都心の駅に「地下シェルター」整備へ……「なんで麻布?」「ついに日本にも」 海外の例や災害時は?【#みんなのギモン】

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東京都が、麻布十番駅に「地下シェルター」を整備することになりました。小池知事は、弾道ミサイルの脅威を理由に挙げます。欧州ではウクライナ情勢を受けて再注目され、台湾でもしっかり整備されています。日本でも整備や避難先の指定は進むのでしょうか?そこで今回の#みんなのギモンでは、「都心に“地下シェルター”ナゼ?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に日本テレビの小野高弘解説委員が詳しく解説します。

●なぜ麻布十番に?●地下シェルター、日本は遅れてる?■地下鉄の駅の中に防災備蓄倉庫が日本テレビ・小野高弘解説委員「外国からの弾道ミサイル攻撃に備えた動きとして、東京都が来年度から、地下シェルターの整備を始めるといいます。場所は港区の麻布十番駅。麻布十番と言えば、おしゃれな居酒屋があって、華やかなイメージもある街です」「その麻布十番駅の階段を下りていった先、駅の中に防災備蓄倉庫があります。そこに今置かれているのは、ろうそくや毛布などですが、そこを長期滞在できるようにします。水や食料、非常用電源や通信設備なども備え付けることを考えているそうです」「備蓄倉庫を改装してシェルターにする、ということです。準備や調査をこれから始め、完成は数年後の見通しです」■「災害のときでも…」SNSの反応は?小野解説委員「これを皆さんどう思っているのか。SNS では『ついに日本にも作られるのか!』『地震などの災害のときでも使えるといいな』『なんで麻布なんだろう?』といった声も上がっています」辻岡義堂アナウンサー「まさに、なんで麻布なんだろうという感じですが、きっと、いい場所ということなんですよね?」■一時避難施設は「1~2時間の想定」小野解説委員「いい場所なんです。もし弾道ミサイルに見舞われた場合、どうしたらいいのか。Jアラートが鳴り、まずは緊急一時避難施設に駆け込みます。ここで一時的に身を守ります。その場所は、学校や公共施設など、頑丈なコンクリートの建物の中、または地下街などです」「自治体などが場所を指定していて、都内には4258か所、全国だと5万6173か所(去年4月時点)あります。ただ、ずっとここにいられるわけではなく、滞在はせいぜい1~2時間の想定です。本当の有事になれば攻撃が続くかもしれず、激しくなるかもしれません」「(そうなると)こうした場所では身の安全を確保できない恐れもあります。そこで、しばらくの期間いられる本格的な地下シェルターを整備しようということになりました」鈴江奈々アナウンサー「都市部などでは、地下街や地下鉄といった地下の空間はなじみがありますが、それとは別の機能を備えたものが地下シェルターには求められているということなのですね」■備蓄倉庫が広く、地下深い麻布十番駅小野解説委員「では、なぜ麻布十番なのか。東京都の担当者に聞くと、麻布十番駅は地下鉄の施設の中で、一定程度の地下空間を確保できるからだといいます」「シェルターにする備蓄倉庫の広さは1480平方メートルで、テニスコート6面分ほどに当たります。その深さは地上から40.1メートルで、これだけ深ければ地下シェルターとしても使えるのではないかと考えたそうです」辻岡アナウンサー「確かに、麻布十番駅は広いですよね」小野解説委員「そして地下鉄のトンネルもあるので、物資の輸送もしやすいという点もあるのではないでしょうか」辻岡アナウンサー「輸送拠点にもなるということですか…」■小池知事「国際情勢が厳しい」小野解説委員「来年度はまず準備と調査が行われ、その予算は 2 億円。完成までにはもう少し費用がかかるそうです。なぜ地下シェルターなのか、小池都知事は 26 日に会見で背景を説明しました」「小池都知事は『これまでも様々な避難所について準備も行ってきたわけですが、残念なことに国際情勢が厳しいということも踏まえ、重大かつ深刻な脅威である弾道ミサイルの飛来にも備えていく必要があるかと考えています』と話しました」■ヘルシンキのシェルターの特徴は?市來玲奈アナウンサー「そうですよね。本当にいつ、どこに飛んでくるか分からないからこそ、意識は高く持たなければいけないなと改めて思います。海外の地下シェルターはどうなっているのでしょうか?」小野解説委員「はい、続いてのポイント『日本は遅れているのか』です。シェルターに詳しい専門家に聞くと、北欧などは昔から旧ソ連と接していたこともあり、脅威があるとして、地下シェルターがしっかり整備されているそうです」「フィンランド・ヘルシンキにあるプールは、硬い岩盤をくり抜いて造られた地下シェルターになっています。有事の際には4000人近くを収容できます。この他、普段は体育館やカフェとして使われている地下シェルターもあります」「小池都知事が去年8月にフィンランドを訪問した際に、こうした地下シェルターも視察しました。ヘルシンキの地下シェルターは人口を上回る人数の収容が可能だという説明を受けたそうです」■台湾では地下駐車場がシェルターに小野解説委員「日本の近くでは、台湾も地下シェルターを整備しています。中国本土から140キロほどの距離にある、台湾西部の澎湖島。もし中国が台湾に侵攻すると、真っ先に戦場となるとみられている場所の1つです」「市内の建物の入り口には『防空避難』という標示があり、階段を下りると広い地下駐車場があり、ここが有事の際の地下シェルターになります」「日本核シェルター協会によると、台湾や韓国ではこのような施設が日本の比にならないほど整備されていますが、日本には弾道ミサイル想定の公共の地下シェルターはまだないといいます」■日本核シェルター協会「災害時も有効」忽滑谷こころアナウンサー「地下シェルターを使わなくていいような平和な世の中が一番ですが、やはり国際情勢が厳しい中で、いざというときに逃げ場はあった方が安心ですよね」小野解説委員「こうした現状に、同協会は『ウクライナのことがあり、ヨーロッパではシェルターを今再び整備している』としています」「さらに『地下シェルターはコンクリートの厚さや鉄筋の入り方など、衝撃に耐えられるかどうかの構造が大事になる。そして、構造によっては地震でも壊れにくいという研究結果もあり、災害時にも有効だ』と話します」■軍事専門家「12時間超の空襲警報も」小野解説委員「ある軍事専門家は、『ウクライナを見ても分かるように、空襲警報は一度鳴ると、12時間以上鳴り続けることもあり、その間身を潜め続けることを考えると、トイレや食料を備えたシェルターは大事になる』と言います」鈴江アナウンサー「12時間警報が鳴り続ける、空襲に見舞われる。平和な時間を過ごしてきた戦後生まれの私たちからすると、なかなか想像しにくいですが、やはりそういったことにも備えなければいけないのかなと。怖さも感じます」「一方で災害時の活用について、津波や洪水などの水の災害のときは高い所に避難しなければいけません。そういう意味では難を逃れる場所は、状況によって変わってきます」小野解説委員「火事が起きている時などは地下に逃げ込むことも必要になってくるかもしれませんからね」鈴江アナウンサー「どういったハザードでどういった避難先があるのかを、改めて知るきっかけにもしたいです。ミサイルから命を守るという場所が今後どういった場所に作られるのか、避難先はどこにあるのか、改めて確認して知らせる、避難する取り組みも求められると思いました」■専門家「避難場所の整備と指定は当然」辻岡アナウンサー「地下シェルターは殺伐としたイメージがありましたが、ヘルシンキではプールもありましたし、いろんな国によって概念が違うといいますか、平常時でも使えるんだなと驚きました」小野解説委員「普段使いができるといいですね。日本大学危機管理学部の福田充教授に聞きました」「『地震や津波など自然災害の危機に備えて避難場所を指定しているのは、人の命を守るため。避難先がはっきりしていれば、そこを目指してすぐ動ける。軍事的な危機の際にも、すぐみんなが動けるように避難場所を整備し、指定することは当然だ』と指摘します」「こうした備えを考えること自体、怖いことですが、必要にもなっています」(2024年1月26日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
東京都が、麻布十番駅に「地下シェルター」を整備することになりました。小池知事は、弾道ミサイルの脅威を理由に挙げます。欧州ではウクライナ情勢を受けて再注目され、台湾でもしっかり整備されています。日本でも整備や避難先の指定は進むのでしょうか?
そこで今回の#みんなのギモンでは、「都心に“地下シェルター”ナゼ?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に日本テレビの小野高弘解説委員が詳しく解説します。
●なぜ麻布十番に?●地下シェルター、日本は遅れてる?
日本テレビ・小野高弘解説委員「外国からの弾道ミサイル攻撃に備えた動きとして、東京都が来年度から、地下シェルターの整備を始めるといいます。場所は港区の麻布十番駅。麻布十番と言えば、おしゃれな居酒屋があって、華やかなイメージもある街です」
「その麻布十番駅の階段を下りていった先、駅の中に防災備蓄倉庫があります。そこに今置かれているのは、ろうそくや毛布などですが、そこを長期滞在できるようにします。水や食料、非常用電源や通信設備なども備え付けることを考えているそうです」
「備蓄倉庫を改装してシェルターにする、ということです。準備や調査をこれから始め、完成は数年後の見通しです」
小野解説委員「これを皆さんどう思っているのか。SNS では『ついに日本にも作られるのか!』『地震などの災害のときでも使えるといいな』『なんで麻布なんだろう?』といった声も上がっています」
辻岡義堂アナウンサー「まさに、なんで麻布なんだろうという感じですが、きっと、いい場所ということなんですよね?」
小野解説委員「いい場所なんです。もし弾道ミサイルに見舞われた場合、どうしたらいいのか。Jアラートが鳴り、まずは緊急一時避難施設に駆け込みます。ここで一時的に身を守ります。その場所は、学校や公共施設など、頑丈なコンクリートの建物の中、または地下街などです」
「自治体などが場所を指定していて、都内には4258か所、全国だと5万6173か所(去年4月時点)あります。ただ、ずっとここにいられるわけではなく、滞在はせいぜい1~2時間の想定です。本当の有事になれば攻撃が続くかもしれず、激しくなるかもしれません」
「(そうなると)こうした場所では身の安全を確保できない恐れもあります。そこで、しばらくの期間いられる本格的な地下シェルターを整備しようということになりました」
鈴江奈々アナウンサー「都市部などでは、地下街や地下鉄といった地下の空間はなじみがありますが、それとは別の機能を備えたものが地下シェルターには求められているということなのですね」
小野解説委員「では、なぜ麻布十番なのか。東京都の担当者に聞くと、麻布十番駅は地下鉄の施設の中で、一定程度の地下空間を確保できるからだといいます」
「シェルターにする備蓄倉庫の広さは1480平方メートルで、テニスコート6面分ほどに当たります。その深さは地上から40.1メートルで、これだけ深ければ地下シェルターとしても使えるのではないかと考えたそうです」
辻岡アナウンサー「確かに、麻布十番駅は広いですよね」
小野解説委員「そして地下鉄のトンネルもあるので、物資の輸送もしやすいという点もあるのではないでしょうか」
辻岡アナウンサー「輸送拠点にもなるということですか…」
小野解説委員「来年度はまず準備と調査が行われ、その予算は 2 億円。完成までにはもう少し費用がかかるそうです。なぜ地下シェルターなのか、小池都知事は 26 日に会見で背景を説明しました」
「小池都知事は『これまでも様々な避難所について準備も行ってきたわけですが、残念なことに国際情勢が厳しいということも踏まえ、重大かつ深刻な脅威である弾道ミサイルの飛来にも備えていく必要があるかと考えています』と話しました」
市來玲奈アナウンサー「そうですよね。本当にいつ、どこに飛んでくるか分からないからこそ、意識は高く持たなければいけないなと改めて思います。海外の地下シェルターはどうなっているのでしょうか?」
小野解説委員「はい、続いてのポイント『日本は遅れているのか』です。シェルターに詳しい専門家に聞くと、北欧などは昔から旧ソ連と接していたこともあり、脅威があるとして、地下シェルターがしっかり整備されているそうです」
「フィンランド・ヘルシンキにあるプールは、硬い岩盤をくり抜いて造られた地下シェルターになっています。有事の際には4000人近くを収容できます。この他、普段は体育館やカフェとして使われている地下シェルターもあります」
「小池都知事が去年8月にフィンランドを訪問した際に、こうした地下シェルターも視察しました。ヘルシンキの地下シェルターは人口を上回る人数の収容が可能だという説明を受けたそうです」
小野解説委員「日本の近くでは、台湾も地下シェルターを整備しています。中国本土から140キロほどの距離にある、台湾西部の澎湖島。もし中国が台湾に侵攻すると、真っ先に戦場となるとみられている場所の1つです」
「市内の建物の入り口には『防空避難』という標示があり、階段を下りると広い地下駐車場があり、ここが有事の際の地下シェルターになります」
「日本核シェルター協会によると、台湾や韓国ではこのような施設が日本の比にならないほど整備されていますが、日本には弾道ミサイル想定の公共の地下シェルターはまだないといいます」
忽滑谷こころアナウンサー「地下シェルターを使わなくていいような平和な世の中が一番ですが、やはり国際情勢が厳しい中で、いざというときに逃げ場はあった方が安心ですよね」
小野解説委員「こうした現状に、同協会は『ウクライナのことがあり、ヨーロッパではシェルターを今再び整備している』としています」
「さらに『地下シェルターはコンクリートの厚さや鉄筋の入り方など、衝撃に耐えられるかどうかの構造が大事になる。そして、構造によっては地震でも壊れにくいという研究結果もあり、災害時にも有効だ』と話します」
小野解説委員「ある軍事専門家は、『ウクライナを見ても分かるように、空襲警報は一度鳴ると、12時間以上鳴り続けることもあり、その間身を潜め続けることを考えると、トイレや食料を備えたシェルターは大事になる』と言います」
鈴江アナウンサー「12時間警報が鳴り続ける、空襲に見舞われる。平和な時間を過ごしてきた戦後生まれの私たちからすると、なかなか想像しにくいですが、やはりそういったことにも備えなければいけないのかなと。怖さも感じます」
「一方で災害時の活用について、津波や洪水などの水の災害のときは高い所に避難しなければいけません。そういう意味では難を逃れる場所は、状況によって変わってきます」
小野解説委員「火事が起きている時などは地下に逃げ込むことも必要になってくるかもしれませんからね」
鈴江アナウンサー「どういったハザードでどういった避難先があるのかを、改めて知るきっかけにもしたいです。ミサイルから命を守るという場所が今後どういった場所に作られるのか、避難先はどこにあるのか、改めて確認して知らせる、避難する取り組みも求められると思いました」
辻岡アナウンサー「地下シェルターは殺伐としたイメージがありましたが、ヘルシンキではプールもありましたし、いろんな国によって概念が違うといいますか、平常時でも使えるんだなと驚きました」
小野解説委員「普段使いができるといいですね。日本大学危機管理学部の福田充教授に聞きました」
「『地震や津波など自然災害の危機に備えて避難場所を指定しているのは、人の命を守るため。避難先がはっきりしていれば、そこを目指してすぐ動ける。軍事的な危機の際にも、すぐみんなが動けるように避難場所を整備し、指定することは当然だ』と指摘します」
「こうした備えを考えること自体、怖いことですが、必要にもなっています」
●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。#みんなのギモンhttps://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html
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お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。
#みんなのギモン
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