「粗大ごみ廃棄控えて」東京で異例の緊急声明 処理施設火災の原因は?大掃除に影響も

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「緊急事態です!粗大ごみがあふれています」と書かれた貼り紙。先月、東京・江東区の粗大ごみの処理施設で火災が発生した。年末の大掃除のシーズンにもかかわらず、粗大ごみの廃棄を控えるように呼び掛ける異例の事態が起きている。
■23区唯一“粗大ごみ処理の要”…稼働停止
江東区にある23区で唯一の粗大ごみを破砕処理する施設。一日150トンの粗大ごみが集められる。
ごみの中には、マットレスやオフィスで使う椅子、様々な形や色のキャリーケース。さらには、公園に設置されていた看板などが捨てられている。
東京二十三区清掃一部事務組合 中防処理施設管理事務所 山根宏史副所長
「普段ですと、こういうような形で空きスペースがいっぱいあるんですけども。こちら、おおよそ800トンぐらいで、1週間分のごみになりますね」
ここ1カ月で一気にスペースの7割近くまで粗大ごみで埋まってしまったという。
その理由は、先月この粗大ごみ処理施設で発生した火災。消防車など30台以上が出動する事態になった。
この火災が原因で、粗大ごみの破砕機2基が現在、稼働停止状態になっている。
東京23区内から出た粗大ごみのすべてがこの施設にいったん集められ、粉々に粉砕。細かくした後、分別し、鉄などはリサイクルへ。その他は、焼却処分や埋め立て処理が行われる。
ここは東京の粗大ごみ処理の要となる場所なのだが…。
東京二十三区清掃一部事務組合
「緊急事態です!粗大ごみがあふれています」
「ご家庭から出される粗大ごみの受け入れが危機的状況となっています」
先週、「粗大ごみを出すのを控えてほしい」という異例の声明が出された。
■出火原因…リチウムイオン電池“混ざった”か
都内在住(30代)
「知らなかった。(粗大ごみを)クリスマスの日の朝に出しました。本棚と衣装ケースのプラスチックの大きいやつをもう使わなくなったので」
カップル
「近々、同居する予定で、それに向けてごみが増えそうで」
「できるだけ協力したいと思うけど、どうすればいいんだろう」
都民は一様に困り顔。なぜ、粗大ごみ処理施設で火災が起きたのか?
山根副所長
「ごみの多くは布団ですとかタンスですとか、このような木くず状のものが多い。こういう中に二次電池付きの製品が紛れ込んでしまいますと、一回火がつくと、一気に燃え上がってしまう」
「火元と思われる場所になります。ベルトコンベヤーの上で発火したということです」
ベルトコンベヤー上で破砕したごみが突然出火。出火の原因とみられているのは、携帯電話のモバイルバッテリーなどに使われるリチウムイオン電池。粗大ごみに混ざっていたとみられている。
出火原因となったリチウムイオン電池は、コードレス掃除機などに付けられたまま分別されず、捨てられていることが多いという。
山根副所長
「例えばこういうところですかね。ここにバッテリーが入っていたと思われます。これロボット掃除機ですね。おそらくここに(バッテリーが)付いていたと思われます」
作業員が粗大ごみの中からリチウムイオン電池を手作業で分別しているが…。
山根副所長
「我々の方でバッテリーが付いている製品は、一日大体200個ほどピックアップしているが。どうしても、ごみの中からすべてのバッテリーを取り出すのは難しい」
リチウムイオン電池は圧力や強い衝撃を受けると発火する恐れがあり、注意が必要だという。
■リチウムイオン電池そのまま廃棄…火災相次ぐ
白煙を上げるごみの袋。清掃員がごみ収集中に、突然の発火。中には、モバイルバッテリーがそのまま捨てられていたという。
ごみ収集車の後方から炎が上がり、黒い煙が辺り一帯に…。粗大ごみを回収中、電池類から発火したとみられている。
先週、東京でもごみ収集車が炎上するという事態が起きた。
江東区清掃事務所 瀧川久輝所長
「今回の火災の原因は、こうした充電式のコードレスクリーナー。それから電子たばこ、この2つであることが特定されました」
出火した掃除機は、見る影もないほど黒く焼け焦げていた。
こうしたリチウムイオン電池が原因とみられる火災は今年、東京だけで166回を数え、過去最多となっている。
埼玉県にあるごみ処理場の映像には、粗大ごみを粉砕する機械の中で、リチウムイオン電池が発火する様子が映し出されている。
江東区の処理施設は現在も稼働できない状態が続き、粗大ごみの山ができている。
山根副所長
「本復旧をすると、4億円程度かかるのではないかと思っております。もし急がない(粗大ごみ)というものがあれば、少し出すのを待っていただくということもご協力いただければなと思います」

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