もう無理でしょう…大阪市幹部が語った「万博1年延期」の現実味と総選挙・参院選が迫る吉村知事の心中

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大阪・関西万博の会場となる人工島・夢洲を訪れると、トラックが砂煙をあげて走り回っている。あちこちで重機が音を立てながら、2025年4月の開催に向け、急ピッチで工事が進んでいる。だが、それは見た目だけのもののようだ。
「ここで万博をやって大丈夫なのかと思いながら工事をしています。少しでもまとまった雨が降れば、長靴がずぼっと沈んでしまうほどの軟弱基盤で、地震や津波が来れば来場者も働く人も想定外のことになりかねない」
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こう語るのは現場の責任者の一人だ。産廃やごみ処分のための埋め立ての「後始末」として、夢洲は使われている。
「工事が佳境になっても、アクセスは夢舞大橋だけですし、大型車両で渋滞するのは必至です。また建設には電力供給が不十分で、このまま万博開催をしてしまえば真夏にはエアコンが利かなくなりそうですね」(同)
そもそもパビリオンの入札も不調が続く。
「複雑なデザインでコストが高くなるのに低予算ですから、資材高騰の現在ではとてもビジネスにならない。’25年の4月に開幕するなら突貫工事になりますが、時間外労働の規制強化で人手はいない。私どもも手がけるメリットがほとんどない」(大手ゼネコン幹部)
海外からのパビリオンにいたっては建設申請すらゼロとなった。そこで万博協会が建設を代行する案を各国に打診したが、費用負担については不明瞭で、前途は暗い。
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「すでに1年延期論は府市の幹部のなかでも公然と囁かれています」
と語るのは大阪市幹部のひとりだ。
「工事遅れもアクセスの問題も、突貫では解決できない。五輪と違いアスリートがいるわけでもないし、ドバイ博も1年延期された。半年だと開催が冬になってしまうので、1年延期がいい。総選挙と再来年の参院選を控える吉村知事は、どうしても延期は避けたいと憔悴している様子ですが、もう無理でしょう」(同)
予定通りの開催を訴えてきた吉村知事だが、ここにきて’29年のIR開業については延期を打ち出した。万博も延期発表がカウントダウンとなるか。
「週刊現代」2023年7月29日・8月5日合併号より

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