かっぱ寿司社長「他社の売り上げ知っても仕方ない、脇が甘かった」…元部下からパスワード聞き出す

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回転ずしチェーン大手「はま寿司」の営業秘密を不正に取得したとして、警視庁は9月30日、同社の元取締役で、同業の「かっぱ寿司」を運営する「カッパ・クリエイト」(横浜市)社長・田辺公己容疑者(46)(神奈川県藤沢市)ら男2人を不正競争防止法違反(営業秘密領得など)容疑で逮捕した。
別の男1人も同法違反のほう助容疑で逮捕した。警視庁は田辺容疑者らが不正に得た商品原価などのデータを自社の営業に役立てていたとみて調べる。
ほかに同法違反容疑で逮捕されたのは、カッパ社の商品企画部長の男(42)(横浜市神奈川区)。ほう助容疑は、田辺容疑者のはま寿司時代の元部下の男(43)(千葉県習志野市)。
発表によると、田辺容疑者は、はま寿司の親会社の幹部だった2020年9月30日頃、はま寿司の商品原価や食材の使用量などに関する営業秘密のデータを不正に取得。同11月1日にカッパ社の顧問に転じた後、同9日頃に商品企画部長の男にデータをメールで送るなどした疑い。データの閲覧に必要なパスワードは、元部下の男から聞き出していたという。
データを受け取った商品企画部長の男は同25日頃、カッパ社の商品本部長らにこのデータをメール送信。同12月、カッパ社では入手したデータを基に、はま寿司と自社の商品原価を比較するなどしていた。警視庁はカッパ社がデータを活用していたとみて、法人としての同社について同法違反容疑で書類送検する方針。
田辺容疑者は1998年、ゼンショー(現・ゼンショーホールディングス)に入社。2014~17年にはま寿司取締役を務めた後、グループ内の「ジョリーパスタ」社長などを歴任した。
ゼンショー関係者によると、田辺容疑者ははま寿司時代、商品単価を下げて客数を増やす戦略を取り、売上高を伸ばすことに成功した。カッパ社は10年代前半以降、業績を落としており、立て直しのために引き抜かれたとみられる。顧問などを経て、昨年2月に社長に就任していた。
かっぱ寿司は外食大手「コロワイド」に買収された14年以降、毎年のように社長が交代しており、田辺容疑者は5人目の社長だった。今年3月末時点の売上高は、はま寿司に次ぐ業界4位で、コロワイド関係者は「結果を出さないといけないプレッシャーがあったのでは」と話した。
■違法性「言えない」…取材時の一問一答
田辺容疑者は今年4月中旬、自宅近くで読売新聞の取材に応じた。主な一問一答は次の通り。
――はま寿司の元部下から売り上げなどのデータを受け取ったか。
「もらいました」
――違法性の認識は。
「犯罪になるかどうかの一つの争点になると思うので、そこは言えない」
――データを得るようカッパ社側から求められたのか。
「そうではない」
――コロナ禍で他社の状況を知りたかったのでは。
「他社の売り上げを知っても仕方がない。脇が甘かったという話でしかないですよ」

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