地方移住で「次の仕事が見つからない」憧れの田舎暮らしで突きつけられた現実

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コロナ禍で働き方が大きく変わった。リモートワークが定着し、地方移住する人も増えた。とはいえ、都心部から田舎に移住したのはいいが、あらゆる“違い”に戸惑っている人たちもいる。 そこで、本記事では「地方移住」で困惑したという2人のエピソードを紹介する。
◆結婚を機に退職した妻、田舎での求職活動は予想以上に厳しい 「憧れのエリアに家が見つかり、その頃はまだ妻と結婚していなかったので、私のみが先に引っ越しました」 1年以上さまざまな物件を見て、やっと理想の暮らしを手に入れた内藤義男さん(仮名・30代)。妻は仕事の事情もあり、内藤さんが引っ越してから1年後に同居し始めたという。しかし、田舎暮らしの不便さを大きく感じていたのは妻だった。 「田舎では、仕事が少ないことは想像していました。妻は失業保険をもらいながらの求職活動。受給期間の3ヵ月を“じゅうぶんだ“と思っていたのですが、想像以上に次の仕事が見つからなかったんです。田舎で本当に苦労をかけてしまったなぁと……」 ◆通勤30分は、都会と田舎では感覚が違う
内藤さんが妻の悪戦苦闘を振り返る。
「田舎での通勤はほとんど車です。しかし都会での電車通勤30分と田舎の車通勤30分では感覚が違います。45分の車通勤が田舎だと気楽だと思われるかもしれませんが、どこの地区に行くにも峠を越える必要があり、冬は路面も凍結するのでペーパードライバーの妻にとっては、厳しいものがありました」 職業訓練を受けて失業保険を少しでも長く受給したかったのだが、通える場所にはなかったそうだ。仕方なく、パートをしながら求職活動をしていたという。 「通勤ではなく、完全在宅の仕事を探すことにしました。そして妻は、1ヵ月間の研修を受けることになって」
研修の甲斐もあり、在宅勤務が可能な仕事を見つけることができた。 就職の面では、田舎に移住する前に周到な準備がないと厳しいと感じた。内藤さん夫妻は現在、憧れの田舎暮らしを満喫している。
◆“方言”の壁「自分の子どもが話す言葉がわからない」
田中恭司さん(仮名・50代)は、妻と子どもとともに田舎に移住した。 「今から20年前、脱サラし、まだ幼かった子どもを連れて田舎に引っ越しました。子どもが喘息もちだったので、少しでも空気のよい環境で育てたかったんです」 田中さんが引っ越した地域は方言が飛び交うところだった。「日本だから多少の方言はあっても、同じ日本語なんだから通じるだろう」……。その考えが甘かったと後になって気づいたという。 「ある日、自分の子どもが意味不明な言葉を発して。私は聞き間違えたかと思って『え? 何?』って聞き返しても判然としない。それが方言だと分かるまでに数分かかりました」
◆大人になってから方言を覚えるのは苦労する
子どもは学校で友達と会話をするうちに方言を吸収したらしく、当然のように使いこなす様子に驚きを隠せなかったと田中さんは話す。 「今なら難しい方言でなければ意味が分かるようになりましたが、田舎に住むならば言葉にも慣れなきゃいけないんだと、当時は少し焦りました」 田舎では子どもに限らず、とくに高齢者の方言が強い。ある程度大人になってから覚えるのは、それなりに苦労するのかもしれない。 <取材・文/chimi86>

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。