1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人を殺害したとして、強盗殺人などの罪で死刑が確定した袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)の第4回公判が11日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。検察側が犯行時の着衣と位置づける「5点の衣類」について、弁護側は「捏造(ねつぞう)以外にあり得ない。検察官の立証は矛盾だらけだ」と訴え、一部を裁判官に示した。
【図でわかる】そもそも袴田事件とは 5点の衣類は、事件発生から約1年2カ月後、袴田さんが働いていたみそ工場のタンク内で工場従業員によって発見された。確定判決は、被害者の返り血を浴びた袴田さんが、事件発生から間もなく5点の衣類をタンク内に隠したと認め、有罪の根拠とした。今回の再審公判でも検察側は袴田さんが犯行時に着ていたとしている。 弁護側は11日の公判で、5点の衣類に似た白や緑の生地を1年2カ月間、みそに漬ける実験をしたところ、みその色に染まることが確認されたと主張。実際の5点の衣類は元々の生地に近い白や緑のままで見つかっているとし、「1年2カ月もみそに漬かっていないことをはっきり示している。(袴田さんが逮捕された後である)発見直前に入れられており、捏造した証拠だと誰でも分かる」と訴えた。 さらに5点の衣類は再審請求審で2度にわたり、事件からしばらくたって捜査機関がみそタンク内に入れた捏造の可能性が高いと判断されていることを指摘し、「検察側の主張・立証は確定審から何も変わっておらず、有罪立証を断念すべきだ」と述べた。【巽賢司】
5点の衣類は、事件発生から約1年2カ月後、袴田さんが働いていたみそ工場のタンク内で工場従業員によって発見された。確定判決は、被害者の返り血を浴びた袴田さんが、事件発生から間もなく5点の衣類をタンク内に隠したと認め、有罪の根拠とした。今回の再審公判でも検察側は袴田さんが犯行時に着ていたとしている。
弁護側は11日の公判で、5点の衣類に似た白や緑の生地を1年2カ月間、みそに漬ける実験をしたところ、みその色に染まることが確認されたと主張。実際の5点の衣類は元々の生地に近い白や緑のままで見つかっているとし、「1年2カ月もみそに漬かっていないことをはっきり示している。(袴田さんが逮捕された後である)発見直前に入れられており、捏造した証拠だと誰でも分かる」と訴えた。
さらに5点の衣類は再審請求審で2度にわたり、事件からしばらくたって捜査機関がみそタンク内に入れた捏造の可能性が高いと判断されていることを指摘し、「検察側の主張・立証は確定審から何も変わっておらず、有罪立証を断念すべきだ」と述べた。【巽賢司】