マンション内の“犬派”と“猫派”が対立…ペット可物件でも油断できない、本当にあった「ヤバい飼育トラブル」

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生活に愛情と癒しを与えてくれるペットを家族の一員と考えている人は多いだろう。しかし、動物たちが予期せぬ行動をすることは避けられない。それゆえ、さまざまな人々が暮らすマンションでは、ペットを巡るトラブルも起こっているようだ。
【写真】この記事の写真を見る(4枚)◆ ◆ ◆※写真はイメージです iStock.comペット可でも…マンション内で鳴き声が問題に 都内のペット可の大型マンションに住んでいる伊藤陽子さん(仮名・30代)は、住人同士のペットをめぐるトラブルに辟易としているという。

「うちのマンションは、裏口に散歩帰りの犬の足を洗える場所があったり、エレベーターには『ペットが乗っています』と知らせるボタンがついていたりと、ペットと飼い主にフレンドリーな仕様でした。私が飼っているのは小型犬のミニチュアダックスフンド。住人の中にはゴールデンレトリーバーや、スタンダードプードルなど超大型犬を飼っている人もいますね。 そのマンション内で『犬の鳴き声』が問題になったことがあったんです。ペット可の物件だけあって部屋の防音対策はしっかりしているんですが、窓を開けていると、やはりそれなりに音が響いてしまうんです」「猫が怯えるので吠えさせないように」と匿名の住人から苦言 ある日、マンションの掲示板に「警告! 猫が怯えるので夜間は犬に吠えさせないように!」という手書きの貼り紙が掲げられた。「どこの誰が書いたのかも分からず、『鳴き声はお互い様だし仕方ないよね』と無視していたんですが、ちょっと引っかかったのが『猫が怯えるので』という部分でした。 張り紙を書いたのは猫を飼っている世帯だと推測できますよね。そのため、犬を飼っている人たちの間で、『どこの猫飼いがゴネてるんだ』という犯人探しが始まり、マンション内に『犬派VS猫派』といった対立構造が生まれてしまって……。なんだかギスギスした雰囲気になってしまったんです」 結局、いつの間にか張り紙は撤去されてウヤムヤになり、謎の対立も次第に薄れていったという。さらにこのマンションには、動物が苦手な人も住んでおり、別のトラブルも起きていた。動物が苦手な人がペット可の物件に住んでいるワケ「ペット可のマンションのため、エレベーターで大型犬を連れた人と乗り合わせたときには譲り合ったり、お互いのペットを撫でて挨拶するようなことが日常的にあります。 ところが、中には明らかに動物が嫌いそうな方もいて……。ある高齢の女性は、エレベーターに動物が乗っていたり、ロビーで犬を連れている人を見ると、怪訝な顔をして、手でシッシッとアピールするタイプ。『犬連れているならエレベーターじゃなく階段を使いなさいよ!』と叱責されたというご近所さんもいます。 犬って不思議と自分に対して敵意のある人間には敏感なんですよね。この女性が大型犬を連れた人とエレベーターで乗り合わせたときに激しく吠えられて、さらには前足でとびかかるような形で接触してしまった。 女性は転倒してしまい、幸い、尻もちをついた程度で大きなケガはなかったものの、『訴えてやる!』と激怒していたようです」 結局管理会社が間に入って、この“転倒”トラブルは示談で収まることに。「当時は、『ペットが嫌いなら引っ越せばいいのに』と思っていましたが、どうやらこの女性はもともとマンションが建っている場所に家があったらしく、立ち退く代わりにひと部屋所有することになったとのこと。そうしたやむを得ない事情があって、動物が苦手なのに、ペット可の物件に住んでいたそうです。そう考えると、少し気の毒な気もしますね」旅行に行く友だちから「飼い猫を預かって」と言われ… 続いてはこちらもペット可のマンションに住んでいた藤井菜穂さん(仮名・30代)の体験談。「私が住んでいたのは12階建てのマンションの8階。ペット可物件ですが、何も飼っておらず、パートナーと2人で住んでいました。ある時、旅行に行く友だちから『飼い猫を預かってほしい』と言われ、1週間だけ部屋で飼うことに。まだ1歳くらいの子猫で、いつもケージの隅で大人しく丸まっていたから油断しちゃったんですね。部屋の窓を開けたままにしていたら、いつのまにかケージを飛び出してバルコニーに出てしまったんです。 捕まえようと近づくと、さらに怯えて柵のスキマから隣の部屋のバルコニーに大脱走。こちらのバルコニーからエサやオモチャで気を引いてみたけど、子猫はぜんぜん帰ってきませんでした。 子猫に向かって大声で呼びかけたり、掃除用具など長い棒状のものを伸ばして気を引こうと悪戦苦闘していたら、とつぜんカーテンが開いて、在宅していたお隣さんとバッチリ目が合って。不審者だと思われたようで、とても驚かせてしまって……」ピリピリとした空気に居心地が悪くなった結果 子猫は無事に戻ってきて飼い主に返すことができたが、1週間とはいえペットを飼う申請をしていなかった藤井さんは、管理会社からも怒られてしまった。「その後、お隣さんに何度も謝罪しましたが『怪しい行動をせずに、ひと声かけてくれればよかったのに』とチクリと言われてしまいました。一度できた溝はなかなか埋まらず、ピリピリした空気に居心地が悪くなって、まだ更新前だったけど引っ越すことに。ペットからは簡単に目を離してはいけないなと学びました」ニャーと鳴きながら隣人の部屋に行ってしまった 最後は、1LDKマンションで同棲していた彼女と一緒に猫5匹(親猫2匹、子猫3匹)を飼っていた大森裕二さん(仮名・50代)のエピソード。「僕が住んでいたのは2階の角部屋で、隣の部屋には留学生と思しき若い外国人の女性が一人暮らしをしていました。 うちで飼っていた5匹の猫のうち、1匹は人懐っこくて好奇心旺盛で日ごろからよく脱走していたんです。その日も洗濯物を干すためにベランダの窓を開けていたら、少し離れた隣の部屋のベランダにヒョイと飛び移って行ってしまって。しかも、飛び移った隣の部屋も窓を開けっ放しだったらしく、そのまま猫が『ニャー』と鳴きながら部屋に入っていってしまったんです」「うちの猫がすみません」と謝ったものの… すると、隣の部屋から「キャー!」という女性の悲鳴が響き渡り、ドタドタと逃げまどう様子が伝わってきた。「これはヤバいと思って『うちの猫がすみません』とすぐに声をかけたんですが、その女性は猫が嫌いだったようで、ものすごい剣幕で怒られました。女性はパニック状態で、お互いに話す言葉がわからなかったこともあり、こちらの弁解が伝わらなくて。翌日、女性の部屋のベランダには猫よけの巨大なバリケードが設置されていました」 このトラブルの負い目から、ちょっとした物音でも「迷惑だったかな」と気にしてしまうようになったという大森さん。ペットとの快適な暮らしを保つためにも、隣人と良好な関係を維持できるよう目を配ることが大切だ。(清談社)
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※写真はイメージです iStock.com
都内のペット可の大型マンションに住んでいる伊藤陽子さん(仮名・30代)は、住人同士のペットをめぐるトラブルに辟易としているという。
「うちのマンションは、裏口に散歩帰りの犬の足を洗える場所があったり、エレベーターには『ペットが乗っています』と知らせるボタンがついていたりと、ペットと飼い主にフレンドリーな仕様でした。私が飼っているのは小型犬のミニチュアダックスフンド。住人の中にはゴールデンレトリーバーや、スタンダードプードルなど超大型犬を飼っている人もいますね。
そのマンション内で『犬の鳴き声』が問題になったことがあったんです。ペット可の物件だけあって部屋の防音対策はしっかりしているんですが、窓を開けていると、やはりそれなりに音が響いてしまうんです」
「猫が怯えるので吠えさせないように」と匿名の住人から苦言 ある日、マンションの掲示板に「警告! 猫が怯えるので夜間は犬に吠えさせないように!」という手書きの貼り紙が掲げられた。「どこの誰が書いたのかも分からず、『鳴き声はお互い様だし仕方ないよね』と無視していたんですが、ちょっと引っかかったのが『猫が怯えるので』という部分でした。 張り紙を書いたのは猫を飼っている世帯だと推測できますよね。そのため、犬を飼っている人たちの間で、『どこの猫飼いがゴネてるんだ』という犯人探しが始まり、マンション内に『犬派VS猫派』といった対立構造が生まれてしまって……。なんだかギスギスした雰囲気になってしまったんです」 結局、いつの間にか張り紙は撤去されてウヤムヤになり、謎の対立も次第に薄れていったという。さらにこのマンションには、動物が苦手な人も住んでおり、別のトラブルも起きていた。動物が苦手な人がペット可の物件に住んでいるワケ「ペット可のマンションのため、エレベーターで大型犬を連れた人と乗り合わせたときには譲り合ったり、お互いのペットを撫でて挨拶するようなことが日常的にあります。 ところが、中には明らかに動物が嫌いそうな方もいて……。ある高齢の女性は、エレベーターに動物が乗っていたり、ロビーで犬を連れている人を見ると、怪訝な顔をして、手でシッシッとアピールするタイプ。『犬連れているならエレベーターじゃなく階段を使いなさいよ!』と叱責されたというご近所さんもいます。 犬って不思議と自分に対して敵意のある人間には敏感なんですよね。この女性が大型犬を連れた人とエレベーターで乗り合わせたときに激しく吠えられて、さらには前足でとびかかるような形で接触してしまった。 女性は転倒してしまい、幸い、尻もちをついた程度で大きなケガはなかったものの、『訴えてやる!』と激怒していたようです」 結局管理会社が間に入って、この“転倒”トラブルは示談で収まることに。「当時は、『ペットが嫌いなら引っ越せばいいのに』と思っていましたが、どうやらこの女性はもともとマンションが建っている場所に家があったらしく、立ち退く代わりにひと部屋所有することになったとのこと。そうしたやむを得ない事情があって、動物が苦手なのに、ペット可の物件に住んでいたそうです。そう考えると、少し気の毒な気もしますね」旅行に行く友だちから「飼い猫を預かって」と言われ… 続いてはこちらもペット可のマンションに住んでいた藤井菜穂さん(仮名・30代)の体験談。「私が住んでいたのは12階建てのマンションの8階。ペット可物件ですが、何も飼っておらず、パートナーと2人で住んでいました。ある時、旅行に行く友だちから『飼い猫を預かってほしい』と言われ、1週間だけ部屋で飼うことに。まだ1歳くらいの子猫で、いつもケージの隅で大人しく丸まっていたから油断しちゃったんですね。部屋の窓を開けたままにしていたら、いつのまにかケージを飛び出してバルコニーに出てしまったんです。 捕まえようと近づくと、さらに怯えて柵のスキマから隣の部屋のバルコニーに大脱走。こちらのバルコニーからエサやオモチャで気を引いてみたけど、子猫はぜんぜん帰ってきませんでした。 子猫に向かって大声で呼びかけたり、掃除用具など長い棒状のものを伸ばして気を引こうと悪戦苦闘していたら、とつぜんカーテンが開いて、在宅していたお隣さんとバッチリ目が合って。不審者だと思われたようで、とても驚かせてしまって……」ピリピリとした空気に居心地が悪くなった結果 子猫は無事に戻ってきて飼い主に返すことができたが、1週間とはいえペットを飼う申請をしていなかった藤井さんは、管理会社からも怒られてしまった。「その後、お隣さんに何度も謝罪しましたが『怪しい行動をせずに、ひと声かけてくれればよかったのに』とチクリと言われてしまいました。一度できた溝はなかなか埋まらず、ピリピリした空気に居心地が悪くなって、まだ更新前だったけど引っ越すことに。ペットからは簡単に目を離してはいけないなと学びました」ニャーと鳴きながら隣人の部屋に行ってしまった 最後は、1LDKマンションで同棲していた彼女と一緒に猫5匹(親猫2匹、子猫3匹)を飼っていた大森裕二さん(仮名・50代)のエピソード。「僕が住んでいたのは2階の角部屋で、隣の部屋には留学生と思しき若い外国人の女性が一人暮らしをしていました。 うちで飼っていた5匹の猫のうち、1匹は人懐っこくて好奇心旺盛で日ごろからよく脱走していたんです。その日も洗濯物を干すためにベランダの窓を開けていたら、少し離れた隣の部屋のベランダにヒョイと飛び移って行ってしまって。しかも、飛び移った隣の部屋も窓を開けっ放しだったらしく、そのまま猫が『ニャー』と鳴きながら部屋に入っていってしまったんです」「うちの猫がすみません」と謝ったものの… すると、隣の部屋から「キャー!」という女性の悲鳴が響き渡り、ドタドタと逃げまどう様子が伝わってきた。「これはヤバいと思って『うちの猫がすみません』とすぐに声をかけたんですが、その女性は猫が嫌いだったようで、ものすごい剣幕で怒られました。女性はパニック状態で、お互いに話す言葉がわからなかったこともあり、こちらの弁解が伝わらなくて。翌日、女性の部屋のベランダには猫よけの巨大なバリケードが設置されていました」 このトラブルの負い目から、ちょっとした物音でも「迷惑だったかな」と気にしてしまうようになったという大森さん。ペットとの快適な暮らしを保つためにも、隣人と良好な関係を維持できるよう目を配ることが大切だ。(清談社)
ある日、マンションの掲示板に「警告! 猫が怯えるので夜間は犬に吠えさせないように!」という手書きの貼り紙が掲げられた。
「どこの誰が書いたのかも分からず、『鳴き声はお互い様だし仕方ないよね』と無視していたんですが、ちょっと引っかかったのが『猫が怯えるので』という部分でした。
張り紙を書いたのは猫を飼っている世帯だと推測できますよね。そのため、犬を飼っている人たちの間で、『どこの猫飼いがゴネてるんだ』という犯人探しが始まり、マンション内に『犬派VS猫派』といった対立構造が生まれてしまって……。なんだかギスギスした雰囲気になってしまったんです」
結局、いつの間にか張り紙は撤去されてウヤムヤになり、謎の対立も次第に薄れていったという。さらにこのマンションには、動物が苦手な人も住んでおり、別のトラブルも起きていた。
「ペット可のマンションのため、エレベーターで大型犬を連れた人と乗り合わせたときには譲り合ったり、お互いのペットを撫でて挨拶するようなことが日常的にあります。
ところが、中には明らかに動物が嫌いそうな方もいて……。ある高齢の女性は、エレベーターに動物が乗っていたり、ロビーで犬を連れている人を見ると、怪訝な顔をして、手でシッシッとアピールするタイプ。『犬連れているならエレベーターじゃなく階段を使いなさいよ!』と叱責されたというご近所さんもいます。 犬って不思議と自分に対して敵意のある人間には敏感なんですよね。この女性が大型犬を連れた人とエレベーターで乗り合わせたときに激しく吠えられて、さらには前足でとびかかるような形で接触してしまった。 女性は転倒してしまい、幸い、尻もちをついた程度で大きなケガはなかったものの、『訴えてやる!』と激怒していたようです」 結局管理会社が間に入って、この“転倒”トラブルは示談で収まることに。「当時は、『ペットが嫌いなら引っ越せばいいのに』と思っていましたが、どうやらこの女性はもともとマンションが建っている場所に家があったらしく、立ち退く代わりにひと部屋所有することになったとのこと。そうしたやむを得ない事情があって、動物が苦手なのに、ペット可の物件に住んでいたそうです。そう考えると、少し気の毒な気もしますね」旅行に行く友だちから「飼い猫を預かって」と言われ… 続いてはこちらもペット可のマンションに住んでいた藤井菜穂さん(仮名・30代)の体験談。「私が住んでいたのは12階建てのマンションの8階。ペット可物件ですが、何も飼っておらず、パートナーと2人で住んでいました。ある時、旅行に行く友だちから『飼い猫を預かってほしい』と言われ、1週間だけ部屋で飼うことに。まだ1歳くらいの子猫で、いつもケージの隅で大人しく丸まっていたから油断しちゃったんですね。部屋の窓を開けたままにしていたら、いつのまにかケージを飛び出してバルコニーに出てしまったんです。 捕まえようと近づくと、さらに怯えて柵のスキマから隣の部屋のバルコニーに大脱走。こちらのバルコニーからエサやオモチャで気を引いてみたけど、子猫はぜんぜん帰ってきませんでした。 子猫に向かって大声で呼びかけたり、掃除用具など長い棒状のものを伸ばして気を引こうと悪戦苦闘していたら、とつぜんカーテンが開いて、在宅していたお隣さんとバッチリ目が合って。不審者だと思われたようで、とても驚かせてしまって……」ピリピリとした空気に居心地が悪くなった結果 子猫は無事に戻ってきて飼い主に返すことができたが、1週間とはいえペットを飼う申請をしていなかった藤井さんは、管理会社からも怒られてしまった。「その後、お隣さんに何度も謝罪しましたが『怪しい行動をせずに、ひと声かけてくれればよかったのに』とチクリと言われてしまいました。一度できた溝はなかなか埋まらず、ピリピリした空気に居心地が悪くなって、まだ更新前だったけど引っ越すことに。ペットからは簡単に目を離してはいけないなと学びました」ニャーと鳴きながら隣人の部屋に行ってしまった 最後は、1LDKマンションで同棲していた彼女と一緒に猫5匹(親猫2匹、子猫3匹)を飼っていた大森裕二さん(仮名・50代)のエピソード。「僕が住んでいたのは2階の角部屋で、隣の部屋には留学生と思しき若い外国人の女性が一人暮らしをしていました。 うちで飼っていた5匹の猫のうち、1匹は人懐っこくて好奇心旺盛で日ごろからよく脱走していたんです。その日も洗濯物を干すためにベランダの窓を開けていたら、少し離れた隣の部屋のベランダにヒョイと飛び移って行ってしまって。しかも、飛び移った隣の部屋も窓を開けっ放しだったらしく、そのまま猫が『ニャー』と鳴きながら部屋に入っていってしまったんです」「うちの猫がすみません」と謝ったものの… すると、隣の部屋から「キャー!」という女性の悲鳴が響き渡り、ドタドタと逃げまどう様子が伝わってきた。「これはヤバいと思って『うちの猫がすみません』とすぐに声をかけたんですが、その女性は猫が嫌いだったようで、ものすごい剣幕で怒られました。女性はパニック状態で、お互いに話す言葉がわからなかったこともあり、こちらの弁解が伝わらなくて。翌日、女性の部屋のベランダには猫よけの巨大なバリケードが設置されていました」 このトラブルの負い目から、ちょっとした物音でも「迷惑だったかな」と気にしてしまうようになったという大森さん。ペットとの快適な暮らしを保つためにも、隣人と良好な関係を維持できるよう目を配ることが大切だ。(清談社)
ところが、中には明らかに動物が嫌いそうな方もいて……。ある高齢の女性は、エレベーターに動物が乗っていたり、ロビーで犬を連れている人を見ると、怪訝な顔をして、手でシッシッとアピールするタイプ。『犬連れているならエレベーターじゃなく階段を使いなさいよ!』と叱責されたというご近所さんもいます。
犬って不思議と自分に対して敵意のある人間には敏感なんですよね。この女性が大型犬を連れた人とエレベーターで乗り合わせたときに激しく吠えられて、さらには前足でとびかかるような形で接触してしまった。
女性は転倒してしまい、幸い、尻もちをついた程度で大きなケガはなかったものの、『訴えてやる!』と激怒していたようです」
結局管理会社が間に入って、この“転倒”トラブルは示談で収まることに。
「当時は、『ペットが嫌いなら引っ越せばいいのに』と思っていましたが、どうやらこの女性はもともとマンションが建っている場所に家があったらしく、立ち退く代わりにひと部屋所有することになったとのこと。そうしたやむを得ない事情があって、動物が苦手なのに、ペット可の物件に住んでいたそうです。そう考えると、少し気の毒な気もしますね」
続いてはこちらもペット可のマンションに住んでいた藤井菜穂さん(仮名・30代)の体験談。
「私が住んでいたのは12階建てのマンションの8階。ペット可物件ですが、何も飼っておらず、パートナーと2人で住んでいました。ある時、旅行に行く友だちから『飼い猫を預かってほしい』と言われ、1週間だけ部屋で飼うことに。まだ1歳くらいの子猫で、いつもケージの隅で大人しく丸まっていたから油断しちゃったんですね。部屋の窓を開けたままにしていたら、いつのまにかケージを飛び出してバルコニーに出てしまったんです。
捕まえようと近づくと、さらに怯えて柵のスキマから隣の部屋のバルコニーに大脱走。こちらのバルコニーからエサやオモチャで気を引いてみたけど、子猫はぜんぜん帰ってきませんでした。
子猫に向かって大声で呼びかけたり、掃除用具など長い棒状のものを伸ばして気を引こうと悪戦苦闘していたら、とつぜんカーテンが開いて、在宅していたお隣さんとバッチリ目が合って。不審者だと思われたようで、とても驚かせてしまって……」
子猫は無事に戻ってきて飼い主に返すことができたが、1週間とはいえペットを飼う申請をしていなかった藤井さんは、管理会社からも怒られてしまった。
「その後、お隣さんに何度も謝罪しましたが『怪しい行動をせずに、ひと声かけてくれればよかったのに』とチクリと言われてしまいました。一度できた溝はなかなか埋まらず、ピリピリした空気に居心地が悪くなって、まだ更新前だったけど引っ越すことに。ペットからは簡単に目を離してはいけないなと学びました」
最後は、1LDKマンションで同棲していた彼女と一緒に猫5匹(親猫2匹、子猫3匹)を飼っていた大森裕二さん(仮名・50代)のエピソード。
「僕が住んでいたのは2階の角部屋で、隣の部屋には留学生と思しき若い外国人の女性が一人暮らしをしていました。
うちで飼っていた5匹の猫のうち、1匹は人懐っこくて好奇心旺盛で日ごろからよく脱走していたんです。その日も洗濯物を干すためにベランダの窓を開けていたら、少し離れた隣の部屋のベランダにヒョイと飛び移って行ってしまって。しかも、飛び移った隣の部屋も窓を開けっ放しだったらしく、そのまま猫が『ニャー』と鳴きながら部屋に入っていってしまったんです」
「うちの猫がすみません」と謝ったものの… すると、隣の部屋から「キャー!」という女性の悲鳴が響き渡り、ドタドタと逃げまどう様子が伝わってきた。「これはヤバいと思って『うちの猫がすみません』とすぐに声をかけたんですが、その女性は猫が嫌いだったようで、ものすごい剣幕で怒られました。女性はパニック状態で、お互いに話す言葉がわからなかったこともあり、こちらの弁解が伝わらなくて。翌日、女性の部屋のベランダには猫よけの巨大なバリケードが設置されていました」 このトラブルの負い目から、ちょっとした物音でも「迷惑だったかな」と気にしてしまうようになったという大森さん。ペットとの快適な暮らしを保つためにも、隣人と良好な関係を維持できるよう目を配ることが大切だ。(清談社)
すると、隣の部屋から「キャー!」という女性の悲鳴が響き渡り、ドタドタと逃げまどう様子が伝わってきた。
「これはヤバいと思って『うちの猫がすみません』とすぐに声をかけたんですが、その女性は猫が嫌いだったようで、ものすごい剣幕で怒られました。女性はパニック状態で、お互いに話す言葉がわからなかったこともあり、こちらの弁解が伝わらなくて。翌日、女性の部屋のベランダには猫よけの巨大なバリケードが設置されていました」
このトラブルの負い目から、ちょっとした物音でも「迷惑だったかな」と気にしてしまうようになったという大森さん。ペットとの快適な暮らしを保つためにも、隣人と良好な関係を維持できるよう目を配ることが大切だ。
(清談社)

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