原告の請求を棄却する――。
和歌山県田辺市で2018年に死亡した資産家で、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた会社経営者の野崎幸助さん(当時77歳)の遺産を巡る訴訟の判決で、和歌山地裁は21日、「遺言書は無効だ」と主張した野崎さんの実兄らの訴えを退けた。
「全財産を田辺市に寄付する」とした野崎さんの遺言書が有効だと判断された。訴訟は、実兄らが相続手続きを任された遺言執行者の弁護士を訴えたもので、受け入れを表明している市も遺言執行者を補助するため、参加していた。
判決後に、市役所で報道陣の取材に応じた市の担当者は「ホッとしている」と安堵(あんど)した表情を浮かべた。
野崎さんの預金や有価証券などは、20年時点で少なくとも13億2000万円に上る。このほか、土地や建物なども含めた遺産は現在、市が代理人弁護士と協力して管理している。
西貴弘総務部長は「現時点で具体的にどうするとは決まっていない。市民全体に還元できるような行政活動に使いたい」と述べた。