「マイナポイント」で混乱…申請期限勘違いし窓口殺到 3時間待ちも

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マイナンバーカードの取得者にポイントを付与する国の「マイナポイント」事業を巡り、各地で混乱が生じている。9月末までにカードの取得申請をした場合、最大2万円分のポイントが付与される仕組みだったが、既にカードを持っている人がポイントの申請期限と勘違いし、自治体の窓口に殺到。2~3時間待ちとなった区役所もある。一方でカードの普及は進まず、総務省は20日、ポイント付与の対象となる取得申請の期限を12月末まで延長した。
実はアナログ? マイナンバーカード「2025年問題」 とは 事業はマイナンバーカードの取得を促す狙いで、2020年9月に「第1弾」が始まった。カードの保有者が電子マネーなどのキャッシュレス決済とカードを連携させ、現金をチャージすれば、初回のみ25%(最大5000円分)のポイントが還元される仕組みだ。予算3000億円で、当初の予定を延長して21年12月末まで受け付けた。 22年6月には、さらに1・8兆円を投入した「第2弾」もスタート。マイナンバーカードに健康保険証と年金などの公金受取口座を登録した場合、それぞれ7500円分のポイントを付与し、申請者は最大2万円分を受け取ることができる。国は当初、ポイント付与の条件についてカードの取得申請は9月末まで、ポイントの申請は23年2月末までとし、インターネットや自治体で受け付けてきた。 神戸市ではスマートフォンやパソコンに不慣れな高齢者を想定し、対面で手続きを補助する「サポートデスク」を設置しているが、8月以降は1日あたり平均1000人以上が利用する混雑ぶり。市によると、窓口を訪れる人の大半はカード保有者で、ポイントの申請期限を9月末と勘違いしている人が多いという。 同市東灘区役所には12日、「待ち時間約45分」と書かれた看板が窓口に置かれた。並んでいた女性(81)はカード保有者で、ポイントの申請期限を9月末と勘違いしていた。「早くしないとポイントをもらえないと思った」と話した。 他の自治体でも同様の事態が起きている。大阪市では9月上旬、東淀川区と西成区で2~3時間の待ち時間が発生。手続きが1日平均約1800人の横浜市では怒鳴って帰る人もいるという。3市とも窓口を担う委託業者が担当者を増やすなどして対応しているが、東灘区役所の担当者は「仕組みが複雑な上、『9月末まで』という国のアピールが強かったので勘違いされやすい。窓口の混雑で他の業務にも支障が出ている」と漏らす。 行政のデジタル化に詳しい武蔵大の庄司昌彦教授(情報社会学)は「窓口の混乱はカード普及全般の印象悪化につながりかねない」と懸念する。 総務省によると、マイナンバーカードの取得申請件数は19日時点で約6779万件(全国民の53・8%)。このうち第1弾では約2675万件で、予算上想定された5000万人分の半数程度にとどまった。第2弾では9500万人分を想定しているが、約842万件にとどまっており、第1弾と同じように予算の余剰が生じる可能性がある。同省マイナポイント施策推進室は「二つの期限を差別化したつもりだったが、うまく伝わらず現場を混乱させてしまった。自治体の声も反映し、改善策を考えたい」としている。【中田敦子】
事業はマイナンバーカードの取得を促す狙いで、2020年9月に「第1弾」が始まった。カードの保有者が電子マネーなどのキャッシュレス決済とカードを連携させ、現金をチャージすれば、初回のみ25%(最大5000円分)のポイントが還元される仕組みだ。予算3000億円で、当初の予定を延長して21年12月末まで受け付けた。
22年6月には、さらに1・8兆円を投入した「第2弾」もスタート。マイナンバーカードに健康保険証と年金などの公金受取口座を登録した場合、それぞれ7500円分のポイントを付与し、申請者は最大2万円分を受け取ることができる。国は当初、ポイント付与の条件についてカードの取得申請は9月末まで、ポイントの申請は23年2月末までとし、インターネットや自治体で受け付けてきた。
神戸市ではスマートフォンやパソコンに不慣れな高齢者を想定し、対面で手続きを補助する「サポートデスク」を設置しているが、8月以降は1日あたり平均1000人以上が利用する混雑ぶり。市によると、窓口を訪れる人の大半はカード保有者で、ポイントの申請期限を9月末と勘違いしている人が多いという。
同市東灘区役所には12日、「待ち時間約45分」と書かれた看板が窓口に置かれた。並んでいた女性(81)はカード保有者で、ポイントの申請期限を9月末と勘違いしていた。「早くしないとポイントをもらえないと思った」と話した。
他の自治体でも同様の事態が起きている。大阪市では9月上旬、東淀川区と西成区で2~3時間の待ち時間が発生。手続きが1日平均約1800人の横浜市では怒鳴って帰る人もいるという。3市とも窓口を担う委託業者が担当者を増やすなどして対応しているが、東灘区役所の担当者は「仕組みが複雑な上、『9月末まで』という国のアピールが強かったので勘違いされやすい。窓口の混雑で他の業務にも支障が出ている」と漏らす。
行政のデジタル化に詳しい武蔵大の庄司昌彦教授(情報社会学)は「窓口の混乱はカード普及全般の印象悪化につながりかねない」と懸念する。
総務省によると、マイナンバーカードの取得申請件数は19日時点で約6779万件(全国民の53・8%)。このうち第1弾では約2675万件で、予算上想定された5000万人分の半数程度にとどまった。第2弾では9500万人分を想定しているが、約842万件にとどまっており、第1弾と同じように予算の余剰が生じる可能性がある。同省マイナポイント施策推進室は「二つの期限を差別化したつもりだったが、うまく伝わらず現場を混乱させてしまった。自治体の声も反映し、改善策を考えたい」としている。【中田敦子】

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