「営業成績を譲るのは礼儀」…ビッグモーター元社員が語る「最悪の労働環境」の実態

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中古車販売の大手ビッグモーターによる保険金不正請求の横行で、25日に創業者の兼重宏行社長らが会見、辞任を表明。顧客から預かった車を傷つけて修理代を水増し、損保会社に保険金を不正請求していたというのは、サービスの信頼が根底から崩壊する大問題だが、そもそも、この企業がかなりのブラック企業だという証言も続々と浮上している。
首都圏のある店舗に約2年ほど営業職で勤めた男性Aさんは、「ブラック企業を絵にかいたような会社です。幹部や上司とか長くいる人に社会常識が通用しないし、罪悪感がまったく感じられないんです。入社時から退職時まで異常でした」と言っている。
「求人サイトから応募したとき、最高年収4千万円、入社2年目で2千万円以上稼いだ人もいて、9割の社員が年収650万以上とか書かれていました。仕事は『100%反響営業』で、ネット問い合わせの客のみ対応する、とあったんですが、働いてみると厳しい販売ノルマがあって、研修終わった直後からいきなり店長が『ネット客を待ってるだけじゃ達成できんぞ!』って。話がまったく違うじゃん、と。
Photo by iStock
『年末年始の休暇アリ』とかも書いてあったのに、翌年最初の元旦から勤務させられましたし、ほとんど毎日が残業4時間で12時間勤務になっているのに、月42時間は見なし残業といって給料に5万円追加されてるだけ。時給にしたら1200円ぐらいにしかならない。結局、手取りで平均36万円ぐらいでしたから年収500万円にも満たなかったです。同期や年が近い同僚も650万円を超えた人なんてひとりいたかどうかぐらいでした」
Aさんは「まさにブラック企業」と感じて退職を決意したが、それを伝えた上司の店長にはこう言われたという。
「ウチでは半年前に言うのが常識、最低でも4ヵ月前じゃないと店に迷惑をかけて辞めることになる」
仕方なく4ヵ月後に辞めることにしたAさんだったが、その日から店長に事あるごとに「コイツもう辞めるから手を抜いている」と言われるようになったという。さらに「退職する人の礼儀」などという理由で、Aさんの成績を他の社員の成績にされ、給与が減らされたという。
「文句を言いたかったですが、言えばパワハラがひどくなるだけだと思い、我慢しました。先輩社員は『試練を耐えたほうが上に行く近道だから』などと言っていましたが、気持ちは変わりませんでした。会社から退職届の書類が届いてから辞めるということだったんですが、その書類が届かず、何度もお願いしているうちに結局1ヵ月多い、5ヵ月間、働くことになってしまいました」
そして、さらに予想もしない展開がAさんを待っていた。
【後編】『退職直前に“地方転勤”を言い渡され…ビッグモーター元社員が独白「黒すぎる企業の実態」』で詳しく解説する。

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