収賄疑惑の秋本真利議員は「議員特権」で中山競馬場の「VIPルーム」を利用していた 「10人くらいで行った」と支援者が証言

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洋上風力発電事業を巡り、風力発電会社の社長から約3000万円の不透明な資金を受け取った疑惑が持ち上がっている前外務政務官の秋本真利衆院議員(48)が、日本中央競馬会(JRA)が運営する競馬場内のVIPルーム(貴賓室・来賓室)を支援者らと無料で利用していたことがわかった。JRAの便宜で、他の国会議員もVIPルームを利用している可能性が浮かび上がってきた。
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【写真を見る】3年前、東京新聞から出版した著書『自民党発! 「原発のない国へ」』を手に持って笑顔で写真に収まる秋本真利衆院議員。河野太郎デジタル相とのツーショットも国会議員は無料で使えるんですよ 東京地検特捜部は、秋本氏が受け取った約3000万円が、「再エネ海域利用法」に基づく政府の洋上風力発電事業で、電力関連会社「日本風力開発」に有利な国会質問をしたことへの見返りだったと見ている。逮捕間近と言われている秋本真利衆院議員「競走馬好きで知られる秋本氏は、一昨年秋に、日本風力開発の塚脇正幸社長と共同で馬主組合を設立。組合で馬を購入する費用などの名目で約3千万円を社長から受け取っていた」(司法記者) 秋本氏は現在4期目だが、国会議員になったばかりの頃から、“議員バッジ”を利用して趣味の競馬にのめり込んでいたようだ。千葉県で会社を経営している男性は、10年くらい前、地元の選出議員である秋本氏からこんな誘いを受けた。「競馬場のVIPルームって国会議員は無料で使えるんですよ。今度、一緒に行ってみませんか」 男性が振り返る。「秋本さんが2012年に自民党公認で千葉9区に立候補し、初当選を果たしてから1~2年以内の出来事だったと思う。私自身は競馬を全くやらないのですが、折角の機会だからと思って、友人数人に声をかけて、10人くらいで中山競馬場に行きました。有馬記念とかそんなに大きなレースではなかったが、重賞レースの開催日だった」VIP客専用の馬券売り場もあった VIPルームは、スタンドの上階にあって、ガラス張りの眺めのいい部屋だったと振り返る。ネット情報などをみる限り、男性が利用したのは「来賓室」と呼ばれている部屋のようだ。「いくつもテーブルがある広々とした空間で、お茶を出ししてくれる女性もいました。ベランダに出ると外からも観戦できます。部屋の近くには、VIP客専用の馬券売り場もあって便利だった。食事は紙に書いて注文する形で、最後に参加者全員で割り勘しました」(同) 昼くらいから最終レースまでギャンブルを楽しんだという。秋本氏がどんな馬券の買い方をしていたかは、「全く見ていないのでわからない」と話す。「その頃は彼がそこまで競馬にのめり込んでいるとは知りませんでしたしね。みんなの前で競馬の知識をひけらかすようなこともなかった。ハッキリ覚えているのは、その日、勝ったのは私だったこと。二次会は焼肉屋に行きましたが、私がご馳走させていただきました」(同) 男性はその後も秋本氏から誘われ、もう一度、VIPルームを利用したことがあるという。人混みのない眺望のいい空間で優雅に競馬観戦とはなんとも羨ましい限りだが、国会議員にそんな“特権”があるとは聞いたことがない話だ。廊下に出ると、他の国会議員もいた しかも、男性は「廊下に出ると、テレビで見たことがある国会議員2、3人と出くわした」と明かすのだ。 いったいどういう仕組みになっているのか。JRAに取材を申し込んだところ、書面で回答が届いた。質問 JRAが運営する競馬場内の貴賓室・来賓室を秋本氏がどのくらい利用していたか、どういう理由で申請され、許可されたのか教えてください。《来賓の方のご来場の履歴をお答えすることは出来ません》質問 国会議員による貴賓室・来賓室の利用実態を教えてください。年間に何人、何件の利用がありますか。国会議員が利用する場合のルールも教えてください。地方議員でもそのような利用があるならば、同様に教えてください。《来賓席の利用については、マスコミ関係者やイベントの協賛企業関係者のほか、政財界や競馬場所在地の地元関係者など、中央競馬の健全な発展と社会的地位の向上を図るために競馬開催や運営について理解と協力を求めることが必要と本会が判断した方々について、対応可能かつ適切な範囲で利用していただいています。また、来賓の方のご来場の履歴をお答えすることは出来ません》質問をはぐらかすJRA 何を聞いてもこんな感じで、正面から質問に答えようとしないのだ。「使用料がかかるのか」という質問に対しては、《国会議員に限らず、来賓席利用者から席料は徴収しておりません》。「エリア内でどのようなサービスを受けられるのか」という問いには、《有料で飲食が可能となっています》とだけ回答した。 問題なのは、秋本氏の利用が「視察」などの仕事ではないことだ。しかも、彼は一般客が入れないVIPルームに支援者を招き、特別なサービスを受けさせていた。有権者への利益供与とも受け止められかねない行為だが、それについて聞いても、〈お答えする立場にありません〉 JRAを監督する農林水産省にも聞いたが、「競馬法5条と省令で、国会議員に対しては競馬場の入場料は無料となっておりますが、貴賓室・来賓室の利用実態については把握していないのでお答えできません」 秋本氏にもファクスで質問状を送ったが期限までに回答はなかった。 神戸学院大学法学部の上脇博之教授は、JRAの回答にこう疑問を呈す。「JRAと国会議員との癒着を疑われかねない話であり、国会議員の招待についてどのようなルールがあるのか、JRAは説明責任を果たすべきです。議員特権で来賓室を利用していたならば、国会議員にも説明責任が生じます」 JRAが国民の知らないところでこっそり、貴族の社交場のようなサービスを国会議員に提供し、さらに議員が好き放題、利用している実態があるならば、許し難い話である。デイリー新潮編集部
東京地検特捜部は、秋本氏が受け取った約3000万円が、「再エネ海域利用法」に基づく政府の洋上風力発電事業で、電力関連会社「日本風力開発」に有利な国会質問をしたことへの見返りだったと見ている。
「競走馬好きで知られる秋本氏は、一昨年秋に、日本風力開発の塚脇正幸社長と共同で馬主組合を設立。組合で馬を購入する費用などの名目で約3千万円を社長から受け取っていた」(司法記者)
秋本氏は現在4期目だが、国会議員になったばかりの頃から、“議員バッジ”を利用して趣味の競馬にのめり込んでいたようだ。千葉県で会社を経営している男性は、10年くらい前、地元の選出議員である秋本氏からこんな誘いを受けた。
「競馬場のVIPルームって国会議員は無料で使えるんですよ。今度、一緒に行ってみませんか」
男性が振り返る。
「秋本さんが2012年に自民党公認で千葉9区に立候補し、初当選を果たしてから1~2年以内の出来事だったと思う。私自身は競馬を全くやらないのですが、折角の機会だからと思って、友人数人に声をかけて、10人くらいで中山競馬場に行きました。有馬記念とかそんなに大きなレースではなかったが、重賞レースの開催日だった」
VIPルームは、スタンドの上階にあって、ガラス張りの眺めのいい部屋だったと振り返る。ネット情報などをみる限り、男性が利用したのは「来賓室」と呼ばれている部屋のようだ。
「いくつもテーブルがある広々とした空間で、お茶を出ししてくれる女性もいました。ベランダに出ると外からも観戦できます。部屋の近くには、VIP客専用の馬券売り場もあって便利だった。食事は紙に書いて注文する形で、最後に参加者全員で割り勘しました」(同)
昼くらいから最終レースまでギャンブルを楽しんだという。秋本氏がどんな馬券の買い方をしていたかは、「全く見ていないのでわからない」と話す。
「その頃は彼がそこまで競馬にのめり込んでいるとは知りませんでしたしね。みんなの前で競馬の知識をひけらかすようなこともなかった。ハッキリ覚えているのは、その日、勝ったのは私だったこと。二次会は焼肉屋に行きましたが、私がご馳走させていただきました」(同)
男性はその後も秋本氏から誘われ、もう一度、VIPルームを利用したことがあるという。人混みのない眺望のいい空間で優雅に競馬観戦とはなんとも羨ましい限りだが、国会議員にそんな“特権”があるとは聞いたことがない話だ。
しかも、男性は「廊下に出ると、テレビで見たことがある国会議員2、3人と出くわした」と明かすのだ。
いったいどういう仕組みになっているのか。JRAに取材を申し込んだところ、書面で回答が届いた。
質問 JRAが運営する競馬場内の貴賓室・来賓室を秋本氏がどのくらい利用していたか、どういう理由で申請され、許可されたのか教えてください。
《来賓の方のご来場の履歴をお答えすることは出来ません》
質問 国会議員による貴賓室・来賓室の利用実態を教えてください。年間に何人、何件の利用がありますか。国会議員が利用する場合のルールも教えてください。地方議員でもそのような利用があるならば、同様に教えてください。
《来賓席の利用については、マスコミ関係者やイベントの協賛企業関係者のほか、政財界や競馬場所在地の地元関係者など、中央競馬の健全な発展と社会的地位の向上を図るために競馬開催や運営について理解と協力を求めることが必要と本会が判断した方々について、対応可能かつ適切な範囲で利用していただいています。また、来賓の方のご来場の履歴をお答えすることは出来ません》
何を聞いてもこんな感じで、正面から質問に答えようとしないのだ。「使用料がかかるのか」という質問に対しては、《国会議員に限らず、来賓席利用者から席料は徴収しておりません》。「エリア内でどのようなサービスを受けられるのか」という問いには、《有料で飲食が可能となっています》とだけ回答した。
問題なのは、秋本氏の利用が「視察」などの仕事ではないことだ。しかも、彼は一般客が入れないVIPルームに支援者を招き、特別なサービスを受けさせていた。有権者への利益供与とも受け止められかねない行為だが、それについて聞いても、
〈お答えする立場にありません〉
JRAを監督する農林水産省にも聞いたが、
「競馬法5条と省令で、国会議員に対しては競馬場の入場料は無料となっておりますが、貴賓室・来賓室の利用実態については把握していないのでお答えできません」
秋本氏にもファクスで質問状を送ったが期限までに回答はなかった。
神戸学院大学法学部の上脇博之教授は、JRAの回答にこう疑問を呈す。
「JRAと国会議員との癒着を疑われかねない話であり、国会議員の招待についてどのようなルールがあるのか、JRAは説明責任を果たすべきです。議員特権で来賓室を利用していたならば、国会議員にも説明責任が生じます」
JRAが国民の知らないところでこっそり、貴族の社交場のようなサービスを国会議員に提供し、さらに議員が好き放題、利用している実態があるならば、許し難い話である。
デイリー新潮編集部

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