九大跡地の人骨、手がかりなく半年 不明者800人とDNA照合、捜査員延べ4400人

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

九州大箱崎キャンパス跡地(福岡市東区箱崎6丁目)の解体工事現場で、切断された人骨が見つかってから7日で半年。福岡県警は、骨から検出したDNA型について県内の行方不明者らとの照合を進めてきたが、身元の特定には至らず捜査は難航している。県警は、所在が分からなくなっても気付かれにくいホームレスや外国人の可能性もあるとみて調べており、情報提供を求めている。
人骨は4月7日昼、がれきの集積場所で作業員が見つけた。腰から太ももにかけての骨で、両脚を鋭利な刃物で切断した痕があった。20~40代の男性で死後2~7カ月が経過していたとみられる。県警は遺体の他の部位などを捜したが、ペイペイドームの5倍に相当する約40ヘクタールの跡地全体の捜索は現実的ではないと判断し、3日間で中断。今も新たな骨や遺留品は見つかっていない。
この半年間、県警は身元の特定に力を入れてきた。遺体のDNA型と、県内の行方不明者らのうち遺体と同じ年齢層の約800人を照合。並行して、警察庁のデータベースに登録された過去の事件関係者らのDNA型も確認したが、一致する人物はいなかった。
警察庁によると、全国では、昨年までに行方不明者届が出された男性は延べ5万人以上。20~40代に絞っても膨大で、全てのDNA型鑑定を行うのは「非効率」(捜査幹部)。現在は、県内で新たに明らかになった行方不明者などを中心に鑑定を進めている。
九州大箱崎キャンパス跡地は当時、建物の撤去が完了してほぼ更地になっており、今後は市や同大などが再開発を計画。県警は何者かが遺体を別の場所で切断し、発覚を免れるために遺棄したとみているが、「再開発のために人が出入りする場所に隠すだろうか。どんな場所か分かっていない人物が関与したのではないか」と話す捜査関係者もいる。
県警は延べ4400人の捜査員を投入し、聞き込みなどを続けてきた。半年間で寄せられた情報は12件にとどまっており、県警幹部は「思い当たることがあれば、どんな小さなことでも情報を寄せてほしい」と話す。福岡東署=092(643)0110。
(津留恒星、野村有希)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。