【NHK「君の声が聴きたい」プロジェクト】家族に言えない10代の叫び「こんな世の中だいっきらい。お願いだから普段の私を見て」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

家族の悩みを誰かに話したことはあるでしょうか。
自分にとって生活を共にする一番身一番近な存在だからこそ、誰に話して良いかわからず、声を押し殺している人も多いのではないでしょうか。
NHK「君の声が聴きたい」には10代から家族に対しての声が多く寄せられています。その悩みは友達にも先生にも言えない、心が叫んでいるような切実さを感じます。
1冊の書籍にまとまった『君の声が聴きたい』(双葉社刊)刊行を記念して抜粋掲載する第1回の記事では、2020年のユニセフによる「先進国の子どもの幸福度」の調査における「精神的幸福度」で日本が38カ国中37位という結果だったことが受けて、NHKが開始した「君の声が聴きたい」というプロジェクトの詳細をお伝えしました。
第2回では、家族について、10代の生の声を抜粋してお届けします。
私は親との価値観の違いに苦しんでいます。
私は、女性はこうあるべき、という価値観は押し付けられるべきではないと思っています。幼い頃は親の言うことをそのまま信じていましたが、成長するにつれておかしいのではないかと思うようになりました。
母は何歳までに結婚しろと常々言います。理由は楽だから。たしかに結婚してしまえば楽かもしれない。でも、私は自分の手で未来を切りひらきたいと思っています。
母がなぜこのように言うか考えてみました。すると、祖母も同じ考えであることが思い当たりました。結婚し、子どもを産むことが女性の幸せだというのはもう古い、そう思います。女性でも、男性と同じように輝きたい、そう強く希求します。
まりあ(14歳・女性・東京都)
親が脅しで「大切なものを捨てる」や「家を追い出す」などと言うのをやめてほしい。
冗談のつもりで言っているのだろうが、それが原因で精神が壊れてしまうかもしれないのだから。かぎかっこのなかに書いてあることを私は本当に親に言われました。一度家を追い出されたこともあります。
それが原因で、私の精神は壊れました。そのような人がもっと減ってほしいという切実な願いです。
みず(11歳・女性・愛知県)
やりたいことを黙ってしっかりと聞いてほしい。軽視しないでほしい。意思を尊重してほしい。
幼い頃から親の言うことに従ってきた。それが当たり前だった。やりたくなかった中学受験もやった。しかし、たくさんの物語や人に触れて、ふと自分について考える瞬間、今までずっと流されてきて、今まで貫いていることなんてひとつもない。そんな自分が嫌になった。
私は、中学受験の時に、小6になってから成績が良かったので、ひとつ上のクラスに上がれると言われた。最難関を目指す人たちがいるそのクラスに上がれるのだ。嬉しかった。はじめて上を目指そうと自分から思った。しかし、家に帰って親に相談すると、ダメだと言われた。今のクラスでついていけていないのなら、どうせ無理だということだった。結局は公立の中高一貫校への進学が決まった。
また、中学へ入り、バスケットボール部に入部した。これも、自分からだ。やはり、これもうまくなりたいと思い、親にクラブチームに入りたいと言った。軽く流された。それどころか、今通わされている学習塾をやめ、もっと難しい学習塾へ行くことを強制されはじめた。
私は、他の兄妹より父に愛されているらしい。
よく親の言うことを聞くからだそうだ。でも、父も母も機嫌が悪いと罵詈雑言を浴びせてくる。そんな時、本当に誰もいないところで泣いてしまう。父や母を優しい、人格者と思い込んでいた自分が嫌でたまらなくなる。父や母に養ってもらっている自分が嫌でたまらなくなる。なんなら死にたくなる。
また、兄は本気で勉強をさせてもらって、日本トップの難関中高一貫校へ入学。妹は身長が高いという理由で本気でスポーツをさせてもらっている。私はと言えば、家に帰ってからは、洗い物や洗濯物など、ご飯を食べ終えて洗い物が終わるまで、宿題や遊びができる自分の時間がない。また、スポーツ用品メーカーの福袋を父が買ってきた時も、私には何ひとつ中身をくれなかった。私にだってやりたいことはあるし、言いたいことはある。否定せずに理解してほしい。
ぶー(14歳・女性・京都府)
テストの結果を他人と比べないでほしい。
がんばって勉強しても思い通りにならないことがある。よそはよそ、うちはうちと言うのに、がんばって勉強しても親に結果を見せると「ちゃんと勉強したの?」「もっとできたはず」「あそこのおうちの〇〇ちゃんは、もっとできてるのに」と言われ、泣きたくなる。そんなことが続いて、死のうとしたことだってある。
こんな世の中だいっきらい。お願いだから普段の私を見て。お願いだから比べないで。
きゅうり(14歳・女性・栃木県)
安心して帰ることができる”居場所”がほしい。
親が自分の”当たり前”を子どもに当てはめようとしてくる人で、完璧を求めてきたり、自分がおかしいと思ったり、少しでも変だと思ったら全否定して厳禁したりする人だったので……。都合のいい子どもじゃなかった僕は、親にとっては目の上のたんこぶみたいなもので、僕が親に反抗するとよく殴られたりしました……汗。
今はあまりないのですが、そういうことばっかりあったので、家に帰ること自体が苦痛になってしまっています。心から安心して帰れる居場所がほしいです……。
リオ(16歳・わからないです・愛知県)
私は、ヤングケアラーで、みんなとは違う生活を送り、日常を描いています。友だちから遊びに誘われても一緒に遊びには行けず……。何かといえば、母は病気、兄は歩行障害。父は小さい頃に亡くなり、私ひとりで生活を立てていかなければ、母と兄は死んでしまいます。
そんな憂鬱な日々を送りながら、誰にも頼れることはなく、ひとりで過ごしています。
朝は早く起き、朝ご飯を作り、母と兄にご飯を食べさせ、自分はご飯を食べず、急いで登校し、遅刻寸前。下校後は家に帰り、母や兄のご飯を作ったり、お風呂で母と兄を洗ったり……。学校の勉強は、少ししかできず、結局寝るのは3時くらい。そんな生活をしています。
ヤングケアラーはみんな、私のようなつらい生活をしていると思います。幸せを平等に分け、みんなが楽しく暮らせるように、幸せな社会を切りひらいてください。
みんなとは違う高校生。(17歳・女性・東京都)
◇4月21日(日)公開予定の第3回は、『君の声が聴きたい』より10代が抱える「お金」についてのリアルな声を抜粋してお伝えします。「学びたいのに学べない」教育格差に苦しむ声が多く寄せられました。
日本の若者が幸せを感じない理由は?NHK「君の声が聴きたい」に寄せられた声

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。