21人重軽傷、道路陥没、液状化…最大震度6弱の新潟は今 能登半島地震

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1日夕に発生した石川県能登半島を震源地とする地震で、新潟県内では長岡市で震度6弱、新潟市や柏崎市、糸魚川市、上越市、佐渡市など18市町村で震度5強・弱を観測した。2日開かれた県災害対策本部によると、午後2時半現在で県内では21人が重軽傷を負った。各地で道路の損壊やブロック塀の倒壊などがあり、液状化現象も確認された。自治体は被害の把握とともに復旧を急いでいる。【内田帆ノ佳、田倉直彦、板鼻幸雄】
【写真】家が…自宅前でぼうぜんとする女性 県災害対策本部によると、負傷者は家の中で倒れてきた家具で頭を打ったり、体調不良を訴えたりした。市町村別では軽傷者が上越5人▽糸魚川4人▽長岡4人▽新潟3人▽柏崎2人▽三条、五泉でそれぞれ1人ずつ。重傷者は見附の60代男性で、市消防本部によると、自宅で転び、右足を骨折したという。 新潟市の中央区、西区などや、佐渡市の小木地区などの世帯で一時断水した。また県道は土砂崩れや道路の陥没などで一時5カ所で通行止めとなった。国土交通省高田河川国道事務所によると、上越市茶屋ケ原の国道8号では幅約80メートル、高さ約20メートルにわたって土砂が崩れた。1万立方メートルの土砂が堆積(たいせき)したとみられ、上下線で通行止めとなった。斜面上部の岩の撤去に2~3日が必要で、その後道路上の土砂撤去にさらに数日かかる見込み。 住宅については五泉市や新潟市を中心に55戸が一部損壊、新潟市で全壊が1戸の被害があった。県は市町村の住民の罹災証明の交付に向けた住宅被害の認定調査のため、市町村と協議を始めた。 宅地の建物以外の被害では新潟市でブロック塀の倒壊が30カ所報告された。同市西区では液状化現象や道路の損壊などの被害が広がっているとみられ、市などは確認や復旧を急いでいる。佐渡、糸魚川両市でもブロック塀の倒壊が報告された。 県警によると、塀の倒壊や地面の液状化、道路の陥没、土砂崩れといった地震被害に絡んだ110番通報は、計274件に上った。 学校の施設にも被害があり、県立高校や新潟市立小学校など計67校で被害が報告された。床や階段などの亀裂や天井コンクリート片の落下などがあったが、県によると、いずれも冬休み明けの授業再開には影響はない見込みという。鉄道では、上越新幹線の越後湯沢―新潟間で2日午後2時半ごろまで運休が続いた。自宅が傾く 震度5強を観測した新潟市西区では、道路の陥没や液状化現象など被害が広がった。同区の新潟西郵便局の駐車場では車両5台が濁った水に一部沈んだ。女性従業員によると敷地内にはほかにも地面が陥没している場所があり、「テレビで見ていたが実際にみると被害が想像以上でびっくりした」と話した。ATM(現金自動受払機)と窓口は臨時休業とし、再開のめどは立っていないという。 また同区の南木久さん(44)は、木造2階建ての自宅が傾き、リビングの床や庭が波打った状態だという。自宅から約2キロに海があることから、地震発生後は新潟市立坂井輪小学校の3階に避難した。津波警報から津波注意報に切り替わった時点でようやく帰宅。「ガスや水道が早く復旧してほしい。家が傾いているので次に大きな地震が発生したときに不安だ」と語った。 同小学校に1日夜に避難した一人暮らしの西区の女性(72)は「家が気になって眠れなかった」。避難時、屋内はガスの臭いが充満し、一戸建て自宅前のコンクリートは割れ、水や泥があふれ出ていたという。2日朝に避難所から家に戻ったが「家の床はゆがんで歩きづらいし、昨日の夜から何も食べていない。家は壊すしかないかもしれない」とつぶやいた。 新潟市によると、午後2時現在で把握した市内の建物被害の大半が、西区に集中していた。市の担当者は「被害の全体を把握しきれておらず、今後拡大する可能性がある」とした。また同区内の小中学校などに開設された38カ所の避難所には一時、5876人が避難した。 被害は県内各地に及んだ。十日町市では、同市松之山松口、市臨時職員、福原諭祐さん(65)宅で、自宅敷地内にある木造2階建ての農作業小屋(約80平方メートル)が倒壊。最初の地震発生時、自宅にいた福原さんは激しい揺れを感じ、玄関に向かった。しばらくして揺れが収まるのを待って外に出てみると同じ敷地内にある農作業小屋が原型をとどめないほどにつぶれていた。中には、軽トラックや農作業の道具などを入れており、福原さんは「自宅は大丈夫だった。けが人もいなかったので良かった」と話した。津波に警戒 地震が最初に発生した1日午後4時10分ごろ、新潟市西区の「道の駅 新潟ふるさと村」では陳列してあった地酒の瓶が次々に倒れ、割れるなどした。元旦とあって当時は地元の土産物や海産物を買う客でにぎわっており、悲鳴も上がるなど一時は騒然としたが、けが人はなかった。地震とともに津波警報が出たため、被害を警戒して職員が買い物客らを2階に集め、新潟に到着した津波の状況が分かるまで1時間ほど退避させた。
県災害対策本部によると、負傷者は家の中で倒れてきた家具で頭を打ったり、体調不良を訴えたりした。市町村別では軽傷者が上越5人▽糸魚川4人▽長岡4人▽新潟3人▽柏崎2人▽三条、五泉でそれぞれ1人ずつ。重傷者は見附の60代男性で、市消防本部によると、自宅で転び、右足を骨折したという。
新潟市の中央区、西区などや、佐渡市の小木地区などの世帯で一時断水した。また県道は土砂崩れや道路の陥没などで一時5カ所で通行止めとなった。国土交通省高田河川国道事務所によると、上越市茶屋ケ原の国道8号では幅約80メートル、高さ約20メートルにわたって土砂が崩れた。1万立方メートルの土砂が堆積(たいせき)したとみられ、上下線で通行止めとなった。斜面上部の岩の撤去に2~3日が必要で、その後道路上の土砂撤去にさらに数日かかる見込み。
住宅については五泉市や新潟市を中心に55戸が一部損壊、新潟市で全壊が1戸の被害があった。県は市町村の住民の罹災証明の交付に向けた住宅被害の認定調査のため、市町村と協議を始めた。
宅地の建物以外の被害では新潟市でブロック塀の倒壊が30カ所報告された。同市西区では液状化現象や道路の損壊などの被害が広がっているとみられ、市などは確認や復旧を急いでいる。佐渡、糸魚川両市でもブロック塀の倒壊が報告された。
県警によると、塀の倒壊や地面の液状化、道路の陥没、土砂崩れといった地震被害に絡んだ110番通報は、計274件に上った。
学校の施設にも被害があり、県立高校や新潟市立小学校など計67校で被害が報告された。床や階段などの亀裂や天井コンクリート片の落下などがあったが、県によると、いずれも冬休み明けの授業再開には影響はない見込みという。鉄道では、上越新幹線の越後湯沢―新潟間で2日午後2時半ごろまで運休が続いた。
自宅が傾く
震度5強を観測した新潟市西区では、道路の陥没や液状化現象など被害が広がった。同区の新潟西郵便局の駐車場では車両5台が濁った水に一部沈んだ。女性従業員によると敷地内にはほかにも地面が陥没している場所があり、「テレビで見ていたが実際にみると被害が想像以上でびっくりした」と話した。ATM(現金自動受払機)と窓口は臨時休業とし、再開のめどは立っていないという。
また同区の南木久さん(44)は、木造2階建ての自宅が傾き、リビングの床や庭が波打った状態だという。自宅から約2キロに海があることから、地震発生後は新潟市立坂井輪小学校の3階に避難した。津波警報から津波注意報に切り替わった時点でようやく帰宅。「ガスや水道が早く復旧してほしい。家が傾いているので次に大きな地震が発生したときに不安だ」と語った。
同小学校に1日夜に避難した一人暮らしの西区の女性(72)は「家が気になって眠れなかった」。避難時、屋内はガスの臭いが充満し、一戸建て自宅前のコンクリートは割れ、水や泥があふれ出ていたという。2日朝に避難所から家に戻ったが「家の床はゆがんで歩きづらいし、昨日の夜から何も食べていない。家は壊すしかないかもしれない」とつぶやいた。
新潟市によると、午後2時現在で把握した市内の建物被害の大半が、西区に集中していた。市の担当者は「被害の全体を把握しきれておらず、今後拡大する可能性がある」とした。また同区内の小中学校などに開設された38カ所の避難所には一時、5876人が避難した。
被害は県内各地に及んだ。十日町市では、同市松之山松口、市臨時職員、福原諭祐さん(65)宅で、自宅敷地内にある木造2階建ての農作業小屋(約80平方メートル)が倒壊。最初の地震発生時、自宅にいた福原さんは激しい揺れを感じ、玄関に向かった。しばらくして揺れが収まるのを待って外に出てみると同じ敷地内にある農作業小屋が原型をとどめないほどにつぶれていた。中には、軽トラックや農作業の道具などを入れており、福原さんは「自宅は大丈夫だった。けが人もいなかったので良かった」と話した。
津波に警戒
地震が最初に発生した1日午後4時10分ごろ、新潟市西区の「道の駅 新潟ふるさと村」では陳列してあった地酒の瓶が次々に倒れ、割れるなどした。元旦とあって当時は地元の土産物や海産物を買う客でにぎわっており、悲鳴も上がるなど一時は騒然としたが、けが人はなかった。地震とともに津波警報が出たため、被害を警戒して職員が買い物客らを2階に集め、新潟に到着した津波の状況が分かるまで1時間ほど退避させた。

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