特殊詐欺や強盗などの凶悪な犯罪にまで発展し、社会問題となっているいわゆる“闇バイト”。私たちは特殊詐欺に関わった元「受け子」と元「リクルーター」の少年に少年院の中で話を聞きました。【写真を見る】闇バイトに手を染めた少年たち 少年院から語る後悔「受け子はすぐ捕まる。もって3週間」“使い捨て”の実態【news23】“闇バイト”に手を出す少年たち 少年院で実際に話を聞くと…今年5月、東京・銀座の高級時計店で起きた強盗事件。「ルフィ」を名乗る指示役による全国の強盗事件。逮捕された実行犯グループを結びつけたのは、いずれも“闇バイト”でした。特殊詐欺「受け子」だった少年「指示された場所に行くんですよ。案件が来たら、そのおばあちゃんの家に行ったりとか」
なぜ“闇バイト”に応募し、犯罪に手を染めたのか。少年院で実際に話を聞きました。新潟県長岡市にある少年院。特殊詐欺に関わった少年が集められ、再犯防止の専門プログラムを受けています。教官「誰に認められたかったんだろう?」特殊詐欺に関わった少年「周りからすごいって思われるのが認められてるのかなって思っていて、それを満たすためにお金をどんどん使っていた」教官「満たされた?」特殊詐欺に関わった少年「今思うと薄っぺらかったなって」特殊詐欺に関わった別の少年「ブランドものとか好きなもの買ったり友達におごったりして、何もない自分をお金で隠してた」プログラムの最大の目的は、自らの問題に気づかせることです。新潟少年学院山本一成法務教官「ここ最近はSNSで応募してとか、レスを返して始まったという少年が多くなっていて、乱暴なことは好まない子が増えてきてるなと」実際に“闇バイト”に手を出してしまった少年。「副業」というキーワードでSNSを探していると、犯罪とは関係なさそうな割のよい仕事を案内されました。受け子だった少年「荷物を発送して1回5000円みたいな感じだったんですけど、それを1回やってから次は『本当の仕事を説明します』って言われて」これが始まりでした。次に紹介されたのは、高齢者からお金を騙し取る詐欺の「受け子」。なぜ断れなかったのでしょうか?受け子だった少年「もう既に1回目の仕事をしてるわけじゃないですか。荷物の発送の仕事。もう君は既に詐欺に加担してるんだ。もし逃げたら、顔写真をネットにばらまくし、怖い人が家に行くよみたいな」「受け子」を集める「リクルーター」だった少年にも話を聞きました。リクルーターだった少年「やっぱり受け子すぐ捕まっちゃう。本当にもって3週間とかぐらいなんで、その間でどんどん見つけないとお金が入ってこなくなっちゃう。早い人だと2日目とかで捕まっちゃったりとか」その言葉からは「受け子」を「使い捨て」として集めるため、“闇バイト”を使っていた実態が浮かび上がります。リクルーターだった少年「使える手段は全部使って探してました。ツイッターの闇バイトとか、結構投稿したら反応があったりとかしたんで。自分が紹介しなかったら生まれていなかった被害者の方とかもいるでしょうし、本当にそういうところも軽く考えてしまっていたなと思います」罪の意識薄く「指示に従っただけ」小川彩佳キャスター:少年たちの取材をして、接した印象はどんなものでしたか。TBS社会部長谷川美波記者:少年たちは表情や話し方にも幼さが残っていて、どこにでもいるような若者に見えました。受け子の少年は犯行中も罪悪感を抱えていて、ターゲットのおばあさんと話すときに目を合わせるのがつらかったと話していました。藤森祥平キャスター:どこにでもいるような少年たちがなぜこういう犯罪に手を染めてしまうのか。法務省が全国の少年院に行った調査の「特殊詐欺に関わったきっかけ」で、▼「暴力団・不良集団の勧誘」が22%、▼「インターネットやSNSでの募集」が32%、最も多いのは「友人や知人の勧誘」で39%。SNSの急速な広がりだけではなく、知り合いからの誘いだというんですね。トラウデン直美さん:知り合いだったり、暴力団・不良集団の勧誘だったりすると脅されてなかなかやめられない、なんかやってしまうっていうこともあるのかもしれないですけど、でも犯罪ですから、“闇バイト”ってちょっと軽く聞こえてしまってるかもしれないですけど、犯罪は犯罪ですから、手を出してしまった後のリスクと、今、脅されているリスクを天秤にかけてすぐに人に相談するっていうのがやっぱり大きいのかなと思います。小川キャスター:知人からの勧誘というのはもっとカジュアルなものになってしまってるということなんでしょう。長谷川記者:“闇バイト”に関わる少年たちの特徴としては、罪の意識が薄いということです。被害者と一瞬しか会わなかったり、あるいは全く会っていないという状況が多いので、自分はあくまでも指示に従っただけだというふうに考える少年が多くいるそうです。そのため、少年院では罪の重さを考えさせるプログラムに重きを置いています。小川キャスター:罪の意識を感じられず手を染めてしまう人が多いということですけれども。東京都立大学木村草太教授:まず構図を見てると、これまでもあったのが、ねずみ講とかマルチ商法に非常によく似てるなと思いますね。末端の被害者が加害者にさせられていくということで、やはり簡単なお仕事で5000円、何万円ももらえないという、基本的なことをまず理解する必要があると思います。それから罪の意識が軽くても、刑罰というのは罪の意識ではなくて、やったことの重大さに対して課されるものですから、罪の意識がなくても、軽くても、罰が軽くなるということはないわけですよね。ですから、罰を受けながら、自分がいかに重大なことをしたのかっていうことを考えて、再犯に繋がらないようにするっていうふうになっていってほしいと思います。小川キャスター:実際の罪というのは。長谷川記者:捜査関係者は“闇バイト”の実行犯について、たとえ誰かに使われてしまったとしても、その先には被害者がいるわけなので、末端の実行役にも厳しくしていくとしています。5月に東京・銀座で起きた、仮面をつけた男らによる強盗事件では、18歳の男に懲役4年6か月の実刑判決が言い渡されています。小川キャスター:末端であっても、これはかなり厳しく罰せられるということなんですね。木村教授:やはり刑罰というのは、意識が弱かったということは、むしろ刑罰の側面からすると、また繰り返すかもしれない、反省が弱いというふうにも評価されてしまうということもあるわけですよね。また、刑罰よりその人が更生するきっかけを与えるという側面もありますので、この期間の中で、悪質な人間関係から断たれるとか、職業訓練を適切にしていくといったような訓練をしていってほしいと思います。トラウデンさん:更生に向けての期間でもあるとは言いますけど、その後の人生に与える影響は大きいと思うので、こういった少年たちは、若い人は特にですけど、孤立していたり生活に困っていたりっていうことが多いんでしょうか?長谷川記者:話を聞いた少年たちはそういう少年が多かったと感じます、まずは怪しいと思ったら応募しないということが大事なんですが、巻き込まれてしまった場合も早く離脱するということが大事です。誰かに脅されていて困っているという場合も、その対処方法も含めて警察署や相談センターに相談するように警察当局は呼びかけています。トラウデンさん:孤立しないっていうのが大事になりそうですよね。小川キャスター:そうですね。そして、こうした犯罪だったり事件というのは、とにかくその社会の歪みというのが凝縮された形で出てきてしまう社会的な背景、若者の貧困なども見ていかなければならないと思います。
特殊詐欺や強盗などの凶悪な犯罪にまで発展し、社会問題となっているいわゆる“闇バイト”。私たちは特殊詐欺に関わった元「受け子」と元「リクルーター」の少年に少年院の中で話を聞きました。
【写真を見る】闇バイトに手を染めた少年たち 少年院から語る後悔「受け子はすぐ捕まる。もって3週間」“使い捨て”の実態【news23】“闇バイト”に手を出す少年たち 少年院で実際に話を聞くと…今年5月、東京・銀座の高級時計店で起きた強盗事件。「ルフィ」を名乗る指示役による全国の強盗事件。逮捕された実行犯グループを結びつけたのは、いずれも“闇バイト”でした。特殊詐欺「受け子」だった少年「指示された場所に行くんですよ。案件が来たら、そのおばあちゃんの家に行ったりとか」
なぜ“闇バイト”に応募し、犯罪に手を染めたのか。少年院で実際に話を聞きました。新潟県長岡市にある少年院。特殊詐欺に関わった少年が集められ、再犯防止の専門プログラムを受けています。教官「誰に認められたかったんだろう?」特殊詐欺に関わった少年「周りからすごいって思われるのが認められてるのかなって思っていて、それを満たすためにお金をどんどん使っていた」教官「満たされた?」特殊詐欺に関わった少年「今思うと薄っぺらかったなって」特殊詐欺に関わった別の少年「ブランドものとか好きなもの買ったり友達におごったりして、何もない自分をお金で隠してた」プログラムの最大の目的は、自らの問題に気づかせることです。新潟少年学院山本一成法務教官「ここ最近はSNSで応募してとか、レスを返して始まったという少年が多くなっていて、乱暴なことは好まない子が増えてきてるなと」実際に“闇バイト”に手を出してしまった少年。「副業」というキーワードでSNSを探していると、犯罪とは関係なさそうな割のよい仕事を案内されました。受け子だった少年「荷物を発送して1回5000円みたいな感じだったんですけど、それを1回やってから次は『本当の仕事を説明します』って言われて」これが始まりでした。次に紹介されたのは、高齢者からお金を騙し取る詐欺の「受け子」。なぜ断れなかったのでしょうか?受け子だった少年「もう既に1回目の仕事をしてるわけじゃないですか。荷物の発送の仕事。もう君は既に詐欺に加担してるんだ。もし逃げたら、顔写真をネットにばらまくし、怖い人が家に行くよみたいな」「受け子」を集める「リクルーター」だった少年にも話を聞きました。リクルーターだった少年「やっぱり受け子すぐ捕まっちゃう。本当にもって3週間とかぐらいなんで、その間でどんどん見つけないとお金が入ってこなくなっちゃう。早い人だと2日目とかで捕まっちゃったりとか」その言葉からは「受け子」を「使い捨て」として集めるため、“闇バイト”を使っていた実態が浮かび上がります。リクルーターだった少年「使える手段は全部使って探してました。ツイッターの闇バイトとか、結構投稿したら反応があったりとかしたんで。自分が紹介しなかったら生まれていなかった被害者の方とかもいるでしょうし、本当にそういうところも軽く考えてしまっていたなと思います」罪の意識薄く「指示に従っただけ」小川彩佳キャスター:少年たちの取材をして、接した印象はどんなものでしたか。TBS社会部長谷川美波記者:少年たちは表情や話し方にも幼さが残っていて、どこにでもいるような若者に見えました。受け子の少年は犯行中も罪悪感を抱えていて、ターゲットのおばあさんと話すときに目を合わせるのがつらかったと話していました。藤森祥平キャスター:どこにでもいるような少年たちがなぜこういう犯罪に手を染めてしまうのか。法務省が全国の少年院に行った調査の「特殊詐欺に関わったきっかけ」で、▼「暴力団・不良集団の勧誘」が22%、▼「インターネットやSNSでの募集」が32%、最も多いのは「友人や知人の勧誘」で39%。SNSの急速な広がりだけではなく、知り合いからの誘いだというんですね。トラウデン直美さん:知り合いだったり、暴力団・不良集団の勧誘だったりすると脅されてなかなかやめられない、なんかやってしまうっていうこともあるのかもしれないですけど、でも犯罪ですから、“闇バイト”ってちょっと軽く聞こえてしまってるかもしれないですけど、犯罪は犯罪ですから、手を出してしまった後のリスクと、今、脅されているリスクを天秤にかけてすぐに人に相談するっていうのがやっぱり大きいのかなと思います。小川キャスター:知人からの勧誘というのはもっとカジュアルなものになってしまってるということなんでしょう。長谷川記者:“闇バイト”に関わる少年たちの特徴としては、罪の意識が薄いということです。被害者と一瞬しか会わなかったり、あるいは全く会っていないという状況が多いので、自分はあくまでも指示に従っただけだというふうに考える少年が多くいるそうです。そのため、少年院では罪の重さを考えさせるプログラムに重きを置いています。小川キャスター:罪の意識を感じられず手を染めてしまう人が多いということですけれども。東京都立大学木村草太教授:まず構図を見てると、これまでもあったのが、ねずみ講とかマルチ商法に非常によく似てるなと思いますね。末端の被害者が加害者にさせられていくということで、やはり簡単なお仕事で5000円、何万円ももらえないという、基本的なことをまず理解する必要があると思います。それから罪の意識が軽くても、刑罰というのは罪の意識ではなくて、やったことの重大さに対して課されるものですから、罪の意識がなくても、軽くても、罰が軽くなるということはないわけですよね。ですから、罰を受けながら、自分がいかに重大なことをしたのかっていうことを考えて、再犯に繋がらないようにするっていうふうになっていってほしいと思います。小川キャスター:実際の罪というのは。長谷川記者:捜査関係者は“闇バイト”の実行犯について、たとえ誰かに使われてしまったとしても、その先には被害者がいるわけなので、末端の実行役にも厳しくしていくとしています。5月に東京・銀座で起きた、仮面をつけた男らによる強盗事件では、18歳の男に懲役4年6か月の実刑判決が言い渡されています。小川キャスター:末端であっても、これはかなり厳しく罰せられるということなんですね。木村教授:やはり刑罰というのは、意識が弱かったということは、むしろ刑罰の側面からすると、また繰り返すかもしれない、反省が弱いというふうにも評価されてしまうということもあるわけですよね。また、刑罰よりその人が更生するきっかけを与えるという側面もありますので、この期間の中で、悪質な人間関係から断たれるとか、職業訓練を適切にしていくといったような訓練をしていってほしいと思います。トラウデンさん:更生に向けての期間でもあるとは言いますけど、その後の人生に与える影響は大きいと思うので、こういった少年たちは、若い人は特にですけど、孤立していたり生活に困っていたりっていうことが多いんでしょうか?長谷川記者:話を聞いた少年たちはそういう少年が多かったと感じます、まずは怪しいと思ったら応募しないということが大事なんですが、巻き込まれてしまった場合も早く離脱するということが大事です。誰かに脅されていて困っているという場合も、その対処方法も含めて警察署や相談センターに相談するように警察当局は呼びかけています。トラウデンさん:孤立しないっていうのが大事になりそうですよね。小川キャスター:そうですね。そして、こうした犯罪だったり事件というのは、とにかくその社会の歪みというのが凝縮された形で出てきてしまう社会的な背景、若者の貧困なども見ていかなければならないと思います。
今年5月、東京・銀座の高級時計店で起きた強盗事件。
「ルフィ」を名乗る指示役による全国の強盗事件。
逮捕された実行犯グループを結びつけたのは、いずれも“闇バイト”でした。
特殊詐欺「受け子」だった少年「指示された場所に行くんですよ。案件が来たら、そのおばあちゃんの家に行ったりとか」
なぜ“闇バイト”に応募し、犯罪に手を染めたのか。少年院で実際に話を聞きました。
新潟県長岡市にある少年院。特殊詐欺に関わった少年が集められ、再犯防止の専門プログラムを受けています。
教官「誰に認められたかったんだろう?」
特殊詐欺に関わった少年「周りからすごいって思われるのが認められてるのかなって思っていて、それを満たすためにお金をどんどん使っていた」
教官「満たされた?」
特殊詐欺に関わった少年「今思うと薄っぺらかったなって」
特殊詐欺に関わった別の少年「ブランドものとか好きなもの買ったり友達におごったりして、何もない自分をお金で隠してた」
プログラムの最大の目的は、自らの問題に気づかせることです。
新潟少年学院山本一成法務教官「ここ最近はSNSで応募してとか、レスを返して始まったという少年が多くなっていて、乱暴なことは好まない子が増えてきてるなと」
実際に“闇バイト”に手を出してしまった少年。「副業」というキーワードでSNSを探していると、犯罪とは関係なさそうな割のよい仕事を案内されました。
受け子だった少年「荷物を発送して1回5000円みたいな感じだったんですけど、それを1回やってから次は『本当の仕事を説明します』って言われて」
これが始まりでした。次に紹介されたのは、高齢者からお金を騙し取る詐欺の「受け子」。
なぜ断れなかったのでしょうか?
受け子だった少年「もう既に1回目の仕事をしてるわけじゃないですか。荷物の発送の仕事。もう君は既に詐欺に加担してるんだ。もし逃げたら、顔写真をネットにばらまくし、怖い人が家に行くよみたいな」
「受け子」を集める「リクルーター」だった少年にも話を聞きました。
リクルーターだった少年「やっぱり受け子すぐ捕まっちゃう。本当にもって3週間とかぐらいなんで、その間でどんどん見つけないとお金が入ってこなくなっちゃう。早い人だと2日目とかで捕まっちゃったりとか」
その言葉からは「受け子」を「使い捨て」として集めるため、“闇バイト”を使っていた実態が浮かび上がります。
リクルーターだった少年「使える手段は全部使って探してました。ツイッターの闇バイトとか、結構投稿したら反応があったりとかしたんで。自分が紹介しなかったら生まれていなかった被害者の方とかもいるでしょうし、本当にそういうところも軽く考えてしまっていたなと思います」
小川彩佳キャスター:少年たちの取材をして、接した印象はどんなものでしたか。
TBS社会部長谷川美波記者:少年たちは表情や話し方にも幼さが残っていて、どこにでもいるような若者に見えました。受け子の少年は犯行中も罪悪感を抱えていて、ターゲットのおばあさんと話すときに目を合わせるのがつらかったと話していました。
藤森祥平キャスター:どこにでもいるような少年たちがなぜこういう犯罪に手を染めてしまうのか。
法務省が全国の少年院に行った調査の「特殊詐欺に関わったきっかけ」で、▼「暴力団・不良集団の勧誘」が22%、▼「インターネットやSNSでの募集」が32%、最も多いのは「友人や知人の勧誘」で39%。SNSの急速な広がりだけではなく、知り合いからの誘いだというんですね。
トラウデン直美さん:知り合いだったり、暴力団・不良集団の勧誘だったりすると脅されてなかなかやめられない、なんかやってしまうっていうこともあるのかもしれないですけど、でも犯罪ですから、“闇バイト”ってちょっと軽く聞こえてしまってるかもしれないですけど、犯罪は犯罪ですから、手を出してしまった後のリスクと、今、脅されているリスクを天秤にかけてすぐに人に相談するっていうのがやっぱり大きいのかなと思います。
小川キャスター:知人からの勧誘というのはもっとカジュアルなものになってしまってるということなんでしょう。
長谷川記者:“闇バイト”に関わる少年たちの特徴としては、罪の意識が薄いということです。被害者と一瞬しか会わなかったり、あるいは全く会っていないという状況が多いので、自分はあくまでも指示に従っただけだというふうに考える少年が多くいるそうです。そのため、少年院では罪の重さを考えさせるプログラムに重きを置いています。
小川キャスター:罪の意識を感じられず手を染めてしまう人が多いということですけれども。
東京都立大学木村草太教授:まず構図を見てると、これまでもあったのが、ねずみ講とかマルチ商法に非常によく似てるなと思いますね。末端の被害者が加害者にさせられていくということで、やはり簡単なお仕事で5000円、何万円ももらえないという、基本的なことをまず理解する必要があると思います。
それから罪の意識が軽くても、刑罰というのは罪の意識ではなくて、やったことの重大さに対して課されるものですから、罪の意識がなくても、軽くても、罰が軽くなるということはないわけですよね。ですから、罰を受けながら、自分がいかに重大なことをしたのかっていうことを考えて、再犯に繋がらないようにするっていうふうになっていってほしいと思います。
小川キャスター:実際の罪というのは。
長谷川記者:捜査関係者は“闇バイト”の実行犯について、たとえ誰かに使われてしまったとしても、その先には被害者がいるわけなので、末端の実行役にも厳しくしていくとしています。
5月に東京・銀座で起きた、仮面をつけた男らによる強盗事件では、18歳の男に懲役4年6か月の実刑判決が言い渡されています。
小川キャスター:末端であっても、これはかなり厳しく罰せられるということなんですね。
木村教授:やはり刑罰というのは、意識が弱かったということは、むしろ刑罰の側面からすると、また繰り返すかもしれない、反省が弱いというふうにも評価されてしまうということもあるわけですよね。また、刑罰よりその人が更生するきっかけを与えるという側面もありますので、この期間の中で、悪質な人間関係から断たれるとか、職業訓練を適切にしていくといったような訓練をしていってほしいと思います。
トラウデンさん:更生に向けての期間でもあるとは言いますけど、その後の人生に与える影響は大きいと思うので、こういった少年たちは、若い人は特にですけど、孤立していたり生活に困っていたりっていうことが多いんでしょうか?
長谷川記者:話を聞いた少年たちはそういう少年が多かったと感じます、まずは怪しいと思ったら応募しないということが大事なんですが、巻き込まれてしまった場合も早く離脱するということが大事です。誰かに脅されていて困っているという場合も、その対処方法も含めて警察署や相談センターに相談するように警察当局は呼びかけています。
トラウデンさん:孤立しないっていうのが大事になりそうですよね。