「レコード芸術」休刊に波紋広がる…クラシックCD評71年、CD発売減で打撃

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

クラシックCD評を掲載する月刊誌「レコード芸術」(音楽之友社)が、20日発売の7月号をもって休刊する。
1952年の創刊以来、日本のクラシック音楽批評の一翼を担ってきた老舗雑誌の休刊は、音楽界に波紋を広げている。(松本良一)
■存続求めネットで署名活動 「レコード芸術」は国内で発売されるすべてのクラシックCDの評論を掲載する専門誌で、優れたアルバムに贈られる「レコード・アカデミー賞」の主催や音楽評論家によるエッセー連載などで長らく親しまれてきた。しかし、近年の出版不況もあり、事実上の廃刊が、今年4月に発表された。

音楽之友社の大谷隆夫・取締役常務執行役員(72)は、「CDの発売点数の減少など、時代の変化に対応できなかった」と話す。 大谷常務によると、クラシックCDは1990年代のピーク時には毎月400点近く発売されていた。近年は100点程度に減ったことで、CD評が売り物の同誌を直撃した。「最盛期は10万部発行していたが、最近は5万部ほど。広告収入の落ち込みにも歯止めがかからず、3年ほど前から赤字が続いていた」 同誌の存続を求めて、音楽評論家やクラシック愛好家らを中心にインターネット上で署名活動が行われている。現在までに約3400人分の署名が集まった。 呼びかけ人の一人で音楽評論家の舩木篤也さん(56)は、「厳しい状況なのは察していたが、発表から2か月余りでの休刊はあまりにも急。もっと打つ手があったのではという思いはぬぐえない」と表情をくもらせる。署名活動に踏み切った理由について、「休刊は避けられないが、録音芸術の貴重な批評の場が失われていいのかということを問いかけたかった」と説明する。 同誌の休刊はレコード会社にとっても痛手だ。ユニバーサルミュージックの五十貝一・クラシックス&ジャズマネージングディレクター(42)は、「熱心なクラシックファンの情報ニーズを満たす媒体がなくなるのは残念。何らかの形で残ってほしい」と話す。 音楽之友社は、「休刊後も、これまで蓄積してきた情報を生かす方策を探っている」としている。■読者層若返りが鍵 「レコード芸術」の部数低迷は、主な読者層が50~70歳代で、クラシックCDの購買層と比べて高齢化が進んでいたことも背景にある。良質の批評を提供するとともに、若い世代のファンにアピールする編集方針・内容を掲げた媒体を新たに生み出せるかどうかが、復刊の鍵となりそうだ。
■存続求めネットで署名活動
「レコード芸術」は国内で発売されるすべてのクラシックCDの評論を掲載する専門誌で、優れたアルバムに贈られる「レコード・アカデミー賞」の主催や音楽評論家によるエッセー連載などで長らく親しまれてきた。しかし、近年の出版不況もあり、事実上の廃刊が、今年4月に発表された。
音楽之友社の大谷隆夫・取締役常務執行役員(72)は、「CDの発売点数の減少など、時代の変化に対応できなかった」と話す。
大谷常務によると、クラシックCDは1990年代のピーク時には毎月400点近く発売されていた。近年は100点程度に減ったことで、CD評が売り物の同誌を直撃した。「最盛期は10万部発行していたが、最近は5万部ほど。広告収入の落ち込みにも歯止めがかからず、3年ほど前から赤字が続いていた」
同誌の存続を求めて、音楽評論家やクラシック愛好家らを中心にインターネット上で署名活動が行われている。現在までに約3400人分の署名が集まった。
呼びかけ人の一人で音楽評論家の舩木篤也さん(56)は、「厳しい状況なのは察していたが、発表から2か月余りでの休刊はあまりにも急。もっと打つ手があったのではという思いはぬぐえない」と表情をくもらせる。署名活動に踏み切った理由について、「休刊は避けられないが、録音芸術の貴重な批評の場が失われていいのかということを問いかけたかった」と説明する。
同誌の休刊はレコード会社にとっても痛手だ。ユニバーサルミュージックの五十貝一・クラシックス&ジャズマネージングディレクター(42)は、「熱心なクラシックファンの情報ニーズを満たす媒体がなくなるのは残念。何らかの形で残ってほしい」と話す。
音楽之友社は、「休刊後も、これまで蓄積してきた情報を生かす方策を探っている」としている。
■読者層若返りが鍵
「レコード芸術」の部数低迷は、主な読者層が50~70歳代で、クラシックCDの購買層と比べて高齢化が進んでいたことも背景にある。良質の批評を提供するとともに、若い世代のファンにアピールする編集方針・内容を掲げた媒体を新たに生み出せるかどうかが、復刊の鍵となりそうだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。