月間や年間の売り上げのトップグループにランクインしているホストたちで、その中でもナンバーワンは、ことさら大きく煽られる。これは、一世を風靡した女性アイドルグループAKB48が、かつて行っていたシングル選抜総選挙と似通ったシステムだ。 AKBグループによるシングル選抜総選挙は、投票によってシングルの楽曲を歌うメンバーが選出されるシステムで、ゆえにファンたちは自分の推しの順位をあげるために投票券の封入された特定のCDを複数枚買う。それと同じく、ホス狂いたちは推しのホスト=担当をナンバー入りさせるために、シャンパンや高額ボトルをおろす。 握手会やシングル総選挙などのイベントを絡め、メンバーそのものを売りにしてCDの売り上げにつなげるAKB商法は、あちこちでバッシングされた(そもそもAKB自体が、キャバクラのステージを参考にコンセプトを立てられたという噂もある)が、ホストクラブもまた、ホストそのものを売りにして飲食代の売り上げにつなげている。 ファンにとって“推し”を応援することは、イコール金銭をなげうつことであり、その金額が多ければ多いほど熱度が高いという証明にもなる。普通は聴かないCDを買ったり、飲まない酒をオーダーしたりはしないが、そこに「推しへの投げ銭」という名目が乗ることによって、AKBのファンらは開封すらしないCDを何十枚何百枚も買い、ホス狂いは開封すらしないボトルをおろす。自らが消費できる限度を超えた物品を、課金のために購入する仕組みができあがっているのである。 いったい何がきっかけでサヤカは“推す”という文化を身に着けたのか。それは家庭環境が原因だったという。「お母さんも追っかけしていたんです」「子供の頃から、お母さんも追っかけしていたんです。だから、お金を使ってイケメンに会うっていうことに抵抗がない。最初は関西ジャニーズJr.が好きでした。でも、Jr.って卒業しちゃうんですよね。しばらく追っかけていたんだけど、応援していた子たちが全員デビューしてしまって、次にメン地下に行ったんです」 メン地下とはメンズ地下アイドルの略である。 メディアにはあまり露出はなく、インディーズレーベルや自主制作などで音源をリリースし、ライブハウスなどでのパフォーマンスや握手会、チェキ撮影会などファンと近い距離で活動を行っているアイドルを指す。テレビや雑誌などの、いわゆる商業メディアでの露出はなくともSNS全盛期の昨今、推しを探している女性の目に留まるチャンスは多くあるし、積極的に推し活する女性が多く存在する今、メン地下にも相応のニーズがある。 2019年のマイナビBLITZ赤坂の単独ライブでは千人超のファンを動員し、オリコンデイリーアルバムランキング1位という記録を持つ「新世紀えぴっくすたぁネ申」や、ヤマハのボーカロイドのプロジェクトをきっかけに結成された読モグループ「ZOLA」、ニコニコ動画の踊り手が組んだ「*ChocoLate Bomb!!」、元ジャニーズJrがプロデュースする「Tim&U」など、個性豊かなグループが群雄割拠している状況にあり、握手会やチェキ撮影会などのイベントではいわゆる前戯物販と呼ばれる接触(手つなぎやバックハグ、壁ドン、顎クイなど)ができるところも、女性ファンたちの心を掴んでいる。 ギャル男、お兄系ムーブメントを牽引し、多くのホストたちがモデルとして誌面に登場していた太陽図書の雑誌『men’s egg』が、一時期、メンズ地下アイドルのカタログ誌にリニューアルしたこともある。ホストとメン地下、その両者が担っている役割は、一部被っているのだ。「1回お金を使うと2~3か月は優しくしてもらえる」「わたし自身がネガティブなタイプだから、自信に満ち溢れている人に惹かれるんです。そんなに顔自体はよくなくても、『俺、超かっこいいからアイドルしてる』とか言ってる人に、『かっこいい!』って言ってあげるのが好き。でも、メン地下の追っかけって、毎日現場に行くのが偉いみたいな空気感があって。 体力や睡眠時間、働く時間を削ってまで追いかけないといけないので、ちょっと大変なんですよね。前は『メン地下のファンって、なんで若い子が多いんだろう』って不思議だったんだけど、20代後半になると体力の低下を感じて『ああ、もう通えないな』って痛感して。それにジャニーズJr.は、みんな思春期みたいな時期に活動してるじゃないですか。だからたとえ30万円以上使ってチケットを手に入れて認知されても『キモ!』って思われるんですよ。永遠に無視されたり。 でも、ホストはそれがない。1回お金を使うと2~3か月は優しくしてもらえる。メン地下やジャニーズに比べたら、お金はずっとかかるけど、もともとお酒好きだし、椅子にも座ってられるし、毎日行かなくてもいいのが、ホストはいいんです」「先月は16万、今月11万以上…」37歳・女性保育士が「手取り20万円未満」でもホスト通いを止めない理由 へ続く(大泉 りか)
ホストクラブにハマる前は、ジャニーズ、メンズ地下アイドルファンだったというサヤカさん(27歳)。彼女はなぜ「ホス狂い」に転身したのか? 作家の大泉りか氏の新刊『ホス狂い』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
ホストに狂う女性たちの心理とは?(写真:大泉『ホス狂い』表紙より)
◆◆◆
「わたし、ホストに通う前はアイドルのオタクをしていたんです。だから仕事は隙間っていうか、追っかけの合間に働いていた感じで。でも、ホストクラブに通い始めて、ちゃんと出勤して、どうやったらより稼げるかを考えるようになったら、収入がぐんとアップして。お金を稼ぐのって自分次第だって知ってからは、収入を下げたくなくなって、仕事をさぼることもなくなりました」
サヤカさんのようにもともとアイドルやV系の追っかけをしていたという経歴を持つホス狂いの女性は、決して珍しくない。ファッションや髪型など、ルックスが近しいのもあるし、そもそも見た目のいい男性に金を払うという共通点がある。
近年、ホストがアイドル化していることも、ジャニオタやバンギャがホス狂いになる要因のひとつだ。実際、YouTubeやSNSなどを駆使して自らに希少価値をつけて、「会いに行けるアイドル」を演出するドル営(アイドル営業)という営業方法もある。
実業家の青汁王子こと三崎優太が3年連続でホスト企画と称してホストクラブに入店したり、スーパーに売られていた精算前の魚の切り身を開封して食べたとして窃盗罪などの罪に問われ、刑事事件となったことが世間を騒がせた迷惑系YouTuberのへずまりゅうがホストに転身するなど、別業界での有名人がホストとなるパターンもある。「会ってみたい」という訴求に働きかけるという意味では、これらもドル営の一種とも言えるのではないだろうか。
ちなみに2021年のホスト企画による青汁王子の売り上げは5日間で1億超え(※単独ではなく「青汁軍団」と呼ばれるメンバーでの総合計)を記録するとともに、エイベックス株式会社代表取締役会長である松浦勝人や、有名YouTuberのヒカルといった著名人が多く客として店を訪れたことが話題を呼んだ。 また、へずまりゅうも3週間で1360万円の売り上げを記録したことが女性週刊誌などで報じられた。話題性をマネタイズするための手法として「ホストになる」ということも、昨今ひとつの事象なのである。「推しホスト」のために高額を支払う女性たち ホストのアイドル化がホスト業界に持ち込んだのは、異業種界での有名人の参入だけではない。女性客らに「ホストを推しとして、応援する」という意識変革をもたらしたのも、ホストのアイドル化が一因にある。それは歌舞伎町を代表とする、多数のホストクラブを擁する繁華街のあちこちにある看板や、街中を走るアドトラックを見れば一目瞭然だ。 それらの媒体にビジュアルが掲載されるのは、月間や年間の売り上げのトップグループにランクインしているホストたちで、その中でもナンバーワンは、ことさら大きく煽られる。これは、一世を風靡した女性アイドルグループAKB48が、かつて行っていたシングル選抜総選挙と似通ったシステムだ。 AKBグループによるシングル選抜総選挙は、投票によってシングルの楽曲を歌うメンバーが選出されるシステムで、ゆえにファンたちは自分の推しの順位をあげるために投票券の封入された特定のCDを複数枚買う。それと同じく、ホス狂いたちは推しのホスト=担当をナンバー入りさせるために、シャンパンや高額ボトルをおろす。 握手会やシングル総選挙などのイベントを絡め、メンバーそのものを売りにしてCDの売り上げにつなげるAKB商法は、あちこちでバッシングされた(そもそもAKB自体が、キャバクラのステージを参考にコンセプトを立てられたという噂もある)が、ホストクラブもまた、ホストそのものを売りにして飲食代の売り上げにつなげている。 ファンにとって“推し”を応援することは、イコール金銭をなげうつことであり、その金額が多ければ多いほど熱度が高いという証明にもなる。普通は聴かないCDを買ったり、飲まない酒をオーダーしたりはしないが、そこに「推しへの投げ銭」という名目が乗ることによって、AKBのファンらは開封すらしないCDを何十枚何百枚も買い、ホス狂いは開封すらしないボトルをおろす。自らが消費できる限度を超えた物品を、課金のために購入する仕組みができあがっているのである。 いったい何がきっかけでサヤカは“推す”という文化を身に着けたのか。それは家庭環境が原因だったという。「お母さんも追っかけしていたんです」「子供の頃から、お母さんも追っかけしていたんです。だから、お金を使ってイケメンに会うっていうことに抵抗がない。最初は関西ジャニーズJr.が好きでした。でも、Jr.って卒業しちゃうんですよね。しばらく追っかけていたんだけど、応援していた子たちが全員デビューしてしまって、次にメン地下に行ったんです」 メン地下とはメンズ地下アイドルの略である。 メディアにはあまり露出はなく、インディーズレーベルや自主制作などで音源をリリースし、ライブハウスなどでのパフォーマンスや握手会、チェキ撮影会などファンと近い距離で活動を行っているアイドルを指す。テレビや雑誌などの、いわゆる商業メディアでの露出はなくともSNS全盛期の昨今、推しを探している女性の目に留まるチャンスは多くあるし、積極的に推し活する女性が多く存在する今、メン地下にも相応のニーズがある。 2019年のマイナビBLITZ赤坂の単独ライブでは千人超のファンを動員し、オリコンデイリーアルバムランキング1位という記録を持つ「新世紀えぴっくすたぁネ申」や、ヤマハのボーカロイドのプロジェクトをきっかけに結成された読モグループ「ZOLA」、ニコニコ動画の踊り手が組んだ「*ChocoLate Bomb!!」、元ジャニーズJrがプロデュースする「Tim&U」など、個性豊かなグループが群雄割拠している状況にあり、握手会やチェキ撮影会などのイベントではいわゆる前戯物販と呼ばれる接触(手つなぎやバックハグ、壁ドン、顎クイなど)ができるところも、女性ファンたちの心を掴んでいる。 ギャル男、お兄系ムーブメントを牽引し、多くのホストたちがモデルとして誌面に登場していた太陽図書の雑誌『men’s egg』が、一時期、メンズ地下アイドルのカタログ誌にリニューアルしたこともある。ホストとメン地下、その両者が担っている役割は、一部被っているのだ。「1回お金を使うと2~3か月は優しくしてもらえる」「わたし自身がネガティブなタイプだから、自信に満ち溢れている人に惹かれるんです。そんなに顔自体はよくなくても、『俺、超かっこいいからアイドルしてる』とか言ってる人に、『かっこいい!』って言ってあげるのが好き。でも、メン地下の追っかけって、毎日現場に行くのが偉いみたいな空気感があって。 体力や睡眠時間、働く時間を削ってまで追いかけないといけないので、ちょっと大変なんですよね。前は『メン地下のファンって、なんで若い子が多いんだろう』って不思議だったんだけど、20代後半になると体力の低下を感じて『ああ、もう通えないな』って痛感して。それにジャニーズJr.は、みんな思春期みたいな時期に活動してるじゃないですか。だからたとえ30万円以上使ってチケットを手に入れて認知されても『キモ!』って思われるんですよ。永遠に無視されたり。 でも、ホストはそれがない。1回お金を使うと2~3か月は優しくしてもらえる。メン地下やジャニーズに比べたら、お金はずっとかかるけど、もともとお酒好きだし、椅子にも座ってられるし、毎日行かなくてもいいのが、ホストはいいんです」「先月は16万、今月11万以上…」37歳・女性保育士が「手取り20万円未満」でもホスト通いを止めない理由 へ続く(大泉 りか)
ちなみに2021年のホスト企画による青汁王子の売り上げは5日間で1億超え(※単独ではなく「青汁軍団」と呼ばれるメンバーでの総合計)を記録するとともに、エイベックス株式会社代表取締役会長である松浦勝人や、有名YouTuberのヒカルといった著名人が多く客として店を訪れたことが話題を呼んだ。
また、へずまりゅうも3週間で1360万円の売り上げを記録したことが女性週刊誌などで報じられた。話題性をマネタイズするための手法として「ホストになる」ということも、昨今ひとつの事象なのである。
ホストのアイドル化がホスト業界に持ち込んだのは、異業種界での有名人の参入だけではない。女性客らに「ホストを推しとして、応援する」という意識変革をもたらしたのも、ホストのアイドル化が一因にある。それは歌舞伎町を代表とする、多数のホストクラブを擁する繁華街のあちこちにある看板や、街中を走るアドトラックを見れば一目瞭然だ。
それらの媒体にビジュアルが掲載されるのは、月間や年間の売り上げのトップグループにランクインしているホストたちで、その中でもナンバーワンは、ことさら大きく煽られる。これは、一世を風靡した女性アイドルグループAKB48が、かつて行っていたシングル選抜総選挙と似通ったシステムだ。
AKBグループによるシングル選抜総選挙は、投票によってシングルの楽曲を歌うメンバーが選出されるシステムで、ゆえにファンたちは自分の推しの順位をあげるために投票券の封入された特定のCDを複数枚買う。それと同じく、ホス狂いたちは推しのホスト=担当をナンバー入りさせるために、シャンパンや高額ボトルをおろす。
握手会やシングル総選挙などのイベントを絡め、メンバーそのものを売りにしてCDの売り上げにつなげるAKB商法は、あちこちでバッシングされた(そもそもAKB自体が、キャバクラのステージを参考にコンセプトを立てられたという噂もある)が、ホストクラブもまた、ホストそのものを売りにして飲食代の売り上げにつなげている。 ファンにとって“推し”を応援することは、イコール金銭をなげうつことであり、その金額が多ければ多いほど熱度が高いという証明にもなる。普通は聴かないCDを買ったり、飲まない酒をオーダーしたりはしないが、そこに「推しへの投げ銭」という名目が乗ることによって、AKBのファンらは開封すらしないCDを何十枚何百枚も買い、ホス狂いは開封すらしないボトルをおろす。自らが消費できる限度を超えた物品を、課金のために購入する仕組みができあがっているのである。 いったい何がきっかけでサヤカは“推す”という文化を身に着けたのか。それは家庭環境が原因だったという。「お母さんも追っかけしていたんです」「子供の頃から、お母さんも追っかけしていたんです。だから、お金を使ってイケメンに会うっていうことに抵抗がない。最初は関西ジャニーズJr.が好きでした。でも、Jr.って卒業しちゃうんですよね。しばらく追っかけていたんだけど、応援していた子たちが全員デビューしてしまって、次にメン地下に行ったんです」 メン地下とはメンズ地下アイドルの略である。 メディアにはあまり露出はなく、インディーズレーベルや自主制作などで音源をリリースし、ライブハウスなどでのパフォーマンスや握手会、チェキ撮影会などファンと近い距離で活動を行っているアイドルを指す。テレビや雑誌などの、いわゆる商業メディアでの露出はなくともSNS全盛期の昨今、推しを探している女性の目に留まるチャンスは多くあるし、積極的に推し活する女性が多く存在する今、メン地下にも相応のニーズがある。 2019年のマイナビBLITZ赤坂の単独ライブでは千人超のファンを動員し、オリコンデイリーアルバムランキング1位という記録を持つ「新世紀えぴっくすたぁネ申」や、ヤマハのボーカロイドのプロジェクトをきっかけに結成された読モグループ「ZOLA」、ニコニコ動画の踊り手が組んだ「*ChocoLate Bomb!!」、元ジャニーズJrがプロデュースする「Tim&U」など、個性豊かなグループが群雄割拠している状況にあり、握手会やチェキ撮影会などのイベントではいわゆる前戯物販と呼ばれる接触(手つなぎやバックハグ、壁ドン、顎クイなど)ができるところも、女性ファンたちの心を掴んでいる。 ギャル男、お兄系ムーブメントを牽引し、多くのホストたちがモデルとして誌面に登場していた太陽図書の雑誌『men’s egg』が、一時期、メンズ地下アイドルのカタログ誌にリニューアルしたこともある。ホストとメン地下、その両者が担っている役割は、一部被っているのだ。「1回お金を使うと2~3か月は優しくしてもらえる」「わたし自身がネガティブなタイプだから、自信に満ち溢れている人に惹かれるんです。そんなに顔自体はよくなくても、『俺、超かっこいいからアイドルしてる』とか言ってる人に、『かっこいい!』って言ってあげるのが好き。でも、メン地下の追っかけって、毎日現場に行くのが偉いみたいな空気感があって。 体力や睡眠時間、働く時間を削ってまで追いかけないといけないので、ちょっと大変なんですよね。前は『メン地下のファンって、なんで若い子が多いんだろう』って不思議だったんだけど、20代後半になると体力の低下を感じて『ああ、もう通えないな』って痛感して。それにジャニーズJr.は、みんな思春期みたいな時期に活動してるじゃないですか。だからたとえ30万円以上使ってチケットを手に入れて認知されても『キモ!』って思われるんですよ。永遠に無視されたり。 でも、ホストはそれがない。1回お金を使うと2~3か月は優しくしてもらえる。メン地下やジャニーズに比べたら、お金はずっとかかるけど、もともとお酒好きだし、椅子にも座ってられるし、毎日行かなくてもいいのが、ホストはいいんです」「先月は16万、今月11万以上…」37歳・女性保育士が「手取り20万円未満」でもホスト通いを止めない理由 へ続く(大泉 りか)
握手会やシングル総選挙などのイベントを絡め、メンバーそのものを売りにしてCDの売り上げにつなげるAKB商法は、あちこちでバッシングされた(そもそもAKB自体が、キャバクラのステージを参考にコンセプトを立てられたという噂もある)が、ホストクラブもまた、ホストそのものを売りにして飲食代の売り上げにつなげている。
ファンにとって“推し”を応援することは、イコール金銭をなげうつことであり、その金額が多ければ多いほど熱度が高いという証明にもなる。普通は聴かないCDを買ったり、飲まない酒をオーダーしたりはしないが、そこに「推しへの投げ銭」という名目が乗ることによって、AKBのファンらは開封すらしないCDを何十枚何百枚も買い、ホス狂いは開封すらしないボトルをおろす。自らが消費できる限度を超えた物品を、課金のために購入する仕組みができあがっているのである。
いったい何がきっかけでサヤカは“推す”という文化を身に着けたのか。それは家庭環境が原因だったという。
「子供の頃から、お母さんも追っかけしていたんです。だから、お金を使ってイケメンに会うっていうことに抵抗がない。最初は関西ジャニーズJr.が好きでした。でも、Jr.って卒業しちゃうんですよね。しばらく追っかけていたんだけど、応援していた子たちが全員デビューしてしまって、次にメン地下に行ったんです」
メン地下とはメンズ地下アイドルの略である。
メディアにはあまり露出はなく、インディーズレーベルや自主制作などで音源をリリースし、ライブハウスなどでのパフォーマンスや握手会、チェキ撮影会などファンと近い距離で活動を行っているアイドルを指す。テレビや雑誌などの、いわゆる商業メディアでの露出はなくともSNS全盛期の昨今、推しを探している女性の目に留まるチャンスは多くあるし、積極的に推し活する女性が多く存在する今、メン地下にも相応のニーズがある。
2019年のマイナビBLITZ赤坂の単独ライブでは千人超のファンを動員し、オリコンデイリーアルバムランキング1位という記録を持つ「新世紀えぴっくすたぁネ申」や、ヤマハのボーカロイドのプロジェクトをきっかけに結成された読モグループ「ZOLA」、ニコニコ動画の踊り手が組んだ「*ChocoLate Bomb!!」、元ジャニーズJrがプロデュースする「Tim&U」など、個性豊かなグループが群雄割拠している状況にあり、握手会やチェキ撮影会などのイベントではいわゆる前戯物販と呼ばれる接触(手つなぎやバックハグ、壁ドン、顎クイなど)ができるところも、女性ファンたちの心を掴んでいる。
ギャル男、お兄系ムーブメントを牽引し、多くのホストたちがモデルとして誌面に登場していた太陽図書の雑誌『men’s egg』が、一時期、メンズ地下アイドルのカタログ誌にリニューアルしたこともある。ホストとメン地下、その両者が担っている役割は、一部被っているのだ。
「わたし自身がネガティブなタイプだから、自信に満ち溢れている人に惹かれるんです。そんなに顔自体はよくなくても、『俺、超かっこいいからアイドルしてる』とか言ってる人に、『かっこいい!』って言ってあげるのが好き。でも、メン地下の追っかけって、毎日現場に行くのが偉いみたいな空気感があって。
体力や睡眠時間、働く時間を削ってまで追いかけないといけないので、ちょっと大変なんですよね。前は『メン地下のファンって、なんで若い子が多いんだろう』って不思議だったんだけど、20代後半になると体力の低下を感じて『ああ、もう通えないな』って痛感して。それにジャニーズJr.は、みんな思春期みたいな時期に活動してるじゃないですか。だからたとえ30万円以上使ってチケットを手に入れて認知されても『キモ!』って思われるんですよ。永遠に無視されたり。
でも、ホストはそれがない。1回お金を使うと2~3か月は優しくしてもらえる。メン地下やジャニーズに比べたら、お金はずっとかかるけど、もともとお酒好きだし、椅子にも座ってられるし、毎日行かなくてもいいのが、ホストはいいんです」
「先月は16万、今月11万以上…」37歳・女性保育士が「手取り20万円未満」でもホスト通いを止めない理由 へ続く
(大泉 りか)

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