「離婚しないなら赤ちゃんと奥さんを殺す」“帯広W不倫・女性教諭殺害”被告が訴えた不倫相手からの「666回の着信」と「700万円の手切れ金」

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《帯広殺人事件》「関係に疲れてしまった」泥沼W不倫の加害エリート教師に“女性のウワサ”が絶えなかったワケ「彼の結婚相手は別の女性かと…」 から続く
北海道・帯広市で昨年5月に発生した「高校教師“W不倫”殺人事件」。
【画像】W不倫の果てに片桐被告に殺害されてしまった宮田麻子さん。生徒から慕われていたという
当時、記者が現地入りして取材を進めると、加害者の片桐朱璃被告(36)と被害者の宮田麻子さん(当時47)の双方が、周囲から高い評価を得る人気教師だったことがわかった。2人を知る人物は「不倫なんて絶対にない」「生徒から慕われていた」と断言していた。一方で、なぜこのような悲劇が起きてしまったのか、その全体像は見えないままだった。
事件から1年以上を経た、2023年7月11日、釧路地裁で片桐被告の裁判員裁判が始まった。そこで明かされたのは、想像を超える2人の“事情”だった――。
写真はイメージ AFLO
◆◆◆
北海道内の事件担当記者が解説する。
「片桐被告は昨年5月30日午前4時40分ごろ、帯広市内のパチンコ店の駐車場に停めた車内の後部座席で、シートベルトで宮田さんの首を締め殺害したとして起訴されました。被告は宮田さんの遺体を市内の雑木林に運んで、穴を掘って埋めた死体遺棄罪にも問われています。
片桐被告は事件発生当時『別れ話でもめてしまい(宮田さんとの)関係に疲れてしまった』と供述していました。11日の初公判では、事実関係を認めた上で『(殺害について)相手の同意があったと認識しています』と、量刑の軽くなる同意殺人だったと主張。さらに弁護側は『犯行に追い込まれたのは被害者の言動にある』と訴えたのです」
手切れ金300万円払っても関係は解消されず そのため、裁判では、片桐被告側が明らかにした“生前の宮田さんの言動”に注目が集まった。片桐被告側の主張は以下の通りだ。 片桐被告と宮田さんは2016年に北見市の同じ学校で勤務する同僚となった。2人は既婚者だった。「法廷で明かされた弁護側の話では、2018年から宮田さんに誘われて不倫関係が始まりました。翌2019年には被告の方から関係解消を望みましたが、宮田さんはヒステリーになり受け入れなかった。さらに『別れたいなら被告の全財産である700万円を払え』と要求されていたと。被告はそのうち300万円を支払ったのですが、関係は解消されなかった。宮田さんがそれほどまで強く片桐被告に固執していたと主張したのです」(前出・事件担当記者) 記者が事件発生当時、片桐被告について取材すると、「生徒との距離感が近く親しみやすい先生」「厳しい野球部の監督に怒られて落ち込んでいる生徒をケアしてくれる」「幼少期から男女問わず人気者」と優しい人柄で女性にもモテていたという。そのような被告に宮田さんが“執着した”というのが、弁護側の主張だ。全財産を渡しても止まらない“オニ電” 2022年4月、片桐被告は帯広市の高校に異動となり、2人は日常的に顔をあわせる間柄ではなくなった。片桐被告は異動のタイミングで赴任先の近くに引っ越したが、宮田さんには新住所を教えなかった。前年に妻との間に子供が生まれており、被告はこのタイミングで宮田さんとの関係を清算しようとしたのだという。「しかし、新学期早々の4月3日の1日だけで宮田さんから被告の携帯に666回もの着信があったと。さらに宮田さんは別の高校職員にも電話して被告の様子を探ろうとしていたといいます。 さらに別の日には宮田さんは電話で被告に『押しかけられるのが嫌なら、金を払え』と要求。被告は残る400万円を宮田さんに支払いました。しかしその後も、宮田さんからの“オニ電”は止まず、その言動は変わることがなかったそうです」(同)『別れないなら、赤ちゃんと奥さんを殺す』と脅され… 事件前日の5月29日、宮田さんは家族に「釧路に行く」と言って北見市の自宅を出たが、向かった先は釧路とは100キロ以上も離れた片桐被告の勤務する帯広市内の高校だった。この日は片桐被告が顧問をしていた野球部の試合があり、そこで宮田さんの姿が目撃されている。「弁護側によると、野球部の試合後に2人で会った片桐被告は、『仕事がある』と宮田さんに嘘をついて、自家用車を高校に置いたまま、タクシーで帰宅しました。しかし、その間に車が宮田さんによって荒らされていたといいます。被告の車の中にあった新型コロナウイルスのワクチン接種券から、隠していた自宅住所がばれてしまった。翌30日の未明に高校に戻って車を取りにきた被告は、荒れた車内に接種券が落ちているのを見つけ、それに気付いたそうです。 その後、宮田さんから『あなたの家の前にいる。早く来た方がいい』と連絡があり、自宅へ急ぎ戻った被告は、家の前で宮田さんと遭遇。宮田さんに直接『(奥さんと)別れないなら、赤ちゃんと奥さんを殺す』とまで言われたというのです」(同)「逃げたい、死にたい、その一心でした」「もう、死ぬしかない」 あたりはまだ暗い午前4時半ごろ、片桐被告は宮田さんにこう伝えると、彼女は2回うなずいたという。車の後部座席で互いの首にシートベルトを巻きつけ、被告は一気に力を込めて宮田さんの首を絞めた――。 7月13日の被告人質問で、この時の心境について弁護士に問われた片桐被告はこう述べた。「この人から逃げるために、これが終わるために、逃げたい、死にたい、その一心でした」「何も考えられていなかった。余裕がなかったと思います。気づいた時には、被害者の口から血が出ていたのが見えて、殺害してしまったと思った」◆◆◆一緒に死ぬつもりだったのなら、なぜ犯行後に自殺を試みなかったのか 宮田さんの行動や証言についてはあくまで、被告側がそう主張しているにすぎない部分がある。死人に口なしで、宮田さんが亡くなった今となっては「真相はやぶの中」だ。しかし、1日に666回もの着信があったこと、700万円を支払ったことなどは事実で、宮田さんに片桐被告が相当に追い詰められていたのは確かなようだ。被告側は今回の事件は「追い詰められた上での同意殺人」だったとして、情状酌量を求めている。 一方の検察側は、「宮田さんは、自分と一緒に死ぬことを前提に承諾したが、被告人は死ぬつもりがないのに、あるように装って殺害した」と指摘。「身勝手な動機、経緯に酌量の余地はなく、意思決定が強く非難される」とした。前出の事件担当記者が続ける。「検察は、『(一緒に死ぬつもりだったのなら)なぜ被告は宮田さんを殺害したあとに自殺を試みなかったのか』と追及しています。そもそも被告は、宮田さんを殺害後、遺体を雑木林に埋めて隠した上、その後、平然と勤務先の高校に出勤していた。そのあたりの犯行後の態度について、検察は重くとらえているのです」 今後、片桐被告の裁判は7月24日に検察による求刑が行われ、28日に判決が言い渡される予定だ。(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)
そのため、裁判では、片桐被告側が明らかにした“生前の宮田さんの言動”に注目が集まった。片桐被告側の主張は以下の通りだ。
片桐被告と宮田さんは2016年に北見市の同じ学校で勤務する同僚となった。2人は既婚者だった。
「法廷で明かされた弁護側の話では、2018年から宮田さんに誘われて不倫関係が始まりました。翌2019年には被告の方から関係解消を望みましたが、宮田さんはヒステリーになり受け入れなかった。さらに『別れたいなら被告の全財産である700万円を払え』と要求されていたと。被告はそのうち300万円を支払ったのですが、関係は解消されなかった。宮田さんがそれほどまで強く片桐被告に固執していたと主張したのです」(前出・事件担当記者)
記者が事件発生当時、片桐被告について取材すると、「生徒との距離感が近く親しみやすい先生」「厳しい野球部の監督に怒られて落ち込んでいる生徒をケアしてくれる」「幼少期から男女問わず人気者」と優しい人柄で女性にもモテていたという。そのような被告に宮田さんが“執着した”というのが、弁護側の主張だ。
2022年4月、片桐被告は帯広市の高校に異動となり、2人は日常的に顔をあわせる間柄ではなくなった。片桐被告は異動のタイミングで赴任先の近くに引っ越したが、宮田さんには新住所を教えなかった。前年に妻との間に子供が生まれており、被告はこのタイミングで宮田さんとの関係を清算しようとしたのだという。
「しかし、新学期早々の4月3日の1日だけで宮田さんから被告の携帯に666回もの着信があったと。さらに宮田さんは別の高校職員にも電話して被告の様子を探ろうとしていたといいます。 さらに別の日には宮田さんは電話で被告に『押しかけられるのが嫌なら、金を払え』と要求。被告は残る400万円を宮田さんに支払いました。しかしその後も、宮田さんからの“オニ電”は止まず、その言動は変わることがなかったそうです」(同)『別れないなら、赤ちゃんと奥さんを殺す』と脅され… 事件前日の5月29日、宮田さんは家族に「釧路に行く」と言って北見市の自宅を出たが、向かった先は釧路とは100キロ以上も離れた片桐被告の勤務する帯広市内の高校だった。この日は片桐被告が顧問をしていた野球部の試合があり、そこで宮田さんの姿が目撃されている。「弁護側によると、野球部の試合後に2人で会った片桐被告は、『仕事がある』と宮田さんに嘘をついて、自家用車を高校に置いたまま、タクシーで帰宅しました。しかし、その間に車が宮田さんによって荒らされていたといいます。被告の車の中にあった新型コロナウイルスのワクチン接種券から、隠していた自宅住所がばれてしまった。翌30日の未明に高校に戻って車を取りにきた被告は、荒れた車内に接種券が落ちているのを見つけ、それに気付いたそうです。 その後、宮田さんから『あなたの家の前にいる。早く来た方がいい』と連絡があり、自宅へ急ぎ戻った被告は、家の前で宮田さんと遭遇。宮田さんに直接『(奥さんと)別れないなら、赤ちゃんと奥さんを殺す』とまで言われたというのです」(同)「逃げたい、死にたい、その一心でした」「もう、死ぬしかない」 あたりはまだ暗い午前4時半ごろ、片桐被告は宮田さんにこう伝えると、彼女は2回うなずいたという。車の後部座席で互いの首にシートベルトを巻きつけ、被告は一気に力を込めて宮田さんの首を絞めた――。 7月13日の被告人質問で、この時の心境について弁護士に問われた片桐被告はこう述べた。「この人から逃げるために、これが終わるために、逃げたい、死にたい、その一心でした」「何も考えられていなかった。余裕がなかったと思います。気づいた時には、被害者の口から血が出ていたのが見えて、殺害してしまったと思った」◆◆◆一緒に死ぬつもりだったのなら、なぜ犯行後に自殺を試みなかったのか 宮田さんの行動や証言についてはあくまで、被告側がそう主張しているにすぎない部分がある。死人に口なしで、宮田さんが亡くなった今となっては「真相はやぶの中」だ。しかし、1日に666回もの着信があったこと、700万円を支払ったことなどは事実で、宮田さんに片桐被告が相当に追い詰められていたのは確かなようだ。被告側は今回の事件は「追い詰められた上での同意殺人」だったとして、情状酌量を求めている。 一方の検察側は、「宮田さんは、自分と一緒に死ぬことを前提に承諾したが、被告人は死ぬつもりがないのに、あるように装って殺害した」と指摘。「身勝手な動機、経緯に酌量の余地はなく、意思決定が強く非難される」とした。前出の事件担当記者が続ける。「検察は、『(一緒に死ぬつもりだったのなら)なぜ被告は宮田さんを殺害したあとに自殺を試みなかったのか』と追及しています。そもそも被告は、宮田さんを殺害後、遺体を雑木林に埋めて隠した上、その後、平然と勤務先の高校に出勤していた。そのあたりの犯行後の態度について、検察は重くとらえているのです」 今後、片桐被告の裁判は7月24日に検察による求刑が行われ、28日に判決が言い渡される予定だ。(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)
「しかし、新学期早々の4月3日の1日だけで宮田さんから被告の携帯に666回もの着信があったと。さらに宮田さんは別の高校職員にも電話して被告の様子を探ろうとしていたといいます。
さらに別の日には宮田さんは電話で被告に『押しかけられるのが嫌なら、金を払え』と要求。被告は残る400万円を宮田さんに支払いました。しかしその後も、宮田さんからの“オニ電”は止まず、その言動は変わることがなかったそうです」(同)
事件前日の5月29日、宮田さんは家族に「釧路に行く」と言って北見市の自宅を出たが、向かった先は釧路とは100キロ以上も離れた片桐被告の勤務する帯広市内の高校だった。この日は片桐被告が顧問をしていた野球部の試合があり、そこで宮田さんの姿が目撃されている。
「弁護側によると、野球部の試合後に2人で会った片桐被告は、『仕事がある』と宮田さんに嘘をついて、自家用車を高校に置いたまま、タクシーで帰宅しました。しかし、その間に車が宮田さんによって荒らされていたといいます。被告の車の中にあった新型コロナウイルスのワクチン接種券から、隠していた自宅住所がばれてしまった。翌30日の未明に高校に戻って車を取りにきた被告は、荒れた車内に接種券が落ちているのを見つけ、それに気付いたそうです。
その後、宮田さんから『あなたの家の前にいる。早く来た方がいい』と連絡があり、自宅へ急ぎ戻った被告は、家の前で宮田さんと遭遇。宮田さんに直接『(奥さんと)別れないなら、赤ちゃんと奥さんを殺す』とまで言われたというのです」(同)
「逃げたい、死にたい、その一心でした」「もう、死ぬしかない」 あたりはまだ暗い午前4時半ごろ、片桐被告は宮田さんにこう伝えると、彼女は2回うなずいたという。車の後部座席で互いの首にシートベルトを巻きつけ、被告は一気に力を込めて宮田さんの首を絞めた――。 7月13日の被告人質問で、この時の心境について弁護士に問われた片桐被告はこう述べた。「この人から逃げるために、これが終わるために、逃げたい、死にたい、その一心でした」「何も考えられていなかった。余裕がなかったと思います。気づいた時には、被害者の口から血が出ていたのが見えて、殺害してしまったと思った」◆◆◆一緒に死ぬつもりだったのなら、なぜ犯行後に自殺を試みなかったのか 宮田さんの行動や証言についてはあくまで、被告側がそう主張しているにすぎない部分がある。死人に口なしで、宮田さんが亡くなった今となっては「真相はやぶの中」だ。しかし、1日に666回もの着信があったこと、700万円を支払ったことなどは事実で、宮田さんに片桐被告が相当に追い詰められていたのは確かなようだ。被告側は今回の事件は「追い詰められた上での同意殺人」だったとして、情状酌量を求めている。 一方の検察側は、「宮田さんは、自分と一緒に死ぬことを前提に承諾したが、被告人は死ぬつもりがないのに、あるように装って殺害した」と指摘。「身勝手な動機、経緯に酌量の余地はなく、意思決定が強く非難される」とした。前出の事件担当記者が続ける。「検察は、『(一緒に死ぬつもりだったのなら)なぜ被告は宮田さんを殺害したあとに自殺を試みなかったのか』と追及しています。そもそも被告は、宮田さんを殺害後、遺体を雑木林に埋めて隠した上、その後、平然と勤務先の高校に出勤していた。そのあたりの犯行後の態度について、検察は重くとらえているのです」 今後、片桐被告の裁判は7月24日に検察による求刑が行われ、28日に判決が言い渡される予定だ。(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)
「もう、死ぬしかない」
あたりはまだ暗い午前4時半ごろ、片桐被告は宮田さんにこう伝えると、彼女は2回うなずいたという。車の後部座席で互いの首にシートベルトを巻きつけ、被告は一気に力を込めて宮田さんの首を絞めた――。
7月13日の被告人質問で、この時の心境について弁護士に問われた片桐被告はこう述べた。
「この人から逃げるために、これが終わるために、逃げたい、死にたい、その一心でした」
「何も考えられていなかった。余裕がなかったと思います。気づいた時には、被害者の口から血が出ていたのが見えて、殺害してしまったと思った」
◆◆◆
宮田さんの行動や証言についてはあくまで、被告側がそう主張しているにすぎない部分がある。死人に口なしで、宮田さんが亡くなった今となっては「真相はやぶの中」だ。しかし、1日に666回もの着信があったこと、700万円を支払ったことなどは事実で、宮田さんに片桐被告が相当に追い詰められていたのは確かなようだ。被告側は今回の事件は「追い詰められた上での同意殺人」だったとして、情状酌量を求めている。
一方の検察側は、「宮田さんは、自分と一緒に死ぬことを前提に承諾したが、被告人は死ぬつもりがないのに、あるように装って殺害した」と指摘。「身勝手な動機、経緯に酌量の余地はなく、意思決定が強く非難される」とした。前出の事件担当記者が続ける。
「検察は、『(一緒に死ぬつもりだったのなら)なぜ被告は宮田さんを殺害したあとに自殺を試みなかったのか』と追及しています。そもそも被告は、宮田さんを殺害後、遺体を雑木林に埋めて隠した上、その後、平然と勤務先の高校に出勤していた。そのあたりの犯行後の態度について、検察は重くとらえているのです」 今後、片桐被告の裁判は7月24日に検察による求刑が行われ、28日に判決が言い渡される予定だ。(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)
「検察は、『(一緒に死ぬつもりだったのなら)なぜ被告は宮田さんを殺害したあとに自殺を試みなかったのか』と追及しています。そもそも被告は、宮田さんを殺害後、遺体を雑木林に埋めて隠した上、その後、平然と勤務先の高校に出勤していた。そのあたりの犯行後の態度について、検察は重くとらえているのです」
今後、片桐被告の裁判は7月24日に検察による求刑が行われ、28日に判決が言い渡される予定だ。
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)

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