幻のそば再現 手がかりは86歳の記憶「父が祖父から聞いたのは…」

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江戸時代には和歌山城と松坂城を結んだ和歌山街道で、切り通しの珍布(めずらし)峠にあったと伝わる「小屋掛けのそば屋」。伊勢神宮や熊野大社などへの参詣や伊勢・志摩の海産物などを運ぶ交易などでも栄えたとされる街道で、幻のそばを再現しようと地元住民が試行錯誤を重ねていた「珍布峠そば」が完成した。道の駅「飯高駅」(三重県松阪市飯高町)のレストランで1日10食限定で提供されている。
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そばの再現に取り組んできたのは、道の駅周辺の地元住民らで作る「和歌山街道銘菓開発会議」。ウオーキングを楽しむ人に向けた土産物を作ろうと発足し、2023年3月に和菓子「珍布峠焼き」を発売すると、道の駅での「そば打ち体験」の人気に目を付け、第2弾としてそば関連の商品化を話し合ってきた。
「小屋掛けのそば屋」は同会議の田中羚児(れいじ)会長(86)が幼い頃、「父が祖父から聞いた話」として記憶していた。石臼を使ってそば粉をひいていたため、殻も入って黒っぽい色をしており、太めで短くしっかりした歯ごたえがあるそばだった――という。
幻のそばを再現するため、地元産のそばの実を飯高産業振興センターで製粉加工。そば殻を約10%残した特注のそば粉を使った「二八そば」は田中さんの記憶に近い、香りの強い太麺で短くても歯ごたえがあり、カツオだしで素朴な味が楽しめるようにした。
販売は当初1月を予定していたが、珍布峠のウオーキングを楽しむ人が増える4月に始まった。レストランの担当者は「田舎そばの懐かしい味をぜひ食べてほしい」と話している。単品は910円、松阪牛しぐれご飯とのセットは1260円(いずれも税込み)。水曜定休。【下村恵美】

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