大手飲料メーカー「サントリー」の創業家「佐治」姓を持つ男性X氏(56)が、超高級ウイスキー「山崎55年」について、複数の人に「入手できる」「すぐに金になります」などと購入の斡旋を持ちかけて多額の金銭を集め、トラブルになっていることが「週刊文春」の取材でわかった。出資者のもとには「山崎55年」は納品されていない。
【画像】「被害総額は1億円超」“謎の佐治姓の男” X氏◆◆◆山55 近年、日本の国産ウイスキーが国際的な評価を高めている。
そんな中、2020年に発売されたのが「山崎55年」だ。サントリーの山崎蒸溜所の樽で55年以上熟成された原酒で作られたプレミアウイスキーである。「限定100本で、価格は税込330万円。オークションにたびたび出品され、高額で取引されています。ある香港のオークションではなんと8500万円で落札。投機目的で手に入れようとする人も少なくありません」(飲食業界関係者) これに乗じて多額の金を集めているのが、冒頭のX氏だ。「俺のじいちゃんは佐治敬三のいとこ」 明治時代に鳥井信治郎が創業したサントリーは、次男で佐治家に養子入りした佐治敬三が継いだ。以降、サントリーでは、鳥井家と佐治家が経営を握るオーナー一族として君臨している。X氏は「俺のじいちゃんは佐治敬三のいとこだから」などと周囲に語っており、親族であるとアピールしているという。 今回、複数の被害者が「週刊文春」の取材に応じた。 都内で会社を経営するA氏は、X氏から次のようなLINEで猛プッシュされたと明かす。〈すぐに金になります そうでなければ話ふりません 佐治鳥居の名前で売り飛ばすのは御法度なので近い人に儲けてもらおうと思ったんです〉(原文ママ)X氏本人に連絡すると… X氏は「サントリーの一般販売と同じように、納品までに4カ月かかる」と説明。そしてA氏は2021年1月中旬、1本分の330万円を振り込んだという。 また、複数本分の金額をX氏に振り込んだという別の会社経営者B氏はこう明かす。「山崎については少なくとも10人以上の“被害者”がおり、X氏の子供が通う学校の父兄も含まれているそうです。被害総額は1億円を超えると見られています」 小誌記者がX氏本人に連絡し、「山崎55年の購入斡旋は詐欺行為ではないか」「本当にサントリーの佐治家と親戚関係なのか」と尋ねると、代理人弁護士から次のような回答があった。〈通知人(X氏)が、ウイスキー「山崎55年」の購入代金として、知人から金員を受領したのは事実ですが、通知人は、該当品を入手する意思と見込みをもって金員を受領したものですので(その状況は現在も変わりません)、詐欺には該当いたしません〉 一方、サントリーはこう回答した。「(X氏による山崎をつかった資金集めについて)そのような事案は把握しておりません。お尋ねの人物は、当社グループに全く関係のない人物です」 現在、「週刊文春電子版」では、「山崎55年」金銭トラブルを詳報した記事を配信中だ。「佐治」姓の男性X氏の正体と豪勢な暮らしぶり、金を振り込ませるまでの手口、“被害者”たちの告白、購入した“ドラ1”元プロ野球選手の名前、X氏が「山崎55年」の他に“金集め”に使っていた商材の名前などを報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春)
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山55
近年、日本の国産ウイスキーが国際的な評価を高めている。
そんな中、2020年に発売されたのが「山崎55年」だ。サントリーの山崎蒸溜所の樽で55年以上熟成された原酒で作られたプレミアウイスキーである。
「限定100本で、価格は税込330万円。オークションにたびたび出品され、高額で取引されています。ある香港のオークションではなんと8500万円で落札。投機目的で手に入れようとする人も少なくありません」(飲食業界関係者)
これに乗じて多額の金を集めているのが、冒頭のX氏だ。
「俺のじいちゃんは佐治敬三のいとこ」 明治時代に鳥井信治郎が創業したサントリーは、次男で佐治家に養子入りした佐治敬三が継いだ。以降、サントリーでは、鳥井家と佐治家が経営を握るオーナー一族として君臨している。X氏は「俺のじいちゃんは佐治敬三のいとこだから」などと周囲に語っており、親族であるとアピールしているという。 今回、複数の被害者が「週刊文春」の取材に応じた。 都内で会社を経営するA氏は、X氏から次のようなLINEで猛プッシュされたと明かす。〈すぐに金になります そうでなければ話ふりません 佐治鳥居の名前で売り飛ばすのは御法度なので近い人に儲けてもらおうと思ったんです〉(原文ママ)X氏本人に連絡すると… X氏は「サントリーの一般販売と同じように、納品までに4カ月かかる」と説明。そしてA氏は2021年1月中旬、1本分の330万円を振り込んだという。 また、複数本分の金額をX氏に振り込んだという別の会社経営者B氏はこう明かす。「山崎については少なくとも10人以上の“被害者”がおり、X氏の子供が通う学校の父兄も含まれているそうです。被害総額は1億円を超えると見られています」 小誌記者がX氏本人に連絡し、「山崎55年の購入斡旋は詐欺行為ではないか」「本当にサントリーの佐治家と親戚関係なのか」と尋ねると、代理人弁護士から次のような回答があった。〈通知人(X氏)が、ウイスキー「山崎55年」の購入代金として、知人から金員を受領したのは事実ですが、通知人は、該当品を入手する意思と見込みをもって金員を受領したものですので(その状況は現在も変わりません)、詐欺には該当いたしません〉 一方、サントリーはこう回答した。「(X氏による山崎をつかった資金集めについて)そのような事案は把握しておりません。お尋ねの人物は、当社グループに全く関係のない人物です」 現在、「週刊文春電子版」では、「山崎55年」金銭トラブルを詳報した記事を配信中だ。「佐治」姓の男性X氏の正体と豪勢な暮らしぶり、金を振り込ませるまでの手口、“被害者”たちの告白、購入した“ドラ1”元プロ野球選手の名前、X氏が「山崎55年」の他に“金集め”に使っていた商材の名前などを報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春)
明治時代に鳥井信治郎が創業したサントリーは、次男で佐治家に養子入りした佐治敬三が継いだ。以降、サントリーでは、鳥井家と佐治家が経営を握るオーナー一族として君臨している。X氏は「俺のじいちゃんは佐治敬三のいとこだから」などと周囲に語っており、親族であるとアピールしているという。
今回、複数の被害者が「週刊文春」の取材に応じた。
都内で会社を経営するA氏は、X氏から次のようなLINEで猛プッシュされたと明かす。
〈すぐに金になります そうでなければ話ふりません 佐治鳥居の名前で売り飛ばすのは御法度なので近い人に儲けてもらおうと思ったんです〉(原文ママ)
X氏は「サントリーの一般販売と同じように、納品までに4カ月かかる」と説明。そしてA氏は2021年1月中旬、1本分の330万円を振り込んだという。
また、複数本分の金額をX氏に振り込んだという別の会社経営者B氏はこう明かす。
「山崎については少なくとも10人以上の“被害者”がおり、X氏の子供が通う学校の父兄も含まれているそうです。被害総額は1億円を超えると見られています」
小誌記者がX氏本人に連絡し、「山崎55年の購入斡旋は詐欺行為ではないか」「本当にサントリーの佐治家と親戚関係なのか」と尋ねると、代理人弁護士から次のような回答があった。
〈通知人(X氏)が、ウイスキー「山崎55年」の購入代金として、知人から金員を受領したのは事実ですが、通知人は、該当品を入手する意思と見込みをもって金員を受領したものですので(その状況は現在も変わりません)、詐欺には該当いたしません〉
一方、サントリーはこう回答した。「(X氏による山崎をつかった資金集めについて)そのような事案は把握しておりません。お尋ねの人物は、当社グループに全く関係のない人物です」 現在、「週刊文春電子版」では、「山崎55年」金銭トラブルを詳報した記事を配信中だ。「佐治」姓の男性X氏の正体と豪勢な暮らしぶり、金を振り込ませるまでの手口、“被害者”たちの告白、購入した“ドラ1”元プロ野球選手の名前、X氏が「山崎55年」の他に“金集め”に使っていた商材の名前などを報じている。(「週刊文春」編集部/週刊文春)
一方、サントリーはこう回答した。
「(X氏による山崎をつかった資金集めについて)そのような事案は把握しておりません。お尋ねの人物は、当社グループに全く関係のない人物です」
現在、「週刊文春電子版」では、「山崎55年」金銭トラブルを詳報した記事を配信中だ。「佐治」姓の男性X氏の正体と豪勢な暮らしぶり、金を振り込ませるまでの手口、“被害者”たちの告白、購入した“ドラ1”元プロ野球選手の名前、X氏が「山崎55年」の他に“金集め”に使っていた商材の名前などを報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)