「職場の女性トイレ使用制限は適法」の判決見直しか 経産省のトランスジェンダー職員の上告受け最高裁で弁論

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経済産業省に勤めるトランスジェンダーの職員が、職場があるフロアの女性用トイレの使用を制限されたのは違法だと国を訴えた裁判で、最高裁は職員と国の双方の主張を聞く弁論を開きました。
最高裁が性的マイノリティーの人たちの職場環境について、判断を示すのは初めてで、判決を変更する際の手続きである弁論が開かれたことで、職員が敗訴した二審の判決が見直される可能性が出ています。
訴えを起こしたのは、戸籍上は男性で性同一性障害と診断され、女性として生活する経産省の職員(50代)です。
経産省が勤務するフロアの女性用トイレの使用を認めず、2階以上離れたフロアのトイレを使うよう制限したことは「違法だ」と国を訴えています。
一審の東京地裁は2019年、「自認する性別に即した社会生活を送ることができることは重要な法的利益である」などとして、職員の訴えを認めました。
しかし、おととし二審の東京高裁は「経産省は他の職員の性的不安なども考慮した上で、原告に他のフロアの女性用トイレの使用を認めるなど配慮していて、不合理とは言えない」と判断し、職員は逆転敗訴しました。
職員側が二審判決を不服として上告していましたが、きょうの弁論で国側は「当時、トランスジェンダーに対し、性自認に従ったトイレの自由な使用を認めるべきとの社会的な広い理解が存在したとはいえない」として、改めて「経産省の対応は適切だった」と主張しました。
一方、職員側は「経産省の対応は職員の尊厳を深く傷つけるもので、女性として社会生活を送る重要な法的利益が制約された」と訴えました。
最高裁の判決は7月11日に言い渡されます。

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