強制不妊訴訟、夫婦の請求棄却…大阪地裁

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旧優生保護法に基づく不妊手術を強制されたとして、大阪府内に住む70歳代の聴覚障害の夫婦が国に計2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は22日、原告の請求を棄却した。
全国9地裁・支部に起こされた一連の訴訟で、不法行為から20年の経過で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用を認めず、国に賠償を命じた2~3月の大阪、東京両高裁判決後初めての地裁判決で、判断が注目されていた。
訴状によると、夫婦は1974年、福井県の病院で長男を出産したが、3日後に妻は理由を告げられることなく、病院で不妊手術を受けさせられた。夫婦は「家族形成の自由を侵害され、身体的・精神的苦痛を受けた」として、2019年12月に提訴した。
訴訟では、▽旧法の違憲性▽除斥期間を適用するか――が主な争点だった。原告側は旧法は幸福追求権を保障する憲法13条や、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると主張。「除斥期間を理由に、国が障害者に対する前代未聞の人権侵害の責任を免れるのは著しく正義、公平に反する」として適用しないよう求めていた。
一方、国側は旧法の違憲性は具体的に主張せず、「手術から提訴までに20年が経過している」と除斥期間の成立を訴えていた。

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