近畿大、ウナギの完全養殖に成功 大学初 持続可能な養殖へ一歩

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近畿大は26日、ニホンウナギの完全養殖に成功したと発表した。完全養殖は、卵から育てたウナギの卵と精子を使って2世代目を人工ふ化させる技術で、水産研究・教育機構(旧水産総合研究センター)が2010年に世界で初めて成功させた。大学では初の成果という。
魚も「ハイブリッド」の時代 おいしさ追求、養殖ベンチャーの新技術 近大によると、和歌山県那智勝浦町にある水産研究所の実験場で7月5日、養殖した親ウナギから受精卵を採取し、同6日にふ化に成功。8月3、24日にもふ化を確認した。今月18日時点で計約600匹の仔魚(しぎょ)(赤ちゃん)が育っているという。

近大はこれまでクロマグロやマダイなどの養殖技術開発に取り組んできた。東京都内で記者会見した升間主計・水産研究所長は「仔魚を育てる独自技術の開発にもトライし、養殖技術全体のレベルアップに貢献したい」と語った。 一般的なウナギ養殖は、シラスウナギと呼ばれる天然の稚魚を輸入するなどして成魚に育てる。しかし、1980年代と比べてシラスウナギの漁獲量は約10分の1に減っており、資源保護が急がれている。 完全養殖の実用化に向けた課題はコストだ。水産庁によると、人工稚魚1匹を育てる費用は20年度時点で3026円。16年度時点の2万7750円から大幅に下がったが、それでも天然稚魚の市場取引価格(1匹180~600円)との差は大きく、食卓に上るまでに至っていない。 水産庁は21年、天然資源に負荷をかけない持続可能な養殖体制を目指し、50年までにニホンウナギなどの主要な養殖魚を100%人工化する目標を掲げている。【松本光樹】
近大によると、和歌山県那智勝浦町にある水産研究所の実験場で7月5日、養殖した親ウナギから受精卵を採取し、同6日にふ化に成功。8月3、24日にもふ化を確認した。今月18日時点で計約600匹の仔魚(しぎょ)(赤ちゃん)が育っているという。
近大はこれまでクロマグロやマダイなどの養殖技術開発に取り組んできた。東京都内で記者会見した升間主計・水産研究所長は「仔魚を育てる独自技術の開発にもトライし、養殖技術全体のレベルアップに貢献したい」と語った。
一般的なウナギ養殖は、シラスウナギと呼ばれる天然の稚魚を輸入するなどして成魚に育てる。しかし、1980年代と比べてシラスウナギの漁獲量は約10分の1に減っており、資源保護が急がれている。
完全養殖の実用化に向けた課題はコストだ。水産庁によると、人工稚魚1匹を育てる費用は20年度時点で3026円。16年度時点の2万7750円から大幅に下がったが、それでも天然稚魚の市場取引価格(1匹180~600円)との差は大きく、食卓に上るまでに至っていない。
水産庁は21年、天然資源に負荷をかけない持続可能な養殖体制を目指し、50年までにニホンウナギなどの主要な養殖魚を100%人工化する目標を掲げている。【松本光樹】

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