親の虐待、野球選手への推し活、ホス狂、16歳で依存症etc…。路上売春をする女性「立ちんぼ」の彼女たちは、どんな経緯で大久保公園にたどり着き、何のために体を売っているのだろうか。 新宿・歌舞伎町にある大久保公園。この場所は、路上売春をする女性「立ちんぼ」の聖地として有名であったが、ここ数か月でその数が異常に増えている。
今年初めはまだ片手で数えることができる人数だった。だが、6月現在、約60人の立ちんぼとその買春客を合わせた数は100人を優に超えている。
大久保公園に立っている女性に声をかけると、インタビューに答えてくれた。計19時間に及んだ取材音声から浮かび上がった実態とは。
◆親から虐待を受け近所では性的暴行。現在は生活保護
【ユミ(仮名)/年齢:47歳 交縁歴:1年】
1児の母であるユミ(仮名)は現在、生活保護を受けながら都内のアパートに一人で暮らしている。子供は施設に預けているというが、その理由は教えてくれなかった。
大久保公園には、生活保護ではカネが足りなくなったときだけ立っている。双極性障害の症状に苦しみ、働く気をなくした彼女の過去は壮絶だった。
◆「自分よりも先に妹が飛び降りようと…」
「共働きだった両親ともにネグレクトで母からは虐待も受けていました。妹と2人で家にいたのですが、冷蔵庫を開けてもニンジンが1本しかありません。親が帰ってくると2人とも家から追い出されるので、万引をして飢えを凌いでいました」
ユミは小4、妹は小2だった。友達の家に泊まらせてもらったり、神社の境内で寝泊まりしたりしていた。妹に「もう死んじゃおうか」と聞くと、「うん」と答えた。2人で近くのマンションの屋上に行くと、自分よりも先に妹が飛び降りようとした。
「この子を死なせてはいけないととっさに思い、妹にしがみつきました。“私が悪かった”と、泣いて謝りました」
◆一度結婚したが、夫は覚せい剤で逮捕
そんな生活が2年間も続いた。育児放棄され、街をさまよっているユミを餌食にする男もいた。
「おじさんにいきなりトイレに引き込まれて、下着を脱がされて、体中を触られることが何度もありました。その後、私のパンツを持って逃げるおじさんもいました」
いつしか、性的な行為に強い嫌悪感を覚えるようになった。結婚は一度したが、夫は覚せい剤で逮捕されていなくなった。大久保公園には、「仕方なく、嫌々立っている」と話す。
ユミの過去には同情せざるを得ないが、子供が負の連鎖に巻き込まれていないか心配でならない。
取材・文・撮影/忍田 忍、SPA!立ちんぼ取材班